高齢者の精神疾患についても、毎年1問出題されています。しっかり学習しましょう。
高齢者の精神疾患
高齢者の精神疾患の背景には加齢による脳の変化(神経細胞の減少・脳血流の低下・神経伝達物質の変化など)が大きく関与しています。高齢者の精神疾患は、若年者のような典型的・定型的な症状が出にくく、「なんとなく体がだるい」「眠れない」「不安だ」など、訴えが多彩で曖昧になりやすい特徴があります。
老年期うつ病
老年期うつ病は、65歳以上の高齢者に生じるうつ病です。認知機能の低下を伴う「仮性認知症」がみられたり、逆に認知症の初期症状としてうつ症状が出ることもあり、認知症との区別が難しくなります。
症状は成人のうつ病と同様に抑うつ気分と興味・喜びの喪失が中核症状ですが、あまり表に出ません。代わりに、強い不安、緊張、焦燥感(イライラして落ち着かない様子)が目立つ傾向にあります。
<老年期うつ病に特徴的な症状>
- 自殺念慮(死んでしまいたい気持ち)
- 悲観的な思考(もう治らない病気になった、など)
- 精神運動激越(そわそわして落ち着かない、じっとしていられない)
- 心気症(ささいな症状を重大な病気ではないかと疑う)
- 身体症状(疲労感、痛み、めまい、しびれなど)
- 妄想(うつ病の三大妄想)
| うつ病の三大妄想 | 内容 |
|---|---|
| 罪業妄想 | 自分が重大な罪を犯した、あるいは周囲に多大な迷惑をかけていると思い込み、過度に自分を責めてしまう妄想 |
| 貧困妄想 | 実際には十分な財産や収入があるにもかかわらず、自分や家族が破産して路頭に迷うと思い込む妄想 |
| 心気妄想 | 身体に異常がない(あるいは軽い不調)にもかかわらず、重い病気にかかっていると確信し、何を言われても納得しない妄想 |

老年期うつ病のきっかけは、定年退職による社会的役割の喪失、経済的不安、健康の衰え、身近な人との死別など、高齢期特有の「喪失体験」が関わっていることが多いよ。薬の副作用としてうつ症状や幻覚などの精神症状を引き起こすこともあるよ。
老年期の統合失調症
統合失調症の症状には、陽性症状と陰性症状があります。
| 統合失調症の症状 | 例 |
|---|---|
| 陽性症状 | 幻覚、妄想、思考の混乱(滅裂思考) |
| 陰性症状 | 感情の平板化・感情鈍麻、意欲・自発性の欠如、ひきこもり |

老年期の統合失調症は、老年期うつ病と同じく身近な人との死別体験などの生活環境の変化が引き金になることが多いね。
老年期のアルコール依存症
老年期のアルコール依存症は、うつ病を合併しやすく、抑うつ状態を紛らわすための飲酒が依存を強め、うつ症状を悪化させることがあります。また、多量の飲酒は脳にダメージを与え、認知症や認知機能障害を併発させる危険性があります。
若い頃からの飲酒習慣が続いている「若年発症型(継続型)」と、高齢になってから定年退職や喪失体験を機に依存が始まる「老年発症型(新型)」の2つに分類されます。

アルコール依存症のケアでは、医療機関だけでなく、断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)といった自助グループも有効だね。同じ悩みを抱える仲間とつながることで、回復や断酒の継続につながりやすくなるからね。
遅発パラフレニー
遅発パラフレニーとは、主に60歳以上の高齢期に初めて発症する、幻聴や体系化された妄想を主症状とする妄想性障害で、「隣人に監視されている」「嫌がらせをされている」などの被害妄想が症状の中心です。認知症とは異なり、人格や知的機能は比較的保たれることが特徴です。
せん妄
せん妄とは、身体的な負担やストレスをきっかけに、急激に脳の機能が乱れて引き起こされる一時的な意識障害や錯乱状態で、高齢になるほど発症しやすくなります。せん妄には興奮する「過活動型」と元気がなくなり活動性が低下する「低活動型」があります。
せん妄の最大の特徴は症状の「日内変動」です。数時間から数日単位で症状の強さが急に変化し、さっきまで混乱していた状態が一時的に改善することもあります。

認知症の症状は比較的持続するのに対し、せん妄は時間経過で波のように変動するんだ。
認知症はせん妄のリスク因子のひとつです。認知症を有する人は脳の予備能力が低下しているため、わずかな身体的変化・環境変化・薬剤でもせん妄を発症しやすいとされています。認知症とせん妄は併存することも多く両者の区別が難しいケースも多々あります。
入院や施設入所などの急激な環境の変化(リロケーションダメージ)も、高齢者に大きなストレスを与え、せん妄を発症させる誘因となります。
