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【ターミナルケア】リビング・ウィル&アドバンス・ケア・プランニング

ターミナルケア 保健医療サービスの知識等

人はいつか死にます。

今日、朝「いってきます」と出発した人が、帰らぬ人になるかもしれません。

そんな時、「いってらっしゃい」が言えなかったとしたら、一生後悔するかもしれません。

あなたの大切な人がそばにいることは、あたりまえではありません。

こんな不意の死、急な別れがある一方で、高齢や病気で死期が近いことが分かれば、自分の意思を残しておくことができます。

そんな自分の意思を遺す仕組みについて知りましょう。

終末期の意思決定支援

「社会保障制度改革推進法(第6条第4項)」において、人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境整備は、政府の努力義務とされています。具体的には医療と介護の連携強化、意思決定の支援、そして普及啓発を軸とした地域包括ケアシステムの構築や、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)など近年の意思決定支援の取り組みも進められています。

リビング・ウィル

リビング・ウィルとは「元気なうちに自分の意思を記しておくこと」で、終末期の医療やケアについての意思表明のようなものです。

リビング(living=生きている)、ウィル(will=意思)で、「生きているうちの(元気なうちの)意思」ということです。

コンセンサス・ベースド・アプローチ

コンセンサス・ベースド・アプローチとは、重度の認知機能障害などにより本人の意思確認が困難な場合に、家族に加えて複数の医療・介護専門職が集まり、方針について合意形成を図る方法です。

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)

アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning :ACP)は「人生会議」という愛称で呼ばれます。

本人と家族が医療者や介護者と一緒に、意思決定能力が低下する場合に備えて、あらかじめ終末期を含めた今後の医療や介護について話し合うことや、意思決定が出来なくなったときに備えて、本人に代わって意思決定をする人を決めておくプロセスを意味しています。

厚生労働省は2018年に以下のACPに関するガイドラインを示しています。

「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018年(平成30年)改訂(厚生労働省))

リビング・ウィルとアドバンス・ケア・プランニングの違い

リビング・ウィルは本人の意思を本人が表明する「意思表明書」、ACPは家族や医療者、介護者を交えて作成する「周囲へ向けた指示書」のようなものです。

死の経過

特養などの介護保険施設だけでなく、特定施設入居者生活介護の指定を受けた特定施設(有料老人ホームなど)でも、医療機関と連携しながらターミナルケア(看取り)を行うことが可能です。施設の介護職員は人が亡くなる直前の状態を知っておく必要があります。

死亡数時間前から数日前

死亡直前(死亡数時間前から数日前)になると飲み込む力がなくなるために、唾液や痰がたまってゴロゴロという音がします。

この音を「死前喘鳴」と呼びます。

カリスマくん
カリスマくん

喘鳴というのは、呼吸をするときに、ヒューヒュー、ゼーゼーなどと音がすることだよ。

このとき唾液や痰を吸引するようなことはせず、自然なことなのでそのまま見守るのが一般的です。

死亡直前

人が死ぬ直前には「下顎呼吸」が起こります。

下顎呼吸とは、下顎を上下させ口をパクパクさせてあえぐような呼吸です。

カリスマくん
カリスマくん

下顎とは下アゴのことだね。

終末期には疼痛の緩和のために鎮痛剤のモルヒネを使用することがあり、薬剤の使用による呼吸運動の抑制でバイタルサインが低下することがあります。呼吸状態の観察は重要です。

死後20~30分

人が死んで20~30分ほど経過すると、皮膚の表面に「死斑(しはん)」と呼ばれるアザのようなものができます。

これは、死ぬことで血液循環が停止して、重力に従って血液が溜まり、血液の色が皮膚に沈着する現象です。

死後2~3時間

死後2~3時間経過すると、下顎や首の筋肉から死後硬直が始まります。

死の直前直後
カリスマくん
カリスマくん

死亡診断書を作成できるのは医師または歯科医師のみだね。

安楽死と尊厳死

安楽死には「積極的安楽死」と「消極的安楽死(尊厳死)」の2種類あります。
一般的に「安楽死」とは「積極的安楽死」のことを指し、「消極的安楽死」のことを「尊厳死」といいます。

安楽死の種類別名詳細
積極的安楽死安楽死回復の見込みがない病気などの場合、本人の意思に基づいて、その苦痛を和らげるために、薬物などで人為的に死を迎えさせること
消極的安楽死尊厳死回復の見込みがない病気などの場合、本人の意思に基づいて、その人の尊厳のために人工呼吸器などの生命維持装置を外して延命治療を行わず、寿命が尽きたときに自然な死を迎えさせること

