福祉計画の中でもケアマネ試験で重要な「介護保険事業計画」と「老人福祉計画」はしっかり覚えておきましょう。さらに医療介護総合確保推進法にもとづく「都道府県計画」も重要です。

地域福祉関係
地域福祉(支援)計画
地域福祉計画は策定義務がなく「努力義務」なのに国家試験によく出題されます。2000年の社会福祉法制定時には任意作成だったのが、2018年度に社会福祉法が改正され努力義務になり、少しずつその重要性が高まってきているからです。
市町村が策定するのは市町村地域福祉計画、都道府県が策定するのは都道府県地域福祉支援計画です。

都道府県の計画には「支援」が付くよ。
この計画には国が定める基準や上位計画がありません。
市町村や都道府県が地域に根差した計画を策定するようになっています。
地域福祉活動計画
地域福祉活動計画は、地域福祉の推進に取り組むための実践的な計画として、社会福祉協議会が策定する行動計画です。私の住む京都市の社会福祉協議会の地域福祉活動計画は下の写真のようなものです。
社会福祉協議会という民間の社会福祉法人が策定する行動計画で、根拠法もなく、策定義務もありません。

地域福祉計画は社会福祉法を根拠法とし、都道府県や市町村が策定する計画なので混同しないよう注意だよ。

高齢関係
介護保険事業(支援)計画&老人福祉計画
介護保険法で規定される介護保険事業(支援)計画、そして老人福祉法で規定される老人福祉計画、高齢者関係の計画がこの2つです。都道府県が策定するのは介護保険事業支援計画、市町村が策定するのは介護保険事業計画です。

高齢者福祉は、介護保険法と老人福祉法の二本立てだったね。
重要なことは、たくさんある計画の中でこの2つだけ「一体として策定しなければならない」とされていることです。
介護保険法と老人福祉法に規定されているサービスは、例えば特別養護老人ホームなど被っているものが多いので当然一体として策定されないとつじつまが合わなくなります。
そして、3年毎に策定義務があることも覚えておいてください。これは他の計画との関連性で再度下に出てきます。計画を完成・変更したら市町村は都道府県に、都道府県は厚生労働大臣に提出しなければなりません。
介護保険事業計画の内容
市町村が3年ごとに策定しなければならない介護保険事業計画に定める内容は以下の通りです。
介護保険法第117条第2項(義務)
1 市町村が定める区域における各年度の認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る必要利用定員総数その他の介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み
2 各年度における地域支援事業の量の見込み
3 被保険者の地域における自立した日常生活の支援、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止及び介護給付等に要する費用の適正化に関し、市町村が取り組むべき施策に関する事項法第118条第3項(努力義務)
1 前項第一号の必要利用定員総数その他の介護給付等対象サービスの種類ごとの見込量の確保のための方策
2 各年度における地域支援事業に要する費用の額及び地域支援事業の見込量の確保のための方策
3 介護給付等対象サービスの種類ごとの量、保険給付に要する費用の額、地域支援事業の量、地域支援事業に要する費用の額及び保険料の水準に関する中長期的な推計
4 介護支援専門員その他の介護給付等対象サービス及び地域支援事業に従事する者の確保及び資質の向上に資する都道府県と連携した取組に関する事項
5 介護給付等対象サービスの提供又は地域支援事業の実施のための事業所又は施設における業務の効率化、介護サービスの質の向上その他の生産性の向上に資する都道府県と連携した取組に関する事項
6 指定居宅サービスの事業、指定地域密着型サービスの事業又は指定居宅介護支援の事業を行う者相互間の連携の確保に関する事業その他の介護給付等対象サービス(介護給付に係るものに限る)の円滑な提供を図るための事業に関する事項
7 指定介護予防サービスの事業、指定地域密着型介護予防サービスの事業又は指定介護予防支援の事業を行う者相互間の連携の確保に関する事業その他の介護給付等対象サービス(予防給付に係るものに限る)の円滑な提供及び地域支援事業の円滑な実施を図るための事業に関する事項
8 認知症である被保険者の地域における自立した日常生活の支援に関する事項、教育、地域づくり及び雇用に関する施策その他の関連施策との有機的な連携に関する事項その他の認知症に関する施策の総合的な推進に関する事項
9 老人福祉法第二十九条第一項の規定による届出が行われている有料老人ホーム及び高齢者の居住の安定確保に関する法律第七条第五項に規定する登録住宅のそれぞれの入居定員総数
10 地域支援事業と高齢者保健事業及び国民健康保険保健事業の一体的な実施に関する事項、居宅要介護被保険者及び居宅要支援被保険者に係る医療その他の医療との連携に関する事項、高齢者の居住に係る施策との連携に関する事項その他の被保険者の地域における自立した日常生活の支援のため必要な事項
介護保険事業支援計画の内容
都道府県が3年ごとに策定しなければならない介護保険事業支援計画に定める内容は以下の通りです。
介護保険法第118条第2項(義務)
1 都道府県が定める区域における介護専用型特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る必要利用定員総数、介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数その他の介護給付等対象サービスの量の見込み
2 都道府県内の市町村によるその被保険者の地域における自立した日常生活の支援、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止及び介護給付等に要する費用の適正化に関する取組への支援に関し、都道府県が取り組むべき施策に関する事項法第118条第3項(努力義務)
1 介護保険施設及びその他の施設における生活環境の改善を図るための事業
2 介護サービス情報の公表に関する事項
3 介護支援専門員その他の介護サービス等に従事する者の確保及び資質の向上に資する事業
4 業務の効率化、介護サービスの質の向上その他の生産性の向上に資する事業
5 介護保険施設相互間の連携、その他の介護サービス等の円滑な提供を図るための事業
6 介護予防・日常生活支援総合事業等における市町村相互間の連絡調整
7 有料老人ホーム及び登録住宅のそれぞれの入居定員総数

