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【人体】5種類のバイタルサイン

人体 保健医療サービスの知識等

介護職に必須のバイタルチェックの方法を学びましょう。5種類のバイタルサインをチェックすることで、その人の状態が把握できます。

バイタルサイン

バイタルサインとは、生命維持に関する最も基本的な情報で、呼吸・体温・脈拍・血圧・意識レベルの5つを言います。

呼吸

バイタルサインとしての呼吸は、①呼吸数、②呼吸の深さ、③呼吸のリズム、④呼吸音などをチェックしましょう。加齢により肺の弾力性が低下すると残気量(息を吐き出した後も肺に残る空気)が増加して、肺活量は低下します。

口すぼめ呼吸

長期間の喫煙などで慢性閉塞性肺疾患COPDになり、気管支が狭くなって息苦しさがある場合には、「口すぼめ呼吸」を覚えておいてください。

口すぼめ呼吸とは、鼻から吸った息を、ろうそくの火を吹き消すように「口をすぼめて」ゆっくりと吐き出す呼吸法のことです。これにより呼気時に気道内圧を保つことで、気管支の閉塞を防ぎ呼吸をしやすくするため、肺気腫や慢性気管支炎などのCOPDで息苦しさを訴える利用者への具体的な支援として有効です。

起座呼吸

起座呼吸とは、横になった状態(臥位)では息苦しさが増し、上半身を起こして座る(座位や半座位)と呼吸が楽になる状態を指します。心不全や気管支喘息で見られる症状です。

カリスマくん
カリスマくん

心不全などで心臓のポンプ機能が低下していると、横になることで心臓に戻ってきた血液を十分に送り出せなくなり、血液が肺に滞ってしまうんだ。これが肺に水が溜まったような状態(肺水腫)を引き起こし、激しい息苦しさを感じる原因なんだね。逆に、上半身を起こして座る姿勢をとることで、心臓へ戻る血液量が減りるから呼吸が楽になるんだ。

体温

平熱には個人差がありますが、一般的に37.5度以上を発熱(高体温)、38.0度以上を高熱と判断します。高齢者は体温調節機能が低下しているため、発熱していても平熱に近い場合があり、数値だけでなく平素の体温との比較が重要です。

発熱パターン

3つの熱型(発熱のパターン)を覚えましょう。

発熱パターン内容
稽留熱日内変動が1℃以内で、高熱が持続する肺炎、腸チフス
弛張熱日内変動が1℃以上あるが、平熱までは下がらない敗血症
間欠熱高熱と平熱を繰り返すマラリア、結核

高齢者は免疫機能や体温調節機能が低下しているため、肺炎などの重い感染症に罹患しても発熱がみられないこと(無熱性肺炎など)が珍しくありません。熱がないからと安心せず、食欲低下や元気がないといった「普段と違う様子」から異常を察知する力が日頃の視点として必要です。

検温

腋下検温は体温計を腋の下にしっかり密着させて閉じることで正確な値が得られます。やせているために腋下部に隙間ができると、正確な体温測定ができないことがあります。その場合は口腔検温や鼓膜検温など別の測定方法への切り替えを検討することが適切です。

脈拍

徐脈

正常な心拍数は1分間に60〜100回とされており、頻脈とは1分間に100回を超える状態を指します。また、60未満であれば「徐脈」と呼びます。徐脈が重度になると脳血流低下により失神などを生じることがあります。ペースメーカーの適応となるケースもあるため、利用者の脈拍異常には速やかな医療連携が必要です。

カリスマくん
カリスマくん

僕はマラソンをやるから1分間に40回くらいしか脈拍がなくて、いつも健康診断でひっかかるの。

脈拍測定

脈拍測定は、通常手首の「橈骨動脈」で行いますが、血圧が極端に低い時やショック状態では脈が触れないことがあります。その際は、より太く心臓に近い「頸動脈(首)」や「大腿動脈(足の付け根)」で確認します。