 

カリスマくん
カリスマくん

日本では消極的安楽死(尊厳死)は日常行われているけど、積極的安楽死は違法だから、合法とされているスイスなどへ渡って安楽死を望む人も・・・

看取り後のケア

グリーフケア

グリーフとは「深い悲しみ、悲嘆」のことです。

大切な人を失ったりすると喪失感に打ちのめされそうになります。

このような「グリーフ」をケアするのがグリーフケアです。

グリーフケアでは、悲嘆が正常な反応であることを伝え、悲嘆が長期化した時は精神保健の専門家の介入を検討します。

グリーフケアは、このような深い悲しみから立ち直る力、回復をもたらす力(レジリエンス)を与えてくれます。

カリスマくん
カリスマくん

グリーフケアは残された人に対するケアだね。

エンゼルケア

エンゼルケアは、死後に身体を清潔にし、その人らしい外見に整えるケアです。利用者の尊厳を守るだけでなく、遺された家族が悲嘆(グリーフ)と向き合い、穏やかに別れを受け入れるためのグリーフケアとしても重要な意味を持ちます。

デスカンファレンス

デスカンファレンスは、患者を看取った後に行われるカンファレンス(会議)です。
終末期のケアを振り返って、今後

過去問

第23回 問題41

ターミナルケアに関する次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 本人の人生観や生命観などの情報は、関係者で共有すべきではない。
2 リビングウィルとは、本人の意思が明確なうちに、医療やケアに関する選択を本人が表明しておくことをいう。
3 重度の認知機能障害などを有する利用者の場合に、家族に加えて複数の医療・介護専門職が集まって方針を決める方法をコンセンサス・ベースド・アプローチという。
4 医学的観点だけに基づく診療方針の決定では、本人の意向に反する結果となるおそれがある。
5 介護保険の特定施設では、ターミナルケアは提供できない。

この問題は、ターミナルケア(終末期ケア)に関する基本的な知識と考え方を問う問題です。リビングウィル・意思決定支援・コンセンサス・ベースド・アプローチなど、終末期における本人の意思尊重と多職種連携について正確な理解が求められます。

1 本人の人生観や生命観などの情報は、関係者で共有すべきではない。
これは誤り。ターミナルケアにおいて、本人がどのような価値観や人生観を持って生きてきたかという情報は、本人の望む看取りを実現するために極めて重要です。これらの情報は抱え込まず、医療・介護の関係者間で積極的に共有し、一貫したケアを提供することが不可欠です。

2 リビングウィルとは、本人の意思が明確なうちに、医療やケアに関する選択を本人が表明しておくことをいう。
これは正解。リビングウィル(事前の意思表明)とは、将来、自分の意思を伝えられなくなった時に備え、どのような医療やケアを望むかを意識が明確なうちに書面などで表明しておくことです。本人の自己決定権を尊重する現代の看取りにおいて不可欠な概念です。

3 重度の認知機能障害などを有する利用者の場合に、家族に加えて複数の医療・介護専門職が集まって方針を決める方法をコンセンサス・ベースド・アプローチという。
これは正解。コンセンサス・ベースド・アプローチとは、重度の認知機能障害などにより本人の意思確認が困難な場合に、家族に加えて複数の医療・介護専門職が集まり、方針について合意形成を図る方法です。本人の意思が直接確認できない場合の意思決定支援の重要な手法として覚えておきましょう。

4 医学的観点だけに基づく診療方針の決定では、本人の意向に反する結果となるおそれがある。
これは正解。医学的観点だけに基づいて診療方針を決定すると、本人が望む生き方や価値観が反映されない結果となる恐れがあります。医療と介護がバランスよく連携し、本人の意向・QOL(生活の質)を総合的に考慮した意思決定支援が不可欠です。

5 介護保険の特定施設では、ターミナルケアは提供できない。
これは誤り。介護保険の特定施設(有料老人ホームなど)でも、ターミナルケアを提供することは可能です。特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設では、看護職員の配置や医療機関との連携のもとでターミナルケアを行うことができます。

第24回 問題40

高齢者の臨死期のケアについて、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 つじつまの合わないことを言う場合も、それを否定せずに対応する。
2 反応がないように見えても、いつもどおりの声かけをする。
3 息苦しさが楽になるように、常にベッドを平らにする。
4 口腔内の保湿や清潔を保つ。
5 急変時の対応は、そのときに考えればよい。