認知症対応型共同生活介護などの地域密着型サービスの見込み量は、都道府県ではなく市町村の計画で定められるんだね。一方で、介護保険施設(特養・老健・介護医療院)の必要入所定員総数を定めるのは、市町村ではなく都道府県の計画だよ。ザックリと、入所系は都道府県、通所系は市町村のイメージ。
介護保険等関連情報の調査及び分析
介護保険法には、以下のように、市町村介護保険事業計画及び都道府県介護保険事業支援計画の作成のための調査及び分析が規定されています。
・市町村は、厚生労働大臣に対し、介護給付等に要する費用の額に関する地域別、年齢別又は要介護認定及び要支援認定別の状況に関する情報を提供しなければならない
・市町村は、介護保険等関連情報を分析した上で、その分析の結果を勘案して、市町村介護保険事業計画を作成するよう努める
・都道府県は、介護保険等関連情報を分析した上で、その分析の結果を勘案して、都道府県介護保険事業支援計画を作成するよう努める
障害関係
障害者計画
障害者基本法を根拠法として市町村と都道府県は障害者計画を定めなければなりません。
さらにこの計画は内閣総理大臣が障害者基本計画を策定します。厚生労働大臣ではありません。

障害者基本法は内閣府が所管していて、後に出てくる障害福祉計画は厚生労働省の所管だよ。障害者基本法は、福祉だけでなく、教育、経済、行政、農業などなど分野が多岐にわたるので内閣府が所管しているんだね。
国の上位計画である「障害者基本計画」をもとに都道府県と市町村は「障害者計画」を策定します。
計画を策定するときは、合議制の機関の意見を聞かなければなりません。
合議制の機関は、市町村は任意設置ですが都道府県は必置です。
障害福祉計画&障害児福祉計画
障害者総合支援法に基づく障害福祉計画、児童福祉法に基づく障害児福祉計画、これらは「一体として策定することができる」とされています。
一体でなくてもかまいません。
介護保険事業計画と同じように3年毎に策定しなければなりません。
そして、計画を完成・変更したら市町村は都道府県に、都道府県は厚生労働大臣(障害児福祉計画は内閣総理大臣)に提出しなければなりません。
障害福祉計画については先ほどの障害者計画と同じように合議制の機関を設置している場合には(都道府県は必置)その意見を聞かなければなりません。
さらに都道府県は協議会(任意設置)を設置している場合には、協議会の意見も聞かなければなりません。