せん妄の対応では、発症の引き金となった除去可能な要因がないか検討することが基本となります。具体的には、脱水、便秘、感染症、室温の不快さ、新規の薬剤など、原因となる身体的トラブルや環境要因を見つけて取り除くことで、せん妄が改善される場合があります。
過去問
第23回 問題35
老年期の精神障害について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 老年期うつ病では、心気的な訴えは少ない。
2 老年期うつ病では、気分の落ち込みよりも、不安、緊張、焦燥が目立つ。
3 老年期の統合失調症の症状の再発は、配偶者や近親者の死が要因となることがある。
4 老年期のアルコール依存症は、認知症を合併することはない。
5 遅発パラフレニーは、老年期の妄想性障害の代表的な疾患とされている。
老年期(高齢期)に生じる、うつ病・統合失調症・アルコール依存症・妄想性障害(遅発パラフレニー)など症状や合併症への理解が問われる問題です。ポイントとしては、若年期との違いや高齢者特有の心身の変化、環境要因などを整理して覚えることが大切です。
1 老年期うつ病では、心気的な訴えは少ない。
これは誤り。「心気的な訴え」とは、明確な身体的異常がないにもかかわらず、ささいな不調を「重大な病気ではないか」と過剰に恐れ、繰り返し訴えることを指します。老年期うつ病では、抑うつ気分よりも「体がだるい」「眠れない」「食欲がない」などの身体愁訴や心気的訴えが前面に出やすいのが特徴です。
2 老年期うつ病では、気分の落ち込みよりも、不安、緊張、焦燥が目立つ。
これは正解。高齢者のうつ病は、若年者のような典型的な「気分の落ち込み(抑うつ気分)」があまり表に出ません。代わりに、強い不安、緊張、焦燥感(イライラして落ち着かない様子)が目立つ傾向にあり、認知症のような症状を示す「仮性認知症」を呈することがあります。
3 老年期の統合失調症の症状の再発は、配偶者や近親者の死が要因となることがある。
これは正解。老年期の統合失調症や精神疾患は、環境の変化に強く影響を受けます。特に配偶者や近親者との死別体験は重大な心理的ストレスとなり、症状の再発を誘発する要因となるため、生活環境の変化への注意が必要です。
4 老年期のアルコール依存症は、認知症を合併することはない。
これは誤り。老年期のアルコール依存症は、認知症を高い頻度で合併します(アルコール性認知症など)。多量の飲酒は脳の萎縮を進行させ、認知機能を低下させる直接の原因になります。「合併しない」という記述は誤りで、老年期ではさらに認知症のリスクが高まることを理解しておきましょう。
5 遅発パラフレニーは、老年期の妄想性障害の代表的な疾患とされている。
これは正解。「遅発パラフレニー」とは、主に60歳以上の高齢期に初めて発症する、幻聴や体系化された妄想を主症状とする妄想性障害で、「隣人に監視されている」「嫌がらせをされている」などの被害妄想が症状の中心です。認知症とは異なり、人格や知的機能は比較的保たれることが特徴の疾患です。
第24回 問題32
高齢者の精神疾患について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 精神症状は定型的でなく、訴えが多彩かつ曖昧なのが特徴である。
2 老年期の抑うつの背景要因としては、社会的役割の喪失などがある。
3 老年期うつ病は、1年後に半数以上が認知症に移行する。
4 アルコール依存症の患者数に占める高齢者の割合は、近年急速に減少している。
5 老年期のアルコール依存症には、若年発症型と老年発症型がある。
高齢者に見られる精神疾患の特徴について問う問題です。老年期うつ病、アルコール依存症、精神症状の現れ方など、高齢者特有の精神疾患と心の健康に関する基礎知識が幅広く問われています。
1 精神症状は定型的でなく、訴えが多彩かつ曖昧なのが特徴である。
これは正解。高齢者の精神疾患は、若年者のような典型的・定型的な症状が出にくく、「なんとなく体がだるい」「眠れない」「不安だ」など、訴えが多彩で曖昧になりやすい特徴があります。そのため、周囲が精神疾患だと気づくのが遅れやすいため、試験でも非常に重要視される基本知識です。
2 老年期の抑うつの背景要因としては、社会的役割の喪失などがある。
これは正解。老年期の抑うつ(うつ状態)を引き起こす背景には、定年退職による社会的役割の喪失、経済的不安、健康の衰え、身近な人との死別など、高齢期特有の「喪失体験」が深く関わっています。環境要因や心理的ストレスが発症の引き金になるという点は非常に重要です。