不整脈

脈拍数と心拍数は、常に一致するわけではありません。心拍数は「心臓が拍動する数」、脈拍数は「末梢血管に伝わる拍動の数」です。健康な状態では一致しますが、期外収縮などの不整脈がある場合、心臓が動いても血液が十分に送り出されず、手首で脈が触れない「脈欠損」が生じます。不整脈のある利用者では特に注意が必要です。

不整脈の有病率は年齢層が高くなるにつれて増加します。これは加齢により心臓の電気伝導系や心筋に変化が生じるため、不整脈は高齢者に多くみられます。心房細動は不整脈の一種で、心房が不規則に細かく震え、正常な収縮ができなくなる状態です。心房内で血液が淀み、血栓(血の塊)ができやすくなるため、脳梗塞の原因となることが多い疾患です。加齢とともに有病率が上昇し、脳梗塞の重大なリスク因子となります。

パルスオキシメーターは、皮膚を通して動脈血の酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を測定する機器です。指先などに装着してSpO2を測定することが可能で、在宅酸素療法を行っている利用者の体調管理などに広く用いられます。正常値は96〜99%程度とされ、それ以下であれば呼吸不全の目安となります。

血圧

収縮期血圧&拡張期血圧

血圧とは、一般的に動脈壁にかかる圧力のことを言い、心臓が収縮した時の圧力が収縮期血圧(上の血圧)、心臓が拡張している時の圧力が拡張期血圧(下の血圧)です。血圧は循環器疾患を確認する最も基本的なバイタルサインのひとつです。

加齢とともに収縮期血圧は高くなる傾向があります。加齢により血管壁の弾力性が失われると、血管が硬くなる「動脈硬化」が起こるため、心臓が収縮して血液を送り出す際の「収縮期血圧(上の血圧)」は高くなります。一方で、拡張期(下の血圧)は低くなりやすく、上下の差(脈圧)が広がるのが高齢者の血圧の特徴です。

血圧は一日を通じて変動しており、一般的に起床時から午前中にかけて上昇し、夜間から睡眠中は低下します。また、緊張・運動・食事・入浴などによっても変動します。高齢者では早朝の血圧上昇が脳卒中や心筋梗塞のリスクとなるため、起床直後の血圧測定が重要です。

高血圧の治療目標は、一般的に140/90mmHg未満となっています。

医師や看護師が測定すると「高値」になることが多く、これを「白衣高血圧」といいます。白衣高血圧は、医療者が測定する際に利用者が緊張したり、不安になることから血圧が普段より上昇する現象です。そのため診察においては、自宅でリラックスした状態での家庭血圧測定を把握することが大切です。

起立性低血圧

起立性低血圧とは、立ち上がった際に血圧が急激に低下してめまいや立ちくらみ、失神が起きる状態です。飲酒は血管を拡張させ、一時的に血圧を下げる働きがあるため、起立性低血圧を誘発する原因となります。降圧薬は血圧を下げる作用があり、利尿薬は体内の水分を減らすため血液量が低下します。その結果、立位時に脳への血流が不足しやすくなります。他にも脱水・長期臥床なども起立性低血圧の原因となります。

ヒートショック

ヒートショックは、暖かい部屋から冷えた脱衣所へ移動するなど、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、失神・心筋梗塞・脳卒中などを引き起こす現象です。

意識レベル

意識レベルは、覚醒、傾眠、昏迷、半昏睡、昏睡などに分類されますが、より客観的な評価指標としてジャパン・コーマ・スケールなどがあります。

ジャパン・コーマ・スケール

ジャパン・コーマ・スケール(JCS:Japan Coma Scale)は意識障害の程度を評価するスケールで、別名「3-3-9度分類」とも呼ばれ、0が清明(正常)、30は痛み刺激でかろうじて目を開ける状態、最重度は300(痛み刺激にも反応しない)です。数値が大きいほど意識障害が重度であることを示します。