協議会というのは「自立支援協議会」のことだね。こども家庭庁ができて児童福祉法を所管するようになったけど、こども家庭庁は内閣府の外局だからトップは内閣総理大臣なの。だから提出先も内閣総理大臣ね。
ここまで障害福祉関係の計画が3つ出てきたのでまとめます。

| 障害者計画 | 障害福祉計画 | 障害児福祉計画 | |
|---|---|---|---|
| 所管 | 内閣府 | 厚生労働省 | こども家庭庁 |
| 根拠法 | 障害者基本法 | 障害者総合支援法 | 児童福祉法 |
| 策定義務 | 国(内閣総理大臣) 都道府県 市町村 |
都道府県 |
都道府県 市町村 (3年毎) |

〇年ごとに作成というルールは、介護保険事業計画、子ども・子育て支援事業計画、医療計画、医療費適正化計画については法律に明記されているけど、障害福祉計画、障害児福祉計画は法律には規定されてなくて、「3年ごとを基本」としつつも、都道府県及び市町村が地域の実情や報酬改定・制度改正の影響の有無を考慮して、柔軟な期間設定が可能とされているよ。
児童関係
子ども・子育て支援事業計画
子ども・子育て支援法の管轄は内閣府ですから、内閣総理大臣が基本指針を定めて、それに基づいて都道府県、市町村は子ども・子育て支援事業計画を策定します。

子ども・子育て支援法の管轄は厚生労働省ではないよ。内閣府だよ。少子化対策は国全体の問題だからだね。
この計画は5年毎に策定し、市町村は都道府県に、都道府県は内閣総理大臣に提出しなければなりません。
子ども子育て支援法第61条には、子ども子育て支援事業計画に定めるべき内容が規定されています。
・特定地域型保育事業所に係る必要利用定員総数
・教育・保育提供区域ごとの当該教育・保育提供区域における各年度の地域子ども・子育て支援事業の量の見込み並びに実施しようとする地域子ども・子育て支援事業の提供体制の確保の内容及びその実施時期
・子どものための教育・保育給付に係る教育・保育の一体的提供及び当該教育・保育の推進に関する体制の確保の内容
・子育てのための施設等利用給付の円滑な実施の確保の内容
市町村は子ども子育て支援事業計画の策定に当たっては審議会その他の合議制の会議を置くよう努め、設置している場合はその意見を聞かなければなりません。
次世代育成支援のための行動計画
単に「行動計画」と呼ばれたりします。
行動計画には以下の2種類あります。
特定事業主行動計画:国および地方公共団体の機関が策定
行動計画で特筆すべき点は、従業員101人以上をかかえる一般事業主に策定義務があるということです。
これは全計画の中で唯一なので出題されやすいです。
一般事業主行動計画には以下の内容を盛り込まなければなりません。
市町村行動計画や都道府県行動計画は「策定することができる」となっており義務ではありません。
内閣総理大臣の定める基本指針に即して5年ごとに策定します。

行動計画は次世代育成支援対策推進法と女性活躍推進法によるものの2種類あって、女性活躍推進法でも一般事業主行動計画と特定事業主行動計画が規定されているよ。次世代育成支援対策推進法と同じように常時雇用する労働者数が101人以上の事業主に策定義務があるよ。
子どもの貧困対策計画
子どもの貧困対策推進法に基づいて、政府は子どもの貧困対策に関する大綱を定めなければなりません。
都道府県は大綱を勘案して「都道府県子どもの貧困対策計画」を定めるよう努めます。
こども計画
2023年から「こども基本法」が施行され、「こども計画」の策定が都道府県と市町村の努力義務となりました。

こども計画の策定は、都道府県と市町村の努力義務であることを覚えておいてね。
それから「こども・若者計画」や「子どもの貧困対策計画」等と一体のものとして策定できるという点も重要。
医療・健康関係
医療計画
ここからは医療健康関係の計画です。
まずは医療法に基づく医療計画ですが、これは市町村や国は作成せず、都道府県のみ策定義務があります。
さらに医療計画は6年毎に作成しなければならないのですが、記憶に残りやすいようになぜ6年かということについて下で書いています。
医療計画を策定・変更したときは、厚生労働大臣に提出しなければなりません。

医療計画は都道府県が策定するものだから厚生労働大臣に提出するよ。
市町村が都道府県を飛び越えて厚生労働大臣に提出することはないからね。
市町村計画&都道府県計画
市町村:策定できる
都道府県:策定できる
国:厚生労働大臣が総合確保方針を定める
医療介護総合確保推進法に基づいて市町村計画と都道府県計画というものがあります。
これは策定義務はありませんが他計画と関連付けて後からでてきます。