高齢者の臨死期(死が近い時期)における具体的なケアの方法と心構えを問う問題です。意識の混濁や反応の低下、呼吸困難といった死が近づいた高齢者に現れる特有の症状に対し、尊厳を守る倫理的な姿勢と、苦痛を緩和する適切な知識など、実践的な力が試されます。

1 つじつまの合わないことを言う場合も、それを否定せずに対応する。
これは正解。臨死期には意識混濁やせん妄により、つじつまの合わない発言が見られることがあります。否定したり訂正したりすると、本人の不安や混乱、孤独感を強めてしまうため、穏やかに寄り添う姿勢で対応することが臨死期ケアの基本です。

2 反応がないように見えても、いつもどおりの声かけをする。
これは正解。臨死期では、反応がなくても周囲の声が届いている可能性があるとされています。そのため、いつもどおりの声かけを続けることは、本人に安心感を与えるとともに、尊厳を守るケアとして基本的な姿勢です。

3 息苦しさが楽になるように、常にベッドを平らにする。
これは誤り。息苦しさを軽減するために「常に」ベッドを平らにすることは、呼吸状態によっては苦しさが増す場合があります。そのような場合は、状態に応じて上半身を起こすなど(ファウラー位など)、呼吸が楽になる体位を調整することが適切です。

4 口腔内の保湿や清潔を保つ。
これは正解。臨死期には飲食が困難となり、口腔内が乾燥しやすくなります。湿らせたガーゼや専用スポンジ等で口腔内の保湿や清潔をこまめに保つことは、本人の苦痛を和らげる大切なケアです。

5 急変時の対応は、そのときに考えればよい。
これは誤り。臨死期には急変が起こりやすく、事前に本人・家族・医療職・介護職が集まって急変時の対応(救急搬送の要否・延命処置の希望など)を話し合い(ACP:人生会議など)、共有しておくことが不可欠です。事前に話し合いが行われていない場合は、本人の意思に反した対応につながるおそれがあります。

第25回 問題40

臨死期について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 家族に対して、今後予想される状況に即した病状説明が行われるよう配慮する。
2 在宅で看取る場合、呼吸停止の瞬間に、医師が立ち会う必要がある。
3 呼吸をするたびに、喉元でゴロゴロと音がする状態(死前喘鳴)になることがある。
4 臨終が近づき、応答がなくなった場合には、本人への語りかけをやめる。
5 死後のケアであるエンゼルケアは、身体を清潔にし、その人らしい外見に整えるためのものである。

この問題は、利用者の人生の最終段階(臨死期)における家族への支援や特有の身体症状など、看取りにおける対応を問うものです。死が近づいた本人への接し方、死前喘鳴(しぜんぜんめい)の特性、在宅看取りにおける医師の立ち会いの原則、および死後に行うエンゼルケアの目的などを正しく理解しておくことが必要です。

1 家族に対して、今後予想される状況に即した病状説明が行われるよう配慮する。
これは正解。臨死期には家族も大きな不安と混乱を抱えています。今後予想される身体症状の変化や、死が近いサインなどについて、医師や看護師から家族に適切な説明が行われるよう、介護支援専門員が医療職と連携しながら配慮・調整することは、家族支援における重要な役割の一つです。

2 在宅で看取る場合、呼吸停止の瞬間に、医師が立ち会う必要がある。
これは誤り。在宅での看取りにおいて、医師が呼吸停止の瞬間に立ち会う必要はありません。在宅医療では、医師は死亡後に往診し、死亡確認・死亡診断書の作成を行うことが一般的です。事前に主治医と緊急時の連絡体制・対応手順を確認しておくことが重要です。

3 呼吸をするたびに、喉元でゴロゴロと音がする状態(死前喘鳴)になることがある。
これは正解。臨死期には、喉に溜まった分泌物を自力で排出できなくなり、呼吸のたびに「ゴロゴロ」と音がする「死前喘鳴(しぜんぜんめい)」という状態が見られることがあります。多くの場合、本人には苦痛が少ないとされていますが、家族への事前説明と精神的サポートが必要なケアの一つです。

4 臨終が近づき、応答がなくなった場合には、本人への語りかけをやめる。
これは誤り。聴覚は人間の感覚の中で最後まで残るといわれており、応答がなくなっても、本人に声が届いている可能性があるとされており、語りかけをやめるのではなく、最期まで穏やかに声をかけ続けることが尊厳あるターミナルケアの基本です。

5 死後のケアであるエンゼルケアは、身体を清潔にし、その人らしい外見に整えるためのものである。
これは正解。エンゼルケアとは、死後に身体を清潔にし、その人らしい外見に整えるケアです。利用者の尊厳を守るだけでなく、遺された家族が悲嘆(グリーフ)と向き合い、穏やかに別れを受け入れるためのグリーフケアとしても重要な意味を持ちます。