3-3-9度方式による意識障害の分類
Ⅰ 刺激しないでも覚醒しているⅠ-1だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない
Ⅰ-2時、場所または人物がわからない
Ⅰ-3名前または生年月日がわからない
II 刺激すると覚醒する〜刺激を止めると眠り込むⅡ-10普通の呼びかけで容易に開眼する
Ⅱ-20大きな声または体をゆさぶることにより開眼する
Ⅱ-30痛み刺激と呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する
Ⅲ 刺激しても覚醒しないⅢ-100痛み刺激に対し、はらいのけのような動作をする
Ⅲ-200痛み刺激に対し手足を動かしたり、顔をしかめる
Ⅲ-300痛み刺激に反応しない
カリスマくん
カリスマくん

コーマというのは昏睡状態とか意識不明って意味ね。

過去問

第23回 問題29

次の記述について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 稽留(けいりゅう)熱では、急激な発熱と解熱を繰り返す。
2 心房細動では、心房の正常な収縮と拡張ができなくなる。
3 飲酒は、起立性低血圧の原因とはならない。
4 ジャパン・コーマ・スケール(JCS)では、数値が大きいほど意識レベルが低い。
5 口すぼめ呼吸で息を吐くと、気管支内の圧力が高くなり、気管支の閉塞を防ぐ。

この問題はバイタルサインと基本的な医学知識を問うものです。熱型の種類・不整脈・起立性低血圧・意識レベルの評価スケール・呼吸法など、介護支援専門員として利用者の状態変化を把握するために必要な医療的基礎知識が幅広く出題されています。

1 稽留(けいりゅう)熱では、急激な発熱と解熱を繰り返す。
これは誤り。稽留熱とは、1日の体温変化が1℃以内で、38℃以上の高熱がずっと続く熱の出方のことで、腸チフスや大葉性肺炎などの疾患でみられます。一方、急激な発熱と解熱を繰り返すのは「間欠熱」で、マラリアや結核などです。

2 心房細動では、心房の正常な収縮と拡張ができなくなる。
これは正解。心房細動は不整脈の一種で、心房が不規則に細かく震え、正常な収縮ができなくなる状態です。心房内で血液が淀み、血栓(血の塊)ができやすくなるため、脳梗塞の原因となることが多い疾患です。利用者に「動悸」や「脈の乱れ」が生じた場合は医療機関への受診が必要となるため、症状の変化の早期発見が重要です。

3 飲酒は、起立性低血圧の原因とはならない。
これは誤り。起立性低血圧とは、立ち上がった際に血圧が急激に低下してめまいや失神が起きる状態です。飲酒は血管を拡張させ、一時的に血圧を下げる働きがあるため、起立性低血圧を誘発する原因となります。

4 ジャパン・コーマ・スケール(JCS)では、数値が大きいほど意識レベルが低い。
これは正解。JCS(ジャパン・コーマ・スケール)は意識障害の程度を評価するスケールで、別名「3-3-9度分類」とも呼ばれ、0が清明(正常)、30は痛み刺激でかろうじて目を開ける状態、最重度は300(痛み刺激にも反応しない)です。数値が大きいほど意識障害が重度であることを示します。

5 口すぼめ呼吸で息を吐くと、気管支内の圧力が高くなり、気管支の閉塞を防ぐ。
これは正解。「口すぼめ呼吸」とは、鼻から吸った息を、ろうそくの火を吹き消すように「口をすぼめて」ゆっくりと吐き出す呼吸法のことです。これにより呼気時に気道内圧を保つことで、気管支の閉塞を防ぎ呼吸をしやすくするため、肺気腫や慢性気管支炎などのCOPD(慢性閉塞性肺疾患)で息苦しさを訴える利用者への具体的な支援として有効な知識です。