ケアマネ受験生にはこの計画は重要だよ!
医療費適正化計画
医療費適正化計画は高齢者医療確保法に基づいて、都道府県および国が6年毎に策定することになっています。
2018年度までは5年毎の策定でしたが、以降6年毎の策定義務となっています。

これはおそらく医療計画が2018年度から6年毎の策定になったのに合わせたんだと思うよ。国は医療費適正化計画に加えて医療費適正化指針を策定し、それに基づいて都道府県は医療費適正化計画を策定し、厚生労働大臣に提出するよ。
健康増進計画
市町村:努力義務
都道府県:義務
国:厚生労働大臣が基本指針を定める
第八条 都道府県は、基本方針を勘案して、当該都道府県の住民の健康の増進の推進に関する施策についての基本的な計画(都道府県健康増進計画)を定めるものとする。2 市町村は、基本方針及び都道府県健康増進計画を勘案して、当該市町村の住民の健康の増進の推進に関する施策についての計画(市町村健康増進計画)を定めるよう努めるものとする。
各計画間の関係
上でも書いたように各計画間で「一体として策定しなければならない」などの縛りがありますのでまとめます。
・「障害福祉計画」と「障害児福祉計画」は一体として策定できる
・「市町村介護保険事業計画」と「市町村計画」は整合性の確保が保たれたものでなければならない
・「都道府県介護保険事業支援計画」と「都道府県計画」と「医療計画」は整合性の確保が保たれたものでなければならない
この「整合性の確保」が求められる計画について、医療計画は市町村には策定義務がないので2つの計画の整合性で良いのですが、都道府県には3つの計画の整合性が必要です。
都道府県計画:策定期間の定めなし
医療計画:6年毎(2018年度から)
介護保険事業支援計画の策定が2018年で医療計画の策定年と重なったことから、その年以降医療計画の策定を5年毎から6年毎にすることで、6年後に策定年が再び重なります。
医療介護総合確保推進法に基づく都道府県計画は何年毎でもよいので、これら3計画の策定年が重なるように医療計画を6年毎に変更したわけです。
すると次の策定は2024年になります。
2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護などの社会保障費の増大が懸念される「2025年問題」が待っています。
その前年に策定年を設定したのです。
福祉計画まとめ
福祉計画は介護保険事業計画だけではありません。様々な法律に基づく様々な福祉計画があります。その中でも介護保険事業計画と関連しているものは覚えておきましょう。
| 計画 | 市町村 | 都道府県 | 国 | 一般事業主 | 根拠法 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 地域福祉 | 地域福祉(支援)計画 | 努力義務 | 努力義務 | – | – | 社会福祉法 |
| 地域福祉活動計画 | 社会福祉協議会が任意で策定 | – | – | 無し | ||
| 高齢福祉 | 介護保険事業(支援)計画 | 3年毎の義務 | 3年毎の義務 | 基本指針(厚生労働大臣) | – | 介護保険法 |
| 老人福祉計画 | 義務 | 義務 | – | – | 老人福祉法 | |
| 障害福祉 | 障害者計画 | 義務 | 義務 | 障害者基本計画(内閣総理大臣) | – | 障害者基本法 |
| 障害福祉計画 | 3年毎の義務 | 3年毎の義務 | 基本指針(厚生労働大臣) | – | 障害者総合支援法 | |
| 障害児福祉計画 | 3年毎の義務 | 3年毎の義務 | 基本指針(内閣総理大臣) | – | 児童福祉法 | |
| 児童福祉 | 子ども・子育て支援事業計画 | 5年毎の義務 | 5年毎の義務 | 基本指針(内閣総理大臣) | – | 子ども・子育て支援法 |
| 次世代育成支援のための行動計画 | 5年毎の任意 | 5年毎の任意 | 主務大臣が指針策定 | 従業員101人以上は義務 | 次世代育成支援対策推進法 | |
| こども計画 | 努力義務 | 努力義務 | こども大綱(政府) | – | こども基本法 | |
| 健康・医療 | 医療計画 | – | 6年毎の義務 | 基本方針(厚生労働大臣) | – | 医療法 |
| 市町村・都道府県計画 | 任意 | 任意 | 総合確保方針(厚生労働大臣) | – | 医療介護総合確保推進法 | |
| 医療費適正化計画 | – | 6年毎の義務 | 計画と方針(厚生労働大臣) | – | 高齢者医療確保法 | |
| 健康増進計画 | 努力義務 | 義務 | 基本方針(厚生労働大臣) | – | 健康増進法 | |
| アルコール健康障害対策推進計画 | – | 努力義務 | 基本計画(政府) | – | アルコール健康障害対策基本法 | |