第26回 問題40

ターミナルケアについて、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境の整備は、法律に基づく政府の努力義務とされている。
2 介護保険の特定施設は、看取りの場となり得る。
3 看護師は、死亡診断書を作成することができる。
4 痛みの訴えは、身体的な要因によるものであるため、医療処置で対応できる。
5 グリーフケアとは、遺族の悲嘆への配慮や対応を行うことである。

この問題は、人生の最終段階(ターミナル期)における制度的枠組み、看取りを行う社会資源、医療職の権限、多面的な痛みの捉え方、および遺族支援(グリーフケア)についての理解を問うもの題です。終末期医療を取り巻く制度整備の内容や、遺族ケアに至るまでの総合的な知識が試されています。

1 人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境の整備は、法律に基づく政府の努力義務とされている。
これは正解。「社会保障制度改革推進法(第6条第4項)」において、人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境整備は、政府の努力義務とされています。具体的には医療と介護の連携強化、意思決定の支援、そして普及啓発を軸とした地域包括ケアシステムの構築や、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)など近年の意思決定支援の取り組みも進められています。

2 介護保険の特定施設は、看取りの場となり得る。
これは正解。特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設(有料老人ホームなど)では、医療機関と連携しながらターミナルケア(看取り)を行うことが可能です。また近年では、特養や有料老人ホームなどの施設においてもターミナルケアを行う体制が整備されてきています。

3 看護師は、死亡診断書を作成することができる。
これは誤り。死亡診断書を作成できるのは医師(または歯科医師)のみです。これは医師法に規定されており、看護師やその他の専門職であっても死亡診断書は発行できません。医療職における業務独占の境界線を理解しておきましょう。

4 痛みの訴えは、身体的な要因によるものであるため、医療処置で対応できる。
これは誤り。ターミナル期における痛みの訴えは、病気そのものによる身体的要因だけでなく、精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛が複雑に絡み合う「全人的苦痛(トータルペイン)」として捉えるのが基本です。これらは医療処置だけで対応できるものではなく、多職種による包括的なケアが必要です。

5 グリーフケアとは、遺族の悲嘆への配慮や対応を行うことである。
これは正解。グリーフケアとは、大切な人を亡くした遺族が抱える深い悲しみ(悲嘆:グリーフ)や精神的打撃に対し、寄り添い、精神的サポートを行うケアです。死別後の遺族が悲嘆を受け止めながら、新たな生活へと移行できるよう支援することを目的としています。

第27回 問題39

死亡診断書を交付することができる資格として正しいものはどれか。2つ選べ。
1 介護支援専門員
2 介護福祉士
3 医師
4 歯科医師
5 薬剤師

1 介護支援専門員
これは誤り。介護支援専門員は死亡診断書を交付できません。

2 介護福祉士
これは誤り。介護福祉士は死亡診断書を交付できません。

3 医師
これは正解。医師は医師法第20条に基づき、診察していた患者が死亡した場合に死亡診断書を交付する義務と権限を持ちます。在宅医療・施設・病院いずれの場面でも、死亡診断書の作成・交付は医師が行います。試験では「死亡診断書=医師、歯科医師」という知識は必須です。

4 歯科医師
これは正解。歯科医師も歯科医師法第19条第2項に基づき、自らが診察していた患者が歯科診療に係る傷病が原因で死亡した場合に限り、死亡診断書を交付することができます。すべての死亡に対して交付できるわけではなく、「歯科診療に関連した死亡に限られる」点が重要なポイントです。

5 薬剤師
これは誤り。薬剤師専門員は死亡診断書を交付できません。

第28回 問題39

臨死期の徴候について、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 規則正しいリズムの呼吸
2 意識レベルの低下
3 四肢冷感
4 尿量増加
5 喘鳴

この問題は、人生の最終段階(臨死期)にある利用者に現れる代表的な身体的・生理的な徴候(サイン)の正しい理解を問うものです。看取り介護において、呼吸状態の変化、意識レベルの低下、血液循環や排泄機能の衰退といった特有の症状を正確に識別し、適切な対応や家族への説明に繋げるための基礎知識が試されます。

1 規則正しいリズムの呼吸
これは誤り。臨死期には呼吸が不規則になるのが典型的な徴候です。一定時間の無呼吸と深呼吸を繰り返す「チェーン・ストークス呼吸」や、あごを上下させて呼吸する「下顎呼吸(かがくこきゅう)」など、不規則なパターンに移行するのが特徴で、「規則正しいリズムの呼吸」は健康な状態に近いため誤りです。

