介護保険サービスを学んだので、障害福祉サービスも見ておきましょう。あまり出題されませんので、サラッと流してください。
障害者総合支援法の概要
障害福祉サービスは障害者総合支援法に規定されています。障害福祉サービスは、身体障害者、知的障害者、精神障害者、そして難病の人も対象です。
介護保険の要介護認定や給付の申請先は市町村でしたが、障害福祉サービスも同じように、障害支援区分認定や給付の申請先は市町村です。
介護保険サービスでは「介護給付」「予防給付」「地域支援事業」と分かれているように、障害福祉サービスでも「自立支援給付(介護給付、訓練等給付など)」「地域生活支援事業」というふうに、似たような分類になっています。介護保険では地域支援事業ですが、障害福祉サービスでは地域「生活」支援事業といいます。
| 障害福祉サービス | 介護保険サービス | |
|---|---|---|
| 根拠法 | 障害者総合支援法 | 介護保険法 |
| サービス | ■自立支援給付 ・介護給付 ・訓練等給付 ・相談支援 ・自立支援医療 ・補装具 ■地域生活支援事業 | ■保険給付 ・介護給付 ・予防給付 ・市町村特別給付 ■地域支援事業 |
| 認定 | 障害支援区分認定(1~6) | 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5) |
| 支給決定 | 市町村(例外あり) | 市町村 |
| 事業所指定 | 都道府県(例外あり) | 都道府県(例外あり) |
| 費用負担 | 国:都道府県:市町村 =50:25:25 | 保険料:国:都道府県:市町村 =50:25:12.5:12.5 |
介護給付の居宅介護、行動援護、同行援護、短期入所、地域支援事業の移動支援や日中一時支援、相談支援の計画相談(障害児相談支援)は障害児も受けられます。

<自立支援給付>
■介護給付
・居宅介護
・重度訪問介護
・同行援護
・行動援護
・重度障害者等包括支援
・短期入所(宿泊のみ)
・療養介護
・生活介護
・施設入所支援
■訓練等給付
・自立訓練(機能訓練・生活訓練・宿泊型)
・就労移行支援
・就労継続支援(A型・B型)
・就労定着支援
・就労選択支援
・共同生活援助(グループホーム)
・自立生活援助

介護保険サービスの福祉用具は介護給付や予防給付だったように、障害福祉サービスでも補装具は自立支援給付なんだね。
<地域生活支援事業>
| 市町村地域生活支援事業 | 都道府県地域生活支援事業 |
|---|---|
| ●理解促進研修・啓発事業 | ●専門性の高い相談支援事業 ・発達障害者支援センター運営事業 ・高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業 ・障害者就業・生活支援センター事業 |
| ●自発的活動支援事業 | ●専門性の高い意思疎通支援を行う者の養成研修事業 ・手話通訳者・要約筆記者養成研修事業 ・盲ろう者向け通訳・介助員養成研修事業 |
| ●相談支援事業 ・基幹相談支援センター等機能強化事業 ・住宅入居等支援事業(居住サポート事業) |
●専門性の高い意思疎通支援を行う者の派遣事業 |
| ●成年後見制度利用支援事業 | ●意思疎通支援を行う者の派遣に係る市町村相互間の連絡調整事業 |
| ●成年後見制度法人後見支援事業 | ●広域的な支援事業 ・都道府県相談支援体制整備事業 ・精神障害者地域生活支援広域調整等事業 |
| ●意思疎通支援事業 | ●サービス・相談支援者、指導者育成事業 ・障害支援区分認定調査員等研修事業 ・相談支援従事者研修事業 ・サービス管理責任者研修事業 ・居宅介護従事者等養成研修事業 ・強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)事業 ・強度行動障害支援者養成研修(実践研修)事業 ・身体障害者・知的障害者相談員活動強化事業 ・音声機能障害者発声訓練事業 ・精神障害関係従事者養成研修事業 |
| ●日常生活用具給付等事業 | |
| ●手話奉仕員養成研修事業 | |
| ●移動支援事業 | |
| ●地域活動支援センター機能強化事業 | |
| ●任意事業 ・福祉ホームの運営 ・訪問入浴サービス ・生活訓練等 ・日中一時支援 ・地域移行のための安心生活支援 ・障害児支援体制整備 ・巡回支援専門員整備 ・相談支援事業所等(地域援助事業者)における退院支援体制確保 ・スポーツ・レクリエーション教室開催等 ・文化芸術活動振興 ・点字・声の広報等発行 ・奉仕員養成研修 ・自動車運転免許取得・改造助成 ・成年後見制度普及啓発 ・障害者虐待防止対策支援 ・盲人ホームの運営 ・重度障害者在宅就労促進(バーチャル工房支援) ・更生訓練費給付 ・知的障害者職親委託 |
●任意事業 ・福祉ホームの運営 ・オストメイト(人工肛門、人工膀胱増設者)社会適応訓練 ・音声機能障害者発声訓練 ・発達障害者支援体制整備 ・児童発達支援センター等の機能強化等 ・矯正施設等を退所した障害者の地域生活への移行支援 ・手話通訳者設置 ・字幕入り映像ライブラリーの提供 ・点字・声の広報等発行 ・点字による即時情報ネットワーク ・障害者ITサポートセンター運営 ・パソコンボランティア養成・派遣事業 ・都道府県障害者社会参加推進センター運営 ・身体障害者補助犬育成 ・奉仕員養成研修 ・スポーツ・レクリエーション教室開催等 ・文化芸術活動振興 ・サービス提供者情報提供等 ・成年後見制度普及啓発 ・成年後見制度法人後見支援 ・障害者虐待防止対策支援 ・盲人ホームの運営 ・重度障害者在宅就労促進(バーチャル工房支援) ・一般就労移行等促進 ・障害者就業・生活支援センター体制強化等 |
| ●障害支援区分認定等事務 |
基幹相談支援センターは、地域における中核的な役割を担う機関として、総合的・専門的な相談支援や成年後見制度利用支援事業の実施等の業務を行っています。
地域活動支援センターは、障害者の創作的活動又は生産活動の機会の提供、社会との交流の促進等の便宜を供与する役割を担います。
児童発達支援センターは、障害児の発達において中核的な役割を担う機関として、障害児の家族等に対し、相談、助言その他の必要な援助を行います。