第24回 問題27

バイタルサインについて正しいものはどれか。3つ選べ。
1 バイタルサインとは、体温、脈拍、血圧、意識レベル及び呼吸である。
2 感染症に罹患しても、発熱がみられないことがある。
3 1分当たりの心拍数60以上を頻脈という。
4 血圧は、160/100mmHg未満を目指すことが推奨されている。
5 口すぼめ呼吸は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)によくみられる。

この問題は、高齢者の健康管理の基本である「バイタルサイン」の定義と、加齢・疾患に伴う特有の変化や数値を問う内容です。高齢者は症状が非典型的で、管理目標値が一般成人と異なることが多いため、それらを正確に区別して理解しているかが、試験合格と実務の両面で問われます。

1 バイタルサインとは、体温、脈拍、血圧、意識レベル及び呼吸である。
これは正解。バイタルサインとは、生命維持に関する最も基本的な情報で、体温・脈拍・血圧・意識レベル・呼吸の5つを言います。また利用者の日々の状態変化を把握する上で基本的な指標であり大切な情報源となります。

2 感染症に罹患しても、発熱がみられないことがある。
これは正解。高齢者は免疫機能や体温調節機能が低下しているため、肺炎などの重い感染症に罹患しても発熱がみられないこと(無熱性肺炎など)が珍しくありません。熱がないからと安心せず、食欲低下や元気がないといった「普段と違う様子」から異常を察知する力が日頃の視点として必要です。

3 1分当たりの心拍数60以上を頻脈という。
これは誤り。正常な心拍数は1分間に60〜100回とされており、頻脈とは1分間に100回を超える状態を指します。また、60未満であれば「徐脈」と呼びます。誤った数値の定義に惑わされないよう注意が必要です。

4 血圧は、160/100mmHg未満を目指すことが推奨されている。
これは誤り。高血圧の治療目標は一般的に140/90mmHg未満とされており、選択肢の「160/100mmHg未満」は高すぎるため誤りです。正しい数値を確実に覚えるようにしましょう。なお、高齢者や糖尿病・慢性腎臓病を合併している場合は、個別に目標値が設定される場合があります。

5 口すぼめ呼吸は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)によくみられる。
これは正解。慢性閉塞性肺疾患(COPD)では気管支が狭くなり、息を吐く際に気道がつぶれやすくなります。口をすぼめてゆっくり吐くことで気管支内の圧力が高まり気道の閉塞を防ぎます。患者が自然に習得する代償的な呼吸法であり、呼吸リハビリでも積極的に指導されています。

第24回 問題30

次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1 予定より早く目覚め、その後眠れなくなってしまうことを熟眠障害という。
2 唾液には、口腔内の自浄作用がある。
3 誤嚥性肺炎の発症を防ぐには、口腔内の環境を整えることが重要である。
4 本人から訴えがなくとも、義歯が合わないなど口腔に何らかの問題がある場合には、歯科受診を検討する。
5 ヒートショックとは、暑熱環境における身体適応の障害によって起こる病態である。

睡眠障害の種類・口腔ケアの重要性・ヒートショックなど、高齢者の日常生活に密接に関わる健康管理の知識を問う問題です。医学的な定義の正確な理解に加え、介護支援専門員として口腔環境や生活環境の整備につなげる実践的視点も問われています。

1 予定より早く目覚め、その後眠れなくなってしまうことを熟眠障害という。
これは誤り。予定より早く目覚めて眠れなくなるのは「早朝覚醒」であり、熟眠障害ではありません。「熟眠障害」は、睡眠時間は十分でも「ぐっすり寝た感じがしない」状態を指します。また、高齢者の不眠にはこの他に「入眠障害(寝付けない)」、「中途覚醒(何度も目が覚める)」などもあり、それぞれの特徴を区別して理解することが重要です。