| その他 | 自殺対策計画 | 義務 | 義務 | 自殺総合対策大綱(政府) | – | 自殺対策基本法 |
| 自立促進計画 | – | 努力義務 | 基本方針(内閣総理大臣) | – | 母子及び父子並びに寡婦福祉法 | |
| 基本計画 | 努力義務 | 義務 | 基本方針 (内閣総理大臣、国家公安委員会、法務大臣及び厚生労働大臣) |
– | DV防止法 | |
過去問
第24回 問題13
介護保険法上、市町村介護保険事業計画において定めるべき事項として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 介護保険施設等における生活環境の改善を図るための事業に関する事項
2 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る必要利用定員総数の見込み
3 介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み
4 地域支援事業に関する過去の実績
5 介護給付等に要する費用の適正化に関し、市町村が取り組むべき施策に関する事項
介護保険法第117条では、市町村は3年ごとに市町村介護保険事業計画を策定することが定められています。この計画には、地域における「介護サービスの必要量」や「介護給付の見込み量」など必ず定めるべき事項と、「サービス提供体制の整備や改善」など定めるよう努める事項があり、「見込み量」などは義務規定、「体制整備」などは努力義務といった区別が重要であり、地域の介護サービス計画の基本的枠組みとして理解しておく必要があります。
1 介護保険施設等における生活環境の改善を図るための事業に関する事項
これは誤り。介護保険法第117条第4項では、市町村介護保険事業計画において、介護保険施設等の生活環境の改善に関する事項を定めるよう努める(努力義務)とされています。市町村計画の中心はサービス量の見込みなどの義務規定であり、生活環境改善のような具体的施策は任意事項に分類されています。
2 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る必要利用定員総数の見込み
これは正解。介護保険法第117条では、市町村介護保険事業計画において、介護給付等対象サービスの種類ごとの必要利用定員総数の見込みを定めることが義務付けられています。これには地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護や認知症対応型共同生活介護などの定員見込みも含まれ、地域の需要を踏まえ計画的に算出することが求められています。
3 介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み
これは正解。介護保険法第117条では、市町村介護保険事業計画において、訪問介護や通所介護、施設サービスなど介護給付等対象サービスの種類ごとの見込み量を定めることが義務付けられています。これは地域に必要なサービス量を把握し、供給体制の整備や保険料算定の基礎となる計画の中核的事項となります。
4 地域支援事業に関する過去の実績
これは誤り。介護保険法第117条に基づく市町村介護保険事業計画は、将来に向けた事業内容やサービス量の見込みを定める計画で、「地域支援事業の実施に関する事項」など、今後の実施内容や目標を示すことが求められています。一方、過去の実績は計画作成の参考資料にはなりますが、法的に義務づけられたものではありません。
5 介護給付等に要する費用の適正化に関し、市町村が取り組むべき施策に関する事項
これは正解。介護保険法第117条では、市町村介護保険事業計画において、介護給付等に要する費用の適正化を図るために市町村が講ずる措置を定めることが義務付けられています。これは給付費の増大を抑え、制度を持続させるための重要な事項であり、介護予防の推進やケアマネジメントの質の向上などの施策が含まれています。
第27回 問題10
介護保険法に定める市町村介護保険事業計画について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 市町村老人福祉計画と一体のものとして作成されなければならない。
2 市町村地域福祉計画と調和が保たれたものでなければならない。
3 介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数の見込みを定めなければならない。
4 各年度における地域支援事業の量の見込みを定めるものとする。
5 計画期間は、5年を1期とする。