地域活動支援センターは「ちかつ」と呼ばれるやつだね。
サービス利用の流れ
(1)市町村の窓口に申請し障害支援区分の認定を受ける(介護給付の場合)
(2) 市町村は指定特定相談支援事業者が作成する 「サービス等利用計画案」の提出を求め、利用者は「サービス等利用計画案」を市町村に提出
(3) 市町村は、提出された計画案や勘案すべき事項を踏まえて支給決定
(4) 指定特定相談支援事業者は、支給決定された後にサービス担当者会議を開催
(5) サービス事業者等との連絡調整を行い、実際に利用する「サービス等利用計画」を作成
(6) サービス利用が開始

介護給付のサービスを受けるためには障害支援区分の認定が必要になります。
障害支援区分は介護保険の要介護認定のようなもので、区分1~6の6段階および非該当で判定されます。
区分6が最も重度で、区分が高くないと受けられないサービスがあったり事業所の報酬も区分が高いほど高くなっています。

障害支援区分の認定が必要なのは介護給付のサービスを利用する場合と、訓練等給付の中でも介護を伴う共同生活援助を利用する場合だよ。ちなみに障害児が利用する場合は区分認定は必要ないよ。
これらは給付としての立て付けですが、以下では利用者目線でサービスを分類し、「入所系」「通所系」「相談系」と分けて紹介します。
だれもがそうですが、人が生きる上では「暮らし」と「仕事」の両輪が必要です。
毎日の「自宅での生活」と「職場での生活」の両方が重要で、両方が満たされてこそ充実した人生になると思います。
それを支えるのが「入所系サービス」と「通所系サービス」です。
入所系サービスでは暮らしを支えるため、施設入所支援やグループホーム、短期入所事業などがあります。
通所系サービスでは生活介護や就労継続支援など、自宅から事業所に通ってサービスを受け、活動や仕事が終わればまた自宅に帰ります。