3 老年期うつ病は、1年後に半数以上が認知症に移行する。
これは誤り。老年期うつ病では、認知機能の低下を伴う「仮性認知症」がみられることがありますが、適切な治療を行うことによって改善する場合も多くあります。また、老年期うつ病は認知症の危険因子とされていますが、「1年後に半数以上が認知症に移行する」という事実はありません。
4 アルコール依存症の患者数に占める高齢者の割合は、近年急速に減少している。
これは誤り。高齢者のアルコール依存症は、退職後の孤独感や生活環境の変化、時間の余裕などが飲酒量の増加につながりやすく、「急速に減少」という記述は誤りです。
5 老年期のアルコール依存症には、若年発症型と老年発症型がある。
これは正解。老年期のアルコール依存症は、若い頃からの飲酒習慣が続いている「若年発症型(継続型)」と、高齢になってから定年退職や喪失体験を機に依存が始まる「老年発症型(新型)」の2つに分類されます。特に老年発症型は、退職後などの環境変化が原因になりやすいため、支援の現場でも重要視されています。
第25回 問題27
高齢者の精神障害について、より適切なものはどれか。2つ選べ。
1 老年期うつ病では、妄想の症状が発現することはない。
2 老年期うつ病では、自死を図ることはない。
3 高齢者の妄想性障害への対応では、共感が大切な要素である。
4 神経症は、病気ではなく、気のもちようである。
5 アルコール依存症のケアには、自助グループなどの地域の社会資源の活用も有用である。
高齢者の精神障害について、症状の特徴や支援方法を問う問題です。老年期うつ病、妄想性障害、神経症、アルコール依存症への理解だけでなく、支援姿勢や社会資源の活用なども問われています。問題文の「より適切なもの2つ」という形式にも注意して解答する必要があります。
1 老年期うつ病では、妄想の症状が発現することはない。
これは誤り。老年期うつ病では、妄想の症状(微小妄想)が発現することがあります。具体的には、病気だと思い込む「心気妄想」、破産すると恐れる「貧困妄想」、罪を犯したと責める「罪業妄想」が三大妄想と言われています。老年期うつ病では、抑うつ気分だけでなく、妄想を伴うこともあると理解しましょう。
2 老年期うつ病では、自死を図ることはない。
これは誤り。高齢者のうつ病では、自死(自殺)を図るリスクが非常に高いため、細心の注意が必要です。また、高齢者は若年者と比べて、自殺企図の致死率が高いという深刻な特徴があります。
3 高齢者の妄想性障害への対応では、共感が大切な要素である。
これは正解。妄想性障害のある高齢者への対応では、本人の世界観や不安な気持ちに寄り添う「共感」が非常に大切な要素となります。周囲が頭ごなしに否定したり反論したりすると、孤立感を深め、不信感を強めてしまいます。本人の話を否定せず傾聴し、主治医や専門医への相談・連携を検討することが大切です。
4 神経症は、病気ではなく、気のもちようである。
これは誤り。神経症(不安障害や強迫性障害、恐怖症など)は、個人の性格や「気のもちよう」ではなく、治療やケアが必要な精神疾患です。選択肢のような偏見が本人の心を傷つけ支援の妨げになるため、初期の段階から適切な医療やカウンセリングが必要となります。
5 アルコール依存症のケアには、自助グループなどの地域の社会資源の活用も有用である。
これは正解。アルコール依存症のケアでは、医療機関だけでなく、断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)といった自助グループなどの地域の社会資源を活用することが有効です。同じ悩みを抱える仲間とつながることで、回復や断酒の継続につながりやすくなります。
第26回 問題32
次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 高齢者は、急激な環境の変化があっても、環境への適応力は高い。
2 せん妄の有病率は、年齢とともに上昇する。
3 せん妄については、その発症に至ったきっかけで除去可能な要因がないか検討する。
4 身体疾患の治療薬の中には、うつなどの精神症状を引き起こすものがある。
5 統合失調症の陰性症状とは、妄想や幻覚をいう。
高齢者の環境適応力・せん妄の特徴と対応・薬剤性精神症状・統合失調症の症状分類など、幅広い知識を問う問題です。特に「せん妄」の要因や対応、薬剤による精神症状への影響、統合失調症の基本症状などが問われており、より幅広い医学的な知識が求められています。
