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【介護】ボディメカニクスとは?

入浴&排泄 保健医療サービスの知識等

今回の内容は、出題頻度は高くありませんので飛ばしてもOKです。

ボディメカニクス

介護の基本はボディメカニクスを理解することです。

介護は重労働だと思われがちですが、ボディメカニクスの基本原則を理解し介護に応用することで、最小限の力で身体介助ができるようになり、介助する側とされる側双方の身体的負担を軽減できます。以下のボディメカニクスの原則は押さえておきましょう。

<ボディメカニクスの基本原則>
・支持基底面積を広くする
・重心の位置を低くする
・垂直移動より水平移動
・重心を近づける
・てこの原理を使う
・身体を小さくまとめる
・大きな筋肉を使う
・押すより引く

体重を支えるために必要な床面積を支持基底面といい、これを広くすることで介助する際の安定感が確保できます。足を揃えて直立したときより肩幅くらいに両脚を開いた姿勢の方が安定するのはこのためです。さらに重心の位置を低くすることで安定感が増します。

また、移動の際には重力に逆らった垂直移動より、水平移動を意識すると負担が減ります。

介助者は利用者と身体をできるだけ密着させて重心を近づけると、より小さい力で介助できます。

てこの原理で支点・力点・作用点を意識すると小さな力でも安定した介助ができます。

利用者の身体を小さくまとめることも、介助者の負担を軽減します。

全身の筋肉を使うことを意識することも重要です。例えば腰だけで持ち上げるのではなく、腰・脚・背中といった全身の大きな筋肉を一緒に使うことで、身体の一部分への負担を減らすことができます。

押す動作よりも引く動作のほうが必要な力が小さくなります。

清潔

入浴

入浴には身体の汚れを落として清潔を保つだけでなく、血液循環の促進、新陳代謝の活性化、筋肉のリラックス、精神的安定など多くの効果があります。一方で血圧変動・転倒・ヒートショックなどのリスクも伴うため、安全管理においても重要なケアと言えます。

入浴の効果内容
浮力作用浮力によって体重が支えられ、普段体重を支えている関節はその加重から解放されるので、入浴中に関節運動を促すと良い
温熱作用体が温められることで、血液の流れがよくなり、循環機能が高まり新陳代謝も良くなる
静水圧作用適度な水圧で血管が圧迫されることにより血液やリンパの循環を促してくれる

清拭

清拭とは、病気やケガなどで入浴ができない人に、タオルなどで体を拭くことです。清拭を行う際は衣服を脱いで肌を露出するため、身体が冷えたり不快感を生じたりしないよう、事前に室温を確認し快適な環境を整えることが重要です。

清拭のポイントは以下の4点です。

・末梢から中枢に向けて拭く
・腹部は腸に沿って「の」の字を描くように拭く
・目の周りは目頭から目尻に向かって一方向に拭く
・女性の陰部洗浄では尿道口から洗い、最後に肛門部を洗う

排泄

排便

排便の仕組みは、①胃・結腸反射、②結腸の蠕動運動、③直腸の排便反射、の3つに分けられます。

排便の流れ詳細
①胃・結腸反射食べ物が胃に入ると結腸が反射的に蠕動運動を起こす
②結腸の蠕動運動結腸の蠕動運動で食べ物が上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸と運ばれる
③直腸の排便反射直腸にある程度便が溜まると便意を感じる
消化器

排便が促される条件として、以下の点を押さえておきましょう。

・食事を摂る
・副交感神経優位
・外肛門括約筋を弛緩させる

便秘

器質性便秘

器質性便秘は、小腸や大腸、肛門などの疾患によって便の通過が物理的に妨げられて便秘になることです。

機能性便秘

機能性便秘は、食事や運動などの生活習慣が原因で大腸が機能不全を起こした状態です。

以下の3種類があります。

弛緩性便秘

弛緩性便秘は、食物繊維不足や運動不足、筋力低下などによって大腸の運動機能が低下することで起こる便秘です。

けいれん性便秘

けいれん性便秘は、自律神経のバランスが崩れ、大腸の過緊張によって蠕動運動が激しくなりすぎ痙攣が起こることで腸内に便が滞ることです。

けいれん性便秘では、ウサギの糞のような硬くてコロコロした便が出ます。

直腸性便秘

直腸性便秘は、便意を我慢したり浣腸などのしすぎによって便意を催さなくなるために起こる便秘です。

介護福祉職は、利用者の便秘への対応に市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器を使用することが認められています。使用する場合の注意点は以下の通りです。
・使用時は39~40℃に温める(身体への負担軽減)
・浣腸液はゆっくり注入する(身体への負担軽減)
・立位で行うとチューブが直腸粘膜を傷つける恐れあり
・注入後は3~5分程度排便を我慢する(直後だと浣腸液のみが排出される)
・決められた用法や用量を守る(排便がなくても)