介護保険サービスは社会保険なので半分が保険料で賄われるのに対して、障害福祉サービスは社会福祉なので全て公費(税金)で賄われます。国、都道府県、市町村それぞれの負担割合は同じですが、保険料があるかないかは大きな違いです。
介護保険優先原則
65歳以上の障害者は、介護保険か障害福祉サービスかどちらを利用するのでしょう。どちらか選べるわけではありません。原則、介護保険サービスが優先されます。
これを介護保険優先原則といいます。
ただし、65歳になるまで障害福祉サービスを利用してきた人には、同じ事業所で介護保険サービスを利用できるように、共生型サービスがあります。以下で見ていきます。
障害福祉サービスの種類
入所系サービス
介護保険と違って障害福祉では日中と夜間のサービスが明確に分けられています。
職住分離の原則で、たとえ入所施設に入っていても日中活動はサービスを選択できます。
入所系サービスは大きく分けると施設入所支援と共同生活援助(グループホーム)に分けられます。
施設入所支援を行う入所施設を「障害者支援施設」といい、重度障害者等が暮らす施設です。
障害者支援施設は、障害福祉サービスで唯一、第一種社会福祉事業に規定されています。
一方で共同生活援助(グループホーム)という形がありますが、これは施設入所支援とは異なり、地域で生活するために暮らしの場を提供する軽度障害者向けのサービスです。

障害者の地域移行が叫ばれてるけど、グループホームに入居している利用者は地域移行を成し遂げたことになるんだね。
この共同生活援助に加えて「自立生活援助」というサービスが2018年に新設されています。
グループホームから出て一人暮らしを定期訪問等で支援するサービスです。
それぞれのサービスで、一時的に宿泊できる短期入所(ショートステイ)というサービスがあります。
通所系サービス
障害者に日中活動を提供するサービスで以下の4種類が主なものです。
・就労継続支援(B型)
・就労継続支援(A型)
・就労移行支援
上から順番に障害の重い利用者向けのサービスと考えてください。
この4種類のうち「生活介護」だけが介護給付なので障害支援区分の認定が必要で、区分3以上でないとサービスは受けられません。
生活介護では重度障害者に日中活動(軽作業、レクレーション等)を提供します。
就労継続支援というのは、「一般企業などに就職することは難しいけど福祉的就労であれば可能」というレベルの障害者を対象としており、A型は雇用契約を結んで仕事をしてもらうサービス、B型は雇用契約を結ばずに仕事をしてもらうサービスです。
雇用契約を結ぶA型は最低賃金を保証しなければなりませんので月々の給料は10万円近い利用者も多いですが、B型は時給100円程度で働く利用者も多いです。
例えば、パン屋さんを経営するとして、パン作りに就労継続支援A型サービスの利用者を雇用して経営する場合、パンを売った売上から利用者の給料を支払い、利用者の支援をするスタッフの給料は自立支援給付として国から支給されるという仕組みです。

本来利用者の給料は自立支援給付から拠出してはいけないんだけど、一時期問題になっていたね。
最後に就労移行支援というのは、一般企業などに就職することが可能と見込まれる障害者に対して仕事を提供し、一般就労への移行を支援する訓練的サービスです。
このサービスだけが最長2年という期限付きになります。

障害福祉サービスの特徴は就労支援があること。介護保険サービスには働くことを支援するサービスはないんだよ。
移動系サービス
障害者の移動に係るサービスは以下の5種類あります。
・居宅介護
・重度訪問介護
・行動援護
・同行援護
この中で移動支援は市町村地域生活支援事業で、それ以外は介護給付になります。
居宅介護は居宅での入浴や食事の介助ですが、通院時の付き添いなど移動に関する支援も含まれます。
重度訪問介護は居宅介護の重度者版で、区分4以上でないとサービスを受けられません。
重度障害者の居宅における介護だけでなく、このような移動時の介護にも使えます。
行動援護は重度障害者向けの移動の介護サービスです。
同行援護は行動援護と似た名称でややこしいですが、視覚障害者に対する移動の支援です。

同行援護は視覚障害者対象ということで、瞳孔援護と覚えてね。
相談系サービス
相談支援には一般相談支援と特定相談支援の二種類があります。
一般相談支援は「地域移行支援」と「地域定着支援」というサービスがあり、施設入所者や入院している精神障害者が地域移行するための住居の確保に関する相談や、一人暮らしの障害者が地域で継続して暮らしていくための相談などを受けます。
特定相談支援は、「基本相談支援」と「計画相談支援」で構成され、計画相談支援では利用者のサービス等利用計画を作成します。
特定相談支援:基本相談支援、計画相談支援
サービス等利用計画というのは障害者が福祉サービスを受けるに当たって、どのようなサービスをどの程度、どのように組み合わせて受けるのか等を示した計画書です。