1 高齢者は、急激な環境の変化があっても、環境への適応力は高い。
これは誤り。高齢者は加齢に伴い環境への適応力が低下するのが特徴です。入院・施設入所・引っ越しなどによる急激な環境変化(リロケーションダメージ)は、強い精神的ストレスとなり、認知症の悪化や「せん妄」を引き起こす大きな原因となります。
2 せん妄の有病率は、年齢とともに上昇する。
これは正解。せん妄(一時的な意識障害や混乱状態)は高齢になるほど発症しやすいのが特徴です。高齢になると脳の機能や予備能力が低下することで、わずかな身体的・精神的ストレスでもせん妄を発症しやすくなるため、早期発見・早期対応の視点が重要です。
3 せん妄については、その発症に至ったきっかけで除去可能な要因がないか検討する。
これは正解。せん妄の対応では、発症の引き金となった除去可能な要因がないか検討することが基本となります。具体的には、脱水、便秘、感染症、室温の不快さ、新規の薬剤など、原因となる身体的トラブルや環境要因を見つけて取り除くことで、せん妄が改善される場合があります。
4 身体疾患の治療薬の中には、うつなどの精神症状を引き起こすものがある。
これは正解。ステロイド剤・抗パーキンソン病薬・降圧剤・睡眠薬などは、副作用としてうつ症状や幻覚などの精神症状を引き起こすことがあります。また高齢者は多剤併用(ポリファーマシー)になりやすく、薬剤性精神症状への注意は特に重要です。
5 統合失調症の陰性症状とは、妄想や幻覚をいう。
これは誤り。妄想・幻覚は「陽性症状」です。一方「陰性症状」とは、感情の平板化(喜怒哀楽がなくなる)・意欲低下・思考の貧困化・社会的引きこもりなど、本来あるべき機能が失われた状態を指します。このような「陽性」と「陰性」の言葉の意味を入れ替えた問題が出題されるため注意が必要です。
第27回 問題26
せん妄に関する次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1 日常生活における活動性が低下することがある。
2 認知症を有する人は、せん妄を起こしやすい。
3 治療は、誘因にかかわらず薬物治療を最優先とする。
4 せん妄の程度は、時間の経過とともに変化することがある。
5 夜間にせん妄を起こす高齢者には、日中の睡眠を十分にとらせる。
せん妄の症状・リスク因子・治療方針・日常ケアに関する知識を問う問題です。せん妄は高齢者ケアの現場で非常に重要な症状で、試験でも繰り返し出題されています。症状の特徴だけでなく、その対応が正しいのかどうかを見極める実践的判断力が求められます。
1 日常生活における活動性が低下することがある。
これは正解。せん妄には興奮する「過活動型」だけでなく、元気がなくなり活動性が低下する「低活動型」があります。低活動型はうつ状態や認知症の進行などと間違いやすく、見落とされがちです。試験対策としては「静かなせん妄もある」と覚えるようにしましょう。
2 認知症を有する人は、せん妄を起こしやすい。
これは正解。認知症はせん妄の最大のリスク因子のひとつです。認知症を有する人は脳の予備能力が低下しているため、わずかな身体的変化・環境変化・薬剤でもせん妄を発症しやすいとされています。認知症とせん妄は併存することも多く両者の区別が難しいケースも多々あります。
3 治療は、誘因にかかわらず薬物治療を最優先とする。
これは誤り。せん妄の治療は、原因となっている因子(脱水、便秘、感染症などの身体的要因や薬剤)の特定・除去と、環境調整が最優先です。薬物療法は興奮や不眠が強く安全確保が必要な場合などに限定的に用いることが基本です。「誘因にかかわらず薬物治療を最優先」するような対応は逆に症状を悪化させるリスクが高まります。
4 せん妄の程度は、時間の経過とともに変化することがある。
これは正解。せん妄の最大の特徴は症状の「日内変動」です。数時間から数日単位で症状の強さが急に変化し、さっきまで混乱していた状態が一時的に改善することもあります。認知症の症状は比較的持続するのに対し、せん妄は「時間経過で波のように変動する」という違いを覚えることが重要です。
5 夜間にせん妄を起こす高齢者には、日中の睡眠を十分にとらせる。
これは誤り。夜間にせん妄があるからといって日中に睡眠をとらせると、昼夜逆転がさらに悪化し、夜間の混乱がさらに強くなります。できるだけ日中の覚醒を促し適度な活動や日光浴など、コミュニケーションを通じて生活リズムを整えることが大切です。