2 唾液には、口腔内の自浄作用がある。
これは正解。唾液には、食べ物を湿らせて飲み込みやすくするだけでなく、口の中の食べカスを洗い流したり細菌の増殖を抑えたりする「自浄作用」があります。高齢者は加齢や薬剤の影響で唾液分泌が低下すると細菌が増殖しやすくなるため、口腔ケアは非常に重要です。

3 誤嚥性肺炎の発症を防ぐには、口腔内の環境を整えることが重要である。
これは正解。口腔内環境を整えることは誤嚥性肺炎の予防に直結します。誤嚥性肺炎は、口腔内の細菌を含む唾液や食物が気管に入ることで発症します。口腔内を清潔に保つことは、原因菌を減らし誤嚥性肺炎の予防につながります。高齢者の死因として多い誤嚥性肺炎の予防として口腔ケアは非常に重要な役割があります。

4 本人から訴えがなくとも、義歯が合わないなど口腔に何らかの問題がある場合には、歯科受診を検討する。
これは正解。本人の訴えがなくても口腔に何らかの問題があれば歯科受診を検討することが適切です。高齢者は口腔内の違和感を自覚しにくかったり、我慢してしまったりすることがあります。義歯が合わないと咀嚼(そしゃく)が不十分になり、低栄養や誤嚥のリスクが高まるため、本人の訴えを待たず、客観的な変化から歯科受診を検討・提案する柔軟さが求められます。

5 ヒートショックとは、暑熱環境における身体適応の障害によって起こる病態である。
これは誤り。ヒートショックは、暖かい部屋から冷えた脱衣所へ移動するなど、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、失神・心筋梗塞・脳卒中などを引き起こす現象です。また、選択肢の「暑熱環境における身体適応の障害」は熱中症の説明です。

第25回 問題28

次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1 起立性低血圧は、降圧薬、利尿薬などの薬剤の使用も原因になる。
2 加齢とともに血管の弾力が失われるため、収縮期血圧が低くなる傾向がある。
3 橈骨(とうこつ)動脈で脈が触れない場合には、頸動脈や股動脈で脈拍をみる。
4 重度の徐脈は、失神を伴うことがある。
5 昏睡とは、刺激がないと眠ってしまう状態である。

この問題は、血圧・脈拍・意識レベルに関する基礎的な医学知識を問うもので、起立性低血圧の原因・加齢による血圧変化・脈拍の測定部位・徐脈の症状・意識障害の定義など、利用者の状態変化を早期に把握するために必要な基礎医学知識が問われています。

1 起立性低血圧は、降圧薬、利尿薬などの薬剤の使用も原因になる。
これは正解。起立性低血圧とは、立ち上がった際に血圧が低下し、めまいや立ちくらみ、失神などを起こす状態です。降圧薬は血圧を下げる作用があり、利尿薬は体内の水分を減らすため血液量が低下します。その結果、立位時に脳への血流が不足しやすくなります。他にも脱水・長期臥床・飲酒なども起立性低血圧の原因となります。

2 加齢とともに血管の弾力が失われるため、収縮期血圧が低くなる傾向がある。
これは誤り。加齢とともに収縮期血圧は低くなるのではなく、高くなる傾向があります。加齢により血管壁の弾力性が失われると、血管が硬くなる「動脈硬化」が起こるため、心臓が収縮して血液を送り出す際の「収縮期血圧(上の血圧)」は高くなります。一方で、拡張期(下の血圧)は低くなりやすく、上下の差(脈圧)が広がるのが高齢者の血圧の特徴です。

3 橈骨(とうこつ)動脈で脈が触れない場合には、頸動脈や股動脈で脈拍をみる。
これは正解。脈拍測定は、通常手首の「橈骨動脈」で行いますが、血圧が極端に低い時やショック状態では脈が触れないことがあります。その際は、より太く心臓に近い「頸動脈(首)」や「大腿動脈(足の付け根)」で確認するのが適切です。緊急時のバイタル確認の方法として有効な手段です。