現在はサービス等利用計画が作成されていないと福祉サービスを受ける事ができないけど、以前は必要なかったので、そのころは「特定相談支援」という相談支援自体がなかったよ。つまり後からできた相談支援で、もともとあった相談支援と区別するため「一般」と「特定」という名称になったみたい。
障害福祉サービス事業所の指定は基本的に都道府県が行いますが、この特定相談支援事業者だけは市町村が行います。
市町村が地域性を考えて事業者を選定できるようになっています。
基幹相談支援センター
基幹相談支援センターは、地域における中核的な役割を担う機関として、総合的・専門的な相談支援や成年後見制度利用支援事業の実施等の業務を行っています。
自立支援医療
自立支援医療は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。所得によって自己負担額が異なりますが、およそ1割を上限として負担します。
医療機関は自由に選ぶことができず、指定を受けた医療機関での医療に限定されます。
自立支援医療には、対象によって以下の3種類(更生医療、育成医療、精神通院医療)あります。
更生医療
対象:身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)
支給決定:市町村
育成医療
対象:身体に障害を有する児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳未満)
支給決定:市町村
精神通院医療
対象:精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者
支給決定:都道府県

自立支援医療の対象は、身体障害者、障害児、精神障害者の3種類だけど、そのうち精神障害者が対象の精神通院医療だけは都道府県が支給決定するんだ。精神障害者が虐げられてきた名残として、未だに都道府県が責任を持って支給認定してるんだ。
障害児福祉サービス
障害児に関するサービスは障害者総合支援法ではなく児童福祉法で規定されています。
| 種別 | 障害児福祉サービス |
|---|---|
| 通所系 | 児童発達支援 |
| 放課後等デイサービス | |
| 入所系 | 福祉型障害児入所施設 |
| 医療型障害児入所施設 | |
| 訪問系 | 居宅訪問型児童発達支援 |
| 保育所等訪問支援 | |
| 相談系 | 障害児相談支援 |

共生型サービス
戦後から福祉の主たる対象は高齢者、障害者、児童の三者で、縦割りで発展してきました。
地域共生社会では縦割りを超えて柔軟にサービス提供ができるようにとのことで共生型サービスが2017年に創設されました。
それぞれ「介護保険法」と「障害者総合支援法」と「児童福祉法」で年齢で区切られている福祉サービスを、受けやすいようにする仕組みです。
具体的には、65歳以上になると障害福祉サービスの利用者は介護保険サービスに移らなければならない、この解消が大きな目的の1つです。
<介護保険優先原則>
障害福祉サ―ビスに相当するサービスが介護保険サービスにあれば、介護保険サービスの利用が優先される
具体的には、障害福祉サービスで利用していた居宅サービス(デイサービス、ホームヘルプ、ショートステイ)等については介護保険で同様のサービスがあるので、65歳になると介護保険制度に移る必要が出てくるという事です。
| 種別 | 介護保険サービス | 障害福祉サービス等 | |
|---|---|---|---|
| デイサービス | ・通所介護 ・地域密着型通所介護 | ⇔ | ・生活介護(主として重症心身障害者を通わせる事業所を除く) ・自立訓練(機能訓練・生活訓練) ・児童発達支援(主として重症心身障害児を通わせる事業所を除く) ・放課後等デイサービス(同上) |
| デイケア | ・通所リハビリテーション | ⇒ | ・自立訓練(機能訓練) |
| ホームヘルプ | ・訪問介護 | ⇔ | ・居宅介護 ・重度訪問介護 |
| ショートステイ | ・短期入所生活介護 ・介護予防短期入所生活介護 | ⇔ | ・短期入所 |
| 「通い・訪問・泊まり」を一体的に提供するサービス(※) | ・小規模多機能型居宅介護 ・介護予防小規模多機能型居宅介護 ・看護小規模多機能型居宅介護 【通い】 | ⇒ | ・生活介護(主として重症心身障害者を通わせる事業所を除く) ・自立訓練(機能訓練・生活訓練) ・児童発達支援(主として重症心身障害児を通わせる事業所を除く) ・放課後等デイサービス(同上) |
| 【泊まり】 | ⇒ | ・短期入所 |
により、障害児・者が(看護)小規模多機能型居宅介護に通ってサービスを受けた場合等に、障害福祉の給付対象となっている。
障害者が65歳になって介護保険制度に移行するときに、通っていた事業所を移らなくてもいいように、ということで、結局、「共生型サービス」とは、介護保険又は障害福祉のいずれかの指定を受けた事業所がもう一方の制度における指定を受けやすくする制度で、介護保険法と障害者総合支援法で共通するサービスについて、指定を受けやすくして同一事業所で提供できるようにする仕組みです。