便失禁

切迫性便失禁

切迫性便失禁は、外肛門括約筋の障害による、急激な便意と下痢が特徴です。

漏出性便失禁

漏出性便失禁は、内肛門括約筋の低下による便意のない便漏れです。

機能性便失禁

機能性便失禁は、認知機能や身体的機能の低下による便漏れです。

排泄アセスメント

排泄のアセスメントでは、排泄場所がトイレの場合、居室からトイレまでの動線全体の環境を確認することが重要です。具体的には居室・廊下・トイレの温度・明るさ・段差・手すりの有無などを確認します。特に高齢者では、暗さによる転倒や、寒さによる移動意欲の低下などが排泄行動に影響するため、環境面の確認が重要です。

また、1週間の回数だけでなく、便の性状(硬さ・色・形)・排便時の痛みや努責感(いきみ)・残便感・使用している薬剤の影響なども確認する必要があります。

ブリストル便性状スケール(BSFS:Bristol Stool Form Scale)は、便の形状と硬さを7段階で分類し、便の状態を評価するための指標です。

形状説明
コロコロ便硬くてコロコロの兎糞状の便
硬い便ソーセージ状(バナナ状)であるが硬い便
やや硬い便表面にひび割れのあるソーセージ状の便
普通便表面が滑らかで柔らかいソーセージ状か蛇のようなとぐろを巻く便
やや柔らかい便やわらかい半固形状の便
泥状便境界がほぐれた不定形の便
水様便水様で、固形物を含まない液体状の便

排尿

正常な尿の性質について、以下の点を押さえておきましょう。

・淡黄色、透明
・弱酸性(中性)
・排尿直後はアンモニア臭はしない
・たんぱく質は含まれない
・糖は含まれない

尿失禁

反射性尿失禁

脊髄損傷などの障害で尿意を感じられずに起こる失禁です。

心因性頻尿

失禁への不安から頻尿になることです。

溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)

「溢」は「あふれる」という意味です。

前立腺肥大などによって排尿できず、尿が溢れることで失禁します。

前立腺肥大症:前立腺が肥大することで排尿障害を引き起こす病気。前立腺は男性のみに存在し尿道を囲っているため肥大すれば尿道を圧迫する。加齢によるものが多い。
機能性尿失禁

認知症や麻痺などが原因でトイレに間に合わずに失禁することです。

認知症の場合は認知機能の低下、麻痺の場合は身体機能の低下、つまり「機能」の低下による失禁が機能性尿失禁です。

腹圧性尿失禁

くしゃみや咳などで腹圧がかかって尿が漏れることです。

カリスマくん
カリスマくん

爆笑しておしっこ漏らすこともあるよね。

切迫性尿失禁

強い尿意があって我慢できずに失禁することです。

何か別の病気が原因となっていることもあります。

尿路感染症

尿路感染症は、尿路に細菌(大腸菌、ブドウ球菌など)が侵入して炎症が起きる感染症です。腎盂腎炎や膀胱炎を発症する危険性があるため、予防のために陰部や臀部を清潔に保つことが大切です。

カリスマくん
カリスマくん

おむつを着用していると尿路感染症になりやすいね。

過去問

第24回 問題29

排泄について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 排泄のアセスメントでは、排泄場所がトイレの場合には、居室、廊下、トイレの温度や明るさを確認する。
2 排泄のアセスメントでは、排便については、1週間の回数のみを確認すればよい。
3 強い尿意とともに尿が漏れることを、腹圧性尿失禁という。
4 排泄の介助に伴い、家族は腰痛や睡眠不足などの身体的影響を受けることがある。
5 食事内容の確認は、排泄のコントロールに必要である。

この問題は、排泄に関するアセスメントの視点・尿失禁の種類・家族への影響・食事との関連など、排泄支援に必要な幅広い知識を問う内容で、介護現場での排泄ケアの基本や、介護支援専門職としてのアセスメント能力が問われています。

1 排泄のアセスメントでは、排泄場所がトイレの場合には、居室、廊下、トイレの温度や明るさを確認する。
これは正解。排泄のアセスメントでは、排泄場所がトイレの場合、居室からトイレまでの動線全体の環境を確認することが重要です。具体的には居室・廊下・トイレの温度・明るさ・段差・手すりの有無などを確認します。特に高齢者では、暗さによる転倒や、寒さによる移動意欲の低下などが排泄行動に影響するため、環境面の確認が重要です。