4 重度の徐脈は、失神を伴うことがある。
これは正解。徐脈とは一般的に1分間60回未満の状態を指し、重度になると脳血流低下により失神などを生じることがあります。ペースメーカーの適応となるケースもあるため、利用者の脈拍異常には速やかな医療連携が必要です。

5 昏睡とは、刺激がないと眠ってしまう状態である。
これは誤り。昏睡(こんすい)は意識障害の中で最も重く、強い刺激を与えても全く反応がない状態を指します。刺激がないと眠ってしまう状態は「昏睡」ではなく「傾眠」です。意識障害のレベルを整理して覚えましょう。

第26回 問題27

次の記述のうち正しいものはどれか。3つ選べ。
1 脈拍数と心拍数は、常に一致する。
2 高体温とは、体温が36.5度以上である場合をいう。
3 一般的に動脈壁にかかる圧力を血圧という。
4 血圧には日内変動がある。
5 ジャパン・コーマ・スケール(JCS)は、意識レベルの評価に用いられる。

1 脈拍数と心拍数は、常に一致する。
これは誤り。脈拍数と心拍数は、常に一致するわけではありません。心拍数は「心臓が拍動する数」、脈拍数は「末梢血管に伝わる拍動の数」です。健康な状態では一致しますが、期外収縮などの不整脈がある場合、心臓が動いても血液が十分に送り出されず、手首で脈が触れない「脈欠損」が生じます。不整脈のある利用者では特に注意が必要です。

2 高体温とは、体温が36.5度以上である場合をいう。
これは誤り。平熱には個人差がありますが、一般的に37.5度以上を発熱(高体温)、38.0度以上を高熱と判断します。高齢者は体温調節機能が低下しているため、発熱していても平熱に近い場合があり、数値だけでなく平素の体温との比較が重要です。

3 一般的に動脈壁にかかる圧力を血圧という。
これは正解。血圧とは、一般的に動脈壁にかかる圧力のことを言い、心臓が収縮した時の圧力が収縮期血圧(上の血圧)、心臓が拡張している時の圧力が拡張期血圧(下の血圧)です。血圧は循環器疾患を確認する最も基本的なバイタルサインのひとつです。

4 血圧には日内変動がある。
これは正解。血圧は一日を通じて変動しており、一般的に起床時から午前中にかけて上昇し、夜間から睡眠中は低下します。また、緊張・運動・食事・入浴などによっても変動します。高齢者では早朝の血圧上昇が脳卒中や心筋梗塞のリスクとなるため、起床直後の血圧測定が重要です。

5 ジャパン・コーマ・スケール(JCS)は、意識レベルの評価に用いられる。
これは正解。JCS(ジャパン・コーマ・スケール)は日本で広く使われる意識障害の評価スケールで、0が清明(正常)、数値が大きいほど意識障害が重篤であることを示します。最重度は300(痛み刺激にも全く反応しない)です。介護現場で利用者の意識変化を発見した際、JCSの概念を理解していることで迅速な医療連携につなげられます。

第26回 問題36

次の記述のうち適切なものはどれか。2つ選べ。
1 重症の糖尿病性ケトアシドーシスの患者では、異常な呼吸がみられることがある。
2 起座呼吸は、気管支喘息の患者にもみられる。
3 高齢者の肺活量の低下の一因として、肺の残気量の低下がある。
4 在宅酸素療法において、携帯用酸素ボンベの使用に慣れれば、介護支援専門員の判断で酸素流量を設定してよい。
5 簡易酸素マスクで酸素流量が不足する場合は、鼻カニューレに交換する。

呼吸器・循環器等に関わる疾患の治療として、在宅酸素療法の基本的な知識を問う問題です。試験では、糖尿病性ケトアシドーシス・起座呼吸・肺活量・在宅酸素療法など、医療処置に関する出題が頻出です。医学的な呼吸異常の知識に加え、介護支援専門員の立場として「医療行為の境界線」を正しく理解しているかが合格のポイントとなります。