デイサービス、ホームヘルプ、ショートステイ以外のサービスは、指定の方向が一方向であることに注意ね。
なので、65歳以上になって介護保険サービスか障害福祉サービスかを選べるというわけではありません。65歳以上になると共通するサービスがあれば介護保険サービスが優先される、その原則は変わっていません。
65歳になった障害者が突然介護保険サービスを受けると、それまで無料だった障害福祉サービスが介護保険では1割負担になり利用料が発生することになります。
このような問題は未解決のままで、単に事業所を移らなくてもよくなったというだけです。
共生型サービスでは、例えば介護保険の通所介護は人員基準が1:5、生活介護は1:3などと基準が違います。人員基準が違うので指定を受けられないとなると困るので、共生型サービスの人員、運営、設備基準は都道府県条例で定めるようになっています。
結局、社会保障の中心は社会保険なので、障害福祉と介護保険を比べたら介護保険優先なのは当然と言えば当然です。でも、利用者目線で考えれば、どちらか選べるようになればなぁということです。

介護保険サービスと障害福祉サービスの財源を比較すると、介護保険は大半が保険料、障害福祉サービスはすべて税金、だから介護保険優先原則は当然といえば当然・・・。
富山型デイサービス
そもそも共生型サービスの原型は、富山県で始まりました。
「富山型デイサービス」という形で、高齢者も障害者も児童も同じデイサービスを利用する形がありました。
高齢者はかわいい子どもと接する機会が得られ、障害者は居場所が見つかり高齢者や児童の面倒を見るという役割が見い出せ、児童は高齢者や障害者への思いやりの心が身につくという、画期的な仕組みでした。
当時は共生型サービスという仕組みは法的に規定されていませんから、「基準該当事業所」として運営していたようです。

基準該当事業所とは、本来の指定事業所に求められる人員配置基準や設備基準などを満たしていないものを、基準を満たしているとみなし、市町村の登録を受けて実施する事業所だよ。もとは離島や中山間地などの過疎地など、基準を満たすことが困難である事業所を想定されてできた制度だったけど、富山型デイサービスのように、介護保険と障害福祉の一方の指定基準を満たしている場合、もう一方の指定基準を満たしているとみなして基準該当の登録を受けることにより、同一事業所において介護保険サービス・障害福祉サービスの両方を提供することができるよ。
ということで、上記の例を見てわかるように、共生型サービスのそもそもの主旨は、富山型デイサービスのように対象を限定せずサービスを提供することにあり、同一事業所で高齢者も障害者も児童もサービスを受けられるようにすることが狙いです。
例えば介護保険制度の「通所介護」、障害者総合支援法の「生活介護」、児童福祉法の「児童発達支援」の3デイサービスが同一事業所で提供できれば、高齢者も障害者も児童も、それぞれにメリットを享受できます。

富山型デイサービスは素晴らしい形だよ!動画を見て!
障害福祉サービスの担い手
障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを提供する事業所には様々な専門職が配置されます。
管理者
障害福祉サービスの各事業には、管理者を置かなければなりません。
サービス管理責任者
サービス管理責任者は、障害福祉サービスの提供に係る管理を行う者として配置が義務づけられており、利用者のアセスメントや個別支援計画の作成、職員に対して指導的役割を担います。サービス管理責任者になるには一定の実務経験や研修を修了しなくてはなりません。

個別支援計画は、相談支援専門員が作成したサービス等利用計画に基づいて作成されるよ。
児童発達支援管理責任者
児童発達支援管理責任者は、児童福祉法に基づく障害児福祉サービスの提供に係る管理を行う者として配置され、利用者のアセスメントや個別支援計画の作成を担う、サービス管理責任者の児童版です。
相談支援専門員
相談支援専門員は、特定相談支援事業所において計画相談支援を行う者として配置されています。サービス等利用計画を作成し、定期的なモニタリング(半年に1回以上)が必要です。このサービス等利用計画に基づいて、サービス管理責任者が個別支援計画を作成します。

サービス管理責任者はサビ管、児童発達支援管理責任者は児発管と略して呼ばれるよ。相談支援専門員のモニタリングは半年に1回だけど、ケアマネさんは毎月だったりするからたいへんだよ。
まとめ
以下は、厚生労働省作成の図です。