2 排泄のアセスメントでは、排便については、1週間の回数のみを確認すればよい。
これは誤り。排便のアセスメントでは、1週間の回数だけでなく、便の性状(硬さ・色・形)・排便時の痛みや努責感(いきみ)・残便感・使用している薬剤の影響なども確認する必要があります。排便回数のみの確認では便秘や下痢、血便などの異常を見逃す可能性が高く、包括的なアセスメントとは言えません。

3 強い尿意とともに尿が漏れることを、腹圧性尿失禁という。
これは誤り。「強い尿意とともに尿が漏れる」のは切迫性尿失禁です。腹圧性尿失禁とは、咳・くしゃみ・笑い・運動など腹圧がかかった際に尿が漏れるタイプの失禁で、女性に多い(骨盤底筋群の緩みが原因)という特徴があります。この2つの尿失禁の違いは試験でも頻出であるため、混同しないように覚えておくことが重要です。

4 排泄の介助に伴い、家族は腰痛や睡眠不足などの身体的影響を受けることがある。
これは正解。排泄介助は介護の中でも身体的・精神的負担が大きいケアの一つで、24時間体制で何度も発生するため、睡眠不足や排泄介助による腰痛、心理的な負担など、家族介護者への影響は多岐にわたります。介護支援専門員は家族の介護力についてもアセスメントを通して把握し、状況に応じたレスパイトケアの導入などを検討することが重要です。

5 食事内容の確認は、排泄のコントロールに必要である。
これは正解。食事内容は排泄に直接影響します。水分摂取量・食物繊維の量・食事の規則性などは便通や排尿に深く関わります。適切な排泄のコントロールを行うには、食事内容や摂取量、水分摂取状況、服用薬剤などのアセスメントが不可欠であり、このような栄養面からのアプローチも重要です。

第25回 問題30

次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1 介護を行うときには、利用者の残存能力をできる限り活かす。
2 入浴は、全身の保清を図り、血液循環や新陳代謝を促進する。
3 清拭をするときには、その部屋の温度を確認する。
4 尿失禁とは、尿を全部出しきれず、膀胱の中に尿が残ることをいう。
5 ボディメカニクスとは、起床、食事、排泄など、利用者の生活リズムを取り戻すことをいう。

この問題は、介護の基本的な考え方と実践知識を問う問題です。保有能力の活用・入浴の効果・清拭時の環境確認・尿失禁の定義・ボディメカニクスなど、介護現場で必須の基礎知識が幅広く問われています。

1 介護を行うときには、利用者の残存能力をできる限り活かす。
これは正解。介護の基本理念として、利用者が持つ保有能力(現状できていること)を最大限に活かすことが重要です。過剰な介助は本人の意欲を低下させ、かえって心身の機能を低下させる原因(廃用症候群など)を招きます。本人ができることは本人に行ってもらい、できない部分を支援するという「自立支援」の視点が重要です。

補足:「残存能力」という言葉はネガティブな印象を与えてしまうため、近年では「保有能力」や「現有能力」などのポジティブな言葉が使われています。

2 入浴は、全身の保清を図り、血液循環や新陳代謝を促進する。
これは正解。入浴には身体の汚れを落として清潔を保つだけでなく、血液循環の促進、新陳代謝の活性化、筋肉のリラックス、精神的安定など多くの効果があります。一方で血圧変動・転倒・ヒートショックなどのリスクも伴うため、安全管理においても重要なケアと言えます。

3 清拭をするときには、その部屋の温度を確認する。
これは正解。清拭(せいしき)とは、タオルなどで身体を拭いて清潔を保つケアです。清拭を行う際は衣服を脱いで肌を露出するため、身体が冷えたり不快感を生じたりしないよう、事前に室温を確認し快適な環境を整えることが重要です。

4 尿失禁とは、尿を全部出しきれず、膀胱の中に尿が残ることをいう。
これは誤り。尿失禁とは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態のことで、「尿を出しきれず膀胱に残る」状態は「残尿」の説明です。また、尿失禁には腹圧性・切迫性・溢流性・機能性の4種類があり、それぞれの失禁の違いを区別して理解しましょう。

5 ボディメカニクスとは、起床、食事、排泄など、利用者の生活リズムを取り戻すことをいう。
これは誤り。ボディメカニクスとは、人体の骨格・筋肉・関節などの力学的な仕組みを活用して、最小限の力で安全・効率的に介助を行う技術のことです。一方、「生活リズムを取り戻すこと」は生活リハビリテーションや生活習慣の改善などを指します。混同しないように注意が必要です。

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