1 重症の糖尿病性ケトアシドーシスの患者では、異常な呼吸がみられることがある。
これは正解。糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)とは、インスリン不足により体内に酸性物質(ケトン体)が蓄積した緊急状態を指します。また、体内の酸を排出しようとして深く大きな呼吸を繰り返す「クスマウル呼吸」という異常呼吸が現れます。

2 起座呼吸は、気管支喘息の患者にもみられる。
これは正解。起座呼吸とは、臥位では呼吸困難が増強するため、座位や前傾姿勢をとることで楽になる状態を指します。これは、呼吸補助筋を使いやすくし、横隔膜を下げることで換気が改善される仕組みです。心不全・喘息・COPDなど複数の疾患で起こりうる点をセットで覚えましょう。

3 高齢者の肺活量の低下の一因として、肺の残気量の低下がある。
これは誤り。加齢により肺の弾力性が低下すると残気量(息を吐き出した後も肺に残る空気)が増加します。通常、残気量が増えることで肺活量は減少するため、選択肢の「残気量の低下」は誤りです。

4 在宅酸素療法において、携帯用酸素ボンベの使用に慣れれば、介護支援専門員の判断で酸素流量を設定してよい。
これは誤り。在宅酸素療法(HOT)における酸素流量の設定は医師の指示に基づくものであり、介護支援専門員などが医師の指示なく変更してはなりません。また、酸素の吸いすぎは「CO2ナルコーシス」という意識障害を招く恐れもあり、安全管理の観点からも指示を遵守しなければなりません。

5 簡易酸素マスクで酸素流量が不足する場合は、鼻カニューレに交換する。
これは誤り。通常、簡易酸素マスクより酸素流量が少ないのが鼻カニューレです。簡易酸素マスクで流量が不足している場合は、より濃度の高い酸素を供給できるリザーバーマスクなどへの変更を検討すべきであり、鼻カニューレへの交換は誤りです。

第26回 問題39

次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1 筋力トレーニングは、糖尿病の予防につながる。
2 大きな負荷で行う筋力トレーニングは、息を止めて行うと安全である。
3 冬の寒い時期の運動中は、汗をかかなくても水分補給が必要である。
4 疾病によるたんぱく質摂取に制限のない高齢者では、その摂取の目標量は1日30gである。
5 喫煙は、脳卒中のリスク因子である。

高齢者の健康維持に欠かせない「運動・栄養・生活習慣」の基礎知識においては、筋力トレーニングの効果や注意点・冬季の水分補給・高齢者のたんぱく質摂取量・喫煙リスクなど、健康維持・疾病予防を支援するための実践的な知識が問われています。特に糖尿病予防のための運動効果や、冬場の脱水リスク、喫煙の弊害など、日常生活の中での具体的な留意点が試され、「根拠のある生活指導」ができるかがポイントとなります。

1 筋力トレーニングは、糖尿病の予防につながる。
これは正解。筋力トレーニングを行うと、筋肉量が増えて基礎代謝が上がるだけでなく、インスリンの効きが良くなり、血液中の糖が効率よく消費され、糖尿病の予防につながります。また筋力トレーニングによりインスリンの感受性が高まり、血糖コントロールが改善されます。利用者の運動習慣の維持・促進を支援することは生活習慣病予防の観点から重要です。

2 大きな負荷で行う筋力トレーニングは、息を止めて行うと安全である。
これは誤り。大きな負荷の筋力トレーニング中に息を止めることは危険で、血圧が急激に上昇し脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。特に高齢者や高血圧のある利用者では非常に危険です。正しい方法は力を入れる際に息を吐き、戻す際に息を吸うという呼吸法を維持しながら行うことが基本です。