介護保険法第117条に基づく、市町村介護保険事業計画の内容や策定ルールを問う重要問題です。市町村は地域の高齢者数や要介護認定者数、サービス需要などを見込み、3年を1期として計画を作成します。計画にはサービス量の見込みや施策の方向性が示され、介護保険制度の運営の基盤となります。また、老人福祉計画など他の福祉計画との整合性や、都道府県の支援計画との役割分担を理解することも重要です。
1 市町村老人福祉計画と一体のものとして作成されなければならない。
これは正解。介護保険法第117条第7項において、市町村介護保険事業計画は市町村老人福祉計画と「一体のものとして」作成することが定められています。介護保険の運用計画と高齢者福祉施策を統合的に策定することで、在宅福祉サービスや生活支援を含めた総合的な高齢者支援体制を構築することが目的とされています。
2 市町村地域福祉計画と調和が保たれたものでなければならない。
これは正解。介護保険法第117条第8項では、市町村介護保険事業計画は、社会福祉法第107条の市町村地域福祉計画と調和が保たれたものでなければならないと定められています。地域福祉計画は住民全体を対象とする総合的福祉計画であり、介護保険事業計画はその方向性と矛盾しないよう整合性を図る必要があります。試験では「一体として」や「調和が保たれた」などの表現の違いが重要です。
3 介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数の見込みを定めなければならない。
これは誤り。介護保険法では、介護保険施設(特養・老健・介護医療院)の必要入所定員総数を定めるのは、市町村ではなく都道府県の役割とされています(第118条第2項第1号)。市町村介護保険事業計画では主に地域密着型サービスなどを位置づけます。試験では、施設定員を定める主体が「市町村」か「都道府県か」という主体性の違いを正確に見分けることが重要です。
4 各年度における地域支援事業の量の見込みを定めるものとする。
これは正解。介護保険法第117条では、市町村介護保険事業計画において地域支援事業の実施に関する事項を定めることとされており、地域支援事業の量の見込みについても同計画の中で示されることとなっています。
5 計画期間は、5年を1期とする。
これは誤り。介護保険法第117条では、市町村介護保険事業計画の計画期間は3年を1期と定められています。したがって「5年」とする記述は誤りです。計画は3年ごとに見直され、地域の状況変化に対応するとともに、介護保険料の改定もこの周期に合わせて行われます。
第28回 問題8
介護保険法に定める都道府県介護保険事業支援計画について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 都道府県高齢者居住安定確保計画との調和が保たれたものでなければならない。
2 医療計画との整合性の確保が図られたものでなければならない。
3 地域支援事業の量の見込みを定めるものとする。
4 介護支援専門員の確保及び資質の向上に資する事業に関する事項について定めるよう努めるものとする。
5 日常生活圏域ごとの認知症対応型共同生活介護に係る必要利用定員総数を定めるものとする。
都道府県が策定する都道府県介護保険事業支援計画は、市町村介護保険事業計画を支援・調整する広域的な計画であり、義務であるか努力義務か。また福祉計画との整合性なども問われるところがポイントとなります。市町村の計画と区別して覚える必要があります。
1 都道府県高齢者居住安定確保計画との調和が保たれたものでなければならない。
これは正解。介護保険法第118条第11項において「都道府県介護保険事業支援計画は、都道府県高齢者居住安定確保計画その他の法律の規定による計画であって要介護者等の保健、医療、福祉又は居住に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない。」とされています。
2 医療計画との整合性の確保が図られたものでなければならない。
これは正解。「都道府県計画及び医療計画との整合性の確保が図られたものでなければならない」とされています。医療と介護は地域包括ケアシステムの重要な両輪関係にある計画であるため、病床数や在宅医療、介護施設等の整備にあたっては、これらの計画に即したものでなければなりません。またポイントとしては努力義務ではなく「義務規定」である事に注意して下さい。
3 地域支援事業の量の見込みを定めるものとする。
これは誤り。地域支援事業の量の見込みを定めるのは、市町村介護保険事業計画です。都道府県計画は広域的な立場から介護給付等の対象サービスの見込み量や施設の必要入所定員総数などを定めますが、地域支援事業は市町村が実施する事業であり、都道府県が定めるべきものではありません。
4 介護支援専門員の確保及び資質の向上に資する事業に関する事項について定めるよう努めるものとする。
これは正解。介護保険法第118条第3項第3号において「介護支援専門員、その他の介護サービス等に従事する者の確保及び資質の向上に資する事業」を定めるよう努めることとされています(努力義務)。