2 意識レベルの低下
これは正解。臨死期には脳への血流・酸素供給が低下するため、意識レベルが低下します。さらに進行すると、反応が鈍くなり、呼びかけへの応答がなくなるといった昏睡状態になるなどの変化が現れます。なお、意識レベルが低下していても聴覚は最期まで保たれると言われており、声を掛け続けることが大切です。

3 四肢冷感
これは正解。四肢冷感(ししれいかん)とは、手足の先から冷たくなっていく状態のことです。臨死期には心臓のポンプ機能が低下し、末梢への血液循環が悪化するため、四肢が冷たくなります。また皮膚が青紫色になるチアノーゼや皮膚のまだら模様がみられることもあります。

4 尿量増加
これは誤り。臨死期には、全身の血流低下や心不全・腎不全の進行に伴い、尿を生成する機能が著しく衰えます。そのため、尿量は増加するのではなく、急激に減少するか、あるいは全く出なくなる状態へと向かいます。尿量の減少は臓器不全が進行しているサインの一つであり、死期が近いことを示す重要な観察ポイントです。

5 喘鳴
これは正解。喘鳴(ぜんめい)とは、呼吸の度に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」など音が鳴る呼吸状態のことですが、臨死期に起きる喘鳴を「死前喘鳴(しぜんぜんめい)」と言い、喉や気道に分泌物が貯留し、呼吸のたびにゴロゴロ・ゼロゼロという音がする状態を指します。その際、本人の苦痛は必ずしも強くないとされていますが、家族には非常に辛く聞こえるため事前の説明と精神的サポートが重要です。

第28回 問題40

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)について、より適切なものはどれか。2つ選べ。
1 本人が死の直前になったときにのみ話し合う。
2 本人の考えよりも、家族の考えが優先される。
3 話合いは、一度だけ行えばよい。
4 話し合った内容は、文書にまとめておくことが望ましい。
5 認知症の人の意思を適切に反映できるよう、医療・ケアチームが支援する。

この問題は、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の基本的な考え方と実践方法を問う問題です。ACPとは、将来の医療やケアについて、本人・家族・医療・介護職が繰り返し話し合い、本人の価値観や希望を共有していくプロセスであり、その正確な理解が問われています。

1 本人が死の直前になったときにのみ話し合う。
これは誤り。ACPは死の直前にのみ行うものではありません。元気な時や病気の診断時、状態が変化するたびに、繰り返し話し合いを行うことが重要です。本人の判断能力があるうちから継続的に意思を確認・共有しておくことがACPの本質です。

2 本人の考えよりも、家族の考えが優先される。
これは誤り。ACPにおいて最も優先されるべきは、「本人の意向や価値観、今後の生き方」などです。家族の考えは本人の意思を推測し、支えるためのものであり、「本人の考えよりも家族の考えが優先される」とする記述は、本人の主体性・自己決定権を尊重するACPの基本原則に反しており不適切と言えます。

3 話合いは、一度だけ行えばよい。
これは誤り。ACPは継続的に繰り返し行うものであり、一度の話し合いで完結するものではありません。本人の病状・心身の状態・価値観・生活環境は時間とともに変化するため、一度決めた内容でも状況の変化に応じて柔軟に見直していくことが重要です。

4 話し合った内容は、文書にまとめておくことが望ましい。
これは正解。話し合った内容を文書にまとめて関係者間で共有しておくことは、ACPの実践として非常に重要です。文書として残すことで、本人が意思表示できなくなった場合でも、関係する家族や医療・介護職が本人の意思を共有しやすくなり、一貫したケアを提供することができます。

5 認知症の人の意思を適切に反映できるよう、医療・ケアチームが支援する。
これは正解。「医療・ケアチーム」とは、ケアに関わる医療・介護従事者から構成される多職種専門職チームです。医療・ケアチームは、認知症の進行段階に応じて、本人が表現する言葉・表情・行動などから、思いや価値観を汲み取り、本人の価値観や希望をACPに適切に反映できるよう支援することが重要な役割です。

次の記事

次からは、最後の科目「福祉サービスの知識等」に入っていきます。

まずはソーシャルワークから。

【ソーシャルワーク】ケースワーク、グループワーク、コミュニティワーク
ソーシャルワークとは何?毎年必ず出題されていますので、しっかり学んでいきましょう。ソーシャルワークソーシャルワークは、人と環境との相互作用における生活課題を包括的に捉え、クライエントの自己決定を尊重しつつ、多様な関係機関や社会資源を活用しな...

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