3 冬の寒い時期の運動中は、汗をかかなくても水分補給が必要である。
これは正解。冬の運動中は汗をかかなくても水分補給が必要です。冬は気温が低く発汗を自覚しにくいため水分補給を怠りがちですが、呼気や皮膚からの不感蒸泄(ふかんじょうせつ)などによる水分蒸発は、冬でも継続的に起きています。特に高齢者は口渇感が低下しているため脱水に気づきにくく、意識的な水分補給の習慣化が重要です。

4 疾病によるたんぱく質摂取に制限のない高齢者では、その摂取の目標量は1日30gである。
これは誤り。たんぱく質摂取制限のない高齢者の目標量は1日30gではなく、体重1kgあたり約1.0〜1.5gが目安で、体重50kgの高齢者であれば1日50〜75g程度が目標となります。たんぱく質が不足するとサルコペニア(筋肉量の低下)やフレイルが進行しやすくなるため食事内容の把握が重要です。

5 喫煙は、脳卒中のリスク因子である。
これは正解。喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を促進させるため、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の重要なリスク因子です。また、心疾患やがん、COPD(慢性閉塞性肺疾患)のリスクも高まるため、高齢者の禁煙支援は、非常に重要な関わりであることを理解しましょう。

第27回 問題27

バイタルサインについて適切なものはどれか。3つ選べ。
1 生命の維持にかかわる最も基本的な情報である。
2 感染症にかかっても、発熱しないことがある。
3 やせているため体温計を腋下部(腋の下)に密着できない場合には、正確に体温を測定できないことがある。
4 不整脈の有病率は、年齢層が高くなるにつれて減少する。
5 医師や看護師が血圧を測定すると低値になることが多い。

1 生命の維持にかかわる最も基本的な情報である。
これは正解。バイタルサインとは体温・脈拍・血圧・呼吸・意識レベルの5つを指し、生命活動が正常に機能しているかを判断する基本指標です。介護支援専門員として日常的な観察によりこれらの変化をいち早く察知し、医療職への迅速な連絡・連携につなげることが重要な役割です。

2 感染症にかかっても、発熱しないことがある。
これは正解。高齢者は加齢により免疫機能や体温調節機能が低下しているため、感染症に罹患しても発熱が現れないケースがあります。熱がないからと安心せず、食欲低下や元気がないといった「非典型的な症状」から異変を察知する視点が重要です。

3 やせているため体温計を腋下部(腋の下)に密着できない場合には、正確に体温を測定できないことがある。
これは正解。腋下検温は体温計を腋の下にしっかり密着させて閉じることで正確な値が得られます。やせているために腋下部に隙間ができると、正確な体温測定ができないことがあります。その場合は口腔検温や鼓膜検温など別の測定方法への切り替えを検討することが適切です。

4 不整脈の有病率は、年齢層が高くなるにつれて減少する。
これは誤り。不整脈の有病率は年齢層が高くなるにつれて「増加」します。これは加齢により心臓の電気伝導系や心筋に変化が生じるため、不整脈は高齢者に多くみられます。特に心房細動は加齢とともに有病率が上昇し、脳梗塞の重大なリスク因子となります。

5 医師や看護師が血圧を測定すると低値になることが多い。
これは誤り。医師や看護師が測定すると「高値」になることが多く、これを「白衣高血圧」といいます。白衣高血圧は、医療者が測定する際に利用者が緊張したり、不安になることから血圧が普段より上昇する現象です。そのため診察においては、自宅でリラックスした状態での家庭血圧測定を把握することが大切です。

次の記事

次は、検査について。

【検査】BMI、CRP、HbA1c、AST、ALT、血清アルブミン、血清クレアチニン
健康診断の検査項目の意味、知ってますか?見ていきましょう。様々な検査項目検査項目指標となる内容BMI肥満度CRP炎症や感染ヘモグロビンA1c(HbA1c)過去1~2か月の平均血糖値AST(GOT)肝機能、心筋、骨格筋ALT(GPT)肝機能血...

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