第27回 問題30
高齢者の精神疾患について、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 要因の一つに、脳の加齢性変化がある。
2 うつ病では、自殺リスクはない。
3 配偶者や近親者の死が、うつ病の要因となることがある。
4 アルコール依存症は、うつ病を合併することはない。
5 精神症状が定型的でなく、訴えは多彩かつ曖昧であることがある。
1 要因の一つに、脳の加齢性変化がある。
これは正解。高齢者の精神疾患の背景には加齢による脳の変化(神経細胞の減少・脳血流の低下・神経伝達物質の変化など)が大きく関与しています。これらの変化は、高齢者の精神疾患の発症に影響するとされています。
2 うつ病では、自殺リスクはない。
これは誤り。うつ病は自殺リスクが最も高い精神疾患の一つとされており、特に高齢者は若年者と比べて自殺の完遂率が高く、「自殺リスクはない」という表現は誤りです。「死んでしまいたい」などの希死念慮がみられる場合は、傾聴するとともに、医療職を含めた専門職と連携して対応することが大切です。
3 配偶者や近親者の死が、うつ病の要因となることがある。
これは正解。老年期は死別・退職・身体機能低下・社会的孤立など喪失体験が重なりやすい時期です。特に配偶者や近親者の死(喪失体験)は、高齢者のうつ病を発症させる重大な環境要因となります。実務でも生活背景をアセスメントする際に重要となる視点です。
4 アルコール依存症は、うつ病を合併することはない。
これは誤り。アルコール依存症は、うつ病を合併する確率が非常に高い精神障害です。アルコールの長期摂取は中枢神経に影響を与え、抑うつ状態を紛らわすための飲酒が依存を強め、うつ症状を悪化させることがあります。
5 精神症状が定型的でなく、訴えは多彩かつ曖昧であることがある。
これは正解。高齢者の精神疾患は若年者のような典型的な症状が出にくく、「なんとなく不調」「体がだるい」「眠れない」など、身体症状として現れることも少なくありません。そのため症状の訴えが曖昧で分かりにくいことがあります。
第28回 問題31
次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1 せん妄の発症の誘因の一つとして、入院や施設入所などの環境の変化がある。
2 高齢者では、薬剤によって精神症状を生じやすい。
3 統合失調症の症状の一つに、幻覚がある。
4 老年期のアルコール依存症では、認知症を合併することはない。
5 老年期うつ病では、妄想の症状が生じることはない。
1 せん妄の発症の誘因の一つとして、入院や施設入所などの環境の変化がある。
これは正解。入院や施設入所などの急激な環境の変化(リロケーションダメージ)は、高齢者に大きなストレスを与え、せん妄を発症させる誘因となります。
2 高齢者では、薬剤によって精神症状を生じやすい。
これは正解。高齢者は、肝機能や腎機能の低下により薬剤が体内に残りやすく、薬剤の副作用によって、せん妄・幻覚・抑うつ状態などの精神症状を生じやすい特徴があります。
3 統合失調症の症状の一つに、幻覚がある。
これは正解。統合失調症の陽性症状として幻覚(特に幻聴)・妄想・思考障害などがあります。実際には存在しないものが見えたり聞こえたりする症状(幻覚)や、事実ではないことを強く信じ込む症状(妄想)がみられます。「幻覚・妄想」は陽性症状、「感情の平板化(喜怒哀楽が乏しくなる)」は陰性症状とセットで覚えましょう。
4 老年期のアルコール依存症では、認知症を合併することはない。
これは誤り。老年期のアルコール依存症では、認知機能障害や認知症を合併しやすいとされています。多量の飲酒は脳にダメージを与え、ウェルニッケ脳症やコルサコフ症候群など認知機能障害を併発させる危険性があります。
5 老年期うつ病では、妄想の症状が生じることはない。
これは誤り。老年期うつ病では、心気妄想、貧困妄想、罪業妄想(三大妄想)などの妄想の症状が生じることがあります。高齢者のうつは若年者よりも妄想を伴いやすいのが特徴です。また「〜ない」と断定する選択肢は誤りである場合も多いため、注意が必要です。
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次は、介護福祉職にとっては必須の知識「応急処置」について。



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