5 日常生活圏域ごとの認知症対応型共同生活介護に係る必要利用定員総数を定めるものとする。
これは誤り。日常生活圏域ごとの認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の必要利用定員総数を定めるのは市町村介護保険事業計画です。
第26回 問題10
介護保険法に規定する介護保険等関連情報の調査及び分析について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 市町村は、介護保険等関連情報を分析した上で、その分析の結果を勘案して、市町村介護保険事業計画を作成するよう努めるものとする。
2 都道府県は、都道府県介護保険事業支援計画を作成するに当たって、介護保険等関連情報を分析する必要はない。
3 都道府県は、介護サービス事業者に対し、介護給付等に要する費用の額に関する地域別、年齢別又は要介護認定及び要支援認定別の状況に関する情報を提供しなければならない。
4 厚生労働大臣は、被保険者の要介護認定及び要支援認定における調査に関する状況について調査及び分析を行い、その結果を公表するものとする。
5 厚生労働大臣は、特定介護予防・日常生活支援総合事業を行う者に対し、介護保険等関連情報を提供するよう求めることができる。
介護保険法(第117条、第118条)では、介護保険等関連情報の収集・分析・公表の仕組みが定められています。厚生労働大臣や都道府県、市町村は、要介護認定情報や介護レセプト等のデータを収集・分析し、介護予防や給付の実態を把握して政策立案や事業計画に活用します。これはエビデンスに基づく政策形成を推進するための制度であり、「誰が・何のために・どの情報を」分析するかを整理して理解することが試験対策のポイントです。
1 市町村は、介護保険等関連情報を分析した上で、その分析の結果を勘案して、市町村介護保険事業計画を作成するよう努めるものとする。
これは正解。介護保険法では、市町村は介護保険等関連情報を分析し、その結果を踏まえて市町村介護保険事業計画を作成するよう努めることが定められています(第117条第5項)。地域の要介護認定状況やサービス利用実績などのデータを活用し、実態に即したサービス見込み量や施策を計画に反映させることが求められています。
2 都道府県は、都道府県介護保険事業支援計画を作成するに当たって、介護保険等関連情報を分析する必要はない。
これは誤り。介護保険法では、都道府県が都道府県介護保険事業支援計画を作成する際にも、介護保険等関連情報の分析結果を勘案するよう努めることが定められています(第118条第5項)。したがって、「都道府県は情報を分析する必要はない」という記述は誤りで、都道府県は広域的な視点からデータを活用し、市町村の取組を支援する役割を担っています。
3 都道府県は、介護サービス事業者に対し、介護給付等に要する費用の額に関する地域別、年齢別又は要介護認定及び要支援認定別の状況に関する情報を提供しなければならない。
これは誤り。介護保険法(第118条の2第1号)では、介護保険等関連情報の収集・分析・公表は主に厚生労働大臣が行うとされています。地域別・年齢別・要介護度別などの介護給付費の状況を分析し公表する主体は国であり、都道府県が介護サービス事業者に対して情報提供を義務付ける規定はありません。
4 厚生労働大臣は、被保険者の要介護認定及び要支援認定における調査に関する状況について調査及び分析を行い、その結果を公表するものとする。
これは正解。介護保険法(第118条の2第2号)において、厚生労働大臣が介護保険等関連情報を調査・分析し、その結果を公表することが定められています。全国の要介護認定・要支援認定の調査状況や地域差などを分析し、公表することで制度の透明性や信頼性を確保し、認定基準の平準化を図ることが目的です。国がデータを活用して制度運営の質を高める重要な仕組みとして理解しておきましょう。
5 厚生労働大臣は、特定介護予防・日常生活支援総合事業を行う者に対し、介護保険等関連情報を提供するよう求めることができる。
これは正解。介護保険法(第118条の3)では、厚生労働大臣は介護保険等関連情報の適切な分析を行うため、都道府県や市町村だけでなく、介護予防・日常生活支援総合事業を行う事業者に対しても必要な情報の提供を求めることができると定められています。制度の実態を正確に把握し、政策立案に活用するための重要な権限とされています。
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次は、介護保険制度の歴史を見ていきましょう。



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