上の図にあるように、いわゆる障害福祉サービスと呼ばれるのは「介護給付」と「訓練等給付」です。それ以外にも「自立支援医療」「相談支援」「地域生活支援事業」は重要です。
そして障害児に関するサービスは児童福祉法に規定されているオレンジ色の部分です。
その多くが市町村の管轄ですが、都道府県が管轄するサービスもあることがわかります。
過去問
第25回 問題60
障害者総合支援法について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 その支援には、自立支援給付と地域生活支援事業が含まれる。
2 自立支援医療とは、育成医療、更生医療及び精神通院医療である。
3 補装具費の支給は、地域生活支援事業の一つである。
4 対象とする障害者には、難病の者も含まれる。
5 サービスの利用を希望する者は、都道府県に対して支給申請を行う。
障害者総合支援法は、「自立支援給付」と「地域生活支援事業」の2事業を柱として支援を行う障害者制度です。対象となる障害者には、身体障害者、知的障害者、精神障害者(発達障害含む)に加え、「難病の者」も含まれます。支援内容は医療や福祉サービス、補装具の提供など多岐にわたり、利用希望者は市町村に申請し、適切なサービスを受けられる仕組みが整えられています。
1 その支援には、自立支援給付と地域生活支援事業が含まれる。
これは正解。障害者総合支援法には大きく分けて2事業あり、全国一律に必ず実施しなければならない「自立支援給付」と、市町村が地域の実情に応じて実施する「地域生活支援事業」があります。これは制度の最も基本的な全体的な枠組みであり、両事業は障害者の生活を支える重要な仕組みとなっています。
2 自立支援医療とは、育成医療、更生医療及び精神通院医療である。
これは正解。自立支援医療は、障害者の医療費負担を軽減する公費負担医療制度です。対象は、児童の身体障害を対象とする「育成医療」、18歳以上の身体障害者を対象とする「更生医療」、精神疾患の通院治療を対象とする「精神通院医療」の3つに限定されており選択肢の記述通りです。
3 補装具費の支給は、地域生活支援事業の一つである。
これは誤り。補装具費(車いすや義肢などの購入・修理費)の支給は、地域生活支援事業ではなく、「自立支援給付」に位置づけられています。地域生活支援事業は相談支援や地域活動支援、移動支援など福祉的なサービスが中心です。
4 対象とする障害者には、難病の者も含まれる。
これは正解。障害者総合支援法における「障害者」の定義には、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害含む)に加え、「難病(対象疾病)の者」も含まれます。これにより「制度の谷間」で取り残されることがなくなり、必要な障害福祉サービスを受けられるような仕組みになっています。
5 サービスの利用を希望する者は、都道府県に対して支給申請を行う。
これは誤り。障害福祉サービスや自立支援給付の利用を希望する者は、都道府県ではなく、住民に最も身近な行政窓口である「市町村」に対して支給申請を行います。介護保険の要介護認定や給付の申請先が「市町村」であることと同じため、セットで覚えるようにしましょう。
第21回 問題9
共生型居宅サービスについて正しいものはどれか。2つ選べ。
1 障害福祉サービスのうち介護保険サービスに相当するサービスを提供する指定事業所は、介護保険法に基づく居宅サービス事業所の指定も受けることができる。
2 障害児通所支援に係る事業所は、共生型居宅サービス事業所の指定を受けることができない。
3 短期入所生活介護については、共生型居宅サービスはない。
4 事業所の従業者の人員は、市町村の条例で定める員数を満たさなければならない。
5 事業の設備及び運営は、都道府県の条例で定める基準に従わなければならない。
共生型サービスとは、2018年(平成30年)の介護保険法改正で新設された、障害福祉サービス事業所が介護保険サービスも一体的に提供できる仕組みのことです。試験対策としては、「どのサービスが対象であるか」や「指定・基準の権限はどこか」など、対象となる事業所と人員、設備基準などが重要ポイントとなります。
1 障害福祉サービスのうち介護保険サービスに相当するサービスを提供する指定事業所は、介護保険法に基づく居宅サービス事業所の指定も受けることができる。
これは正解。共生型サービスとは、障害福祉サービス(居宅介護、生活介護など)の指定を受けている事業所が、介護保険の共生型居宅サービス(訪問介護、通所介護など)の指定を受けやすくする特例措置をいいます。障害者が65歳になっても慣れ親しんだ事業所を継続利用できる仕組みとなっています。
2 障害児通所支援に係る事業所は、共生型居宅サービス事業所の指定を受けることができない。
これは誤り。障害児通所支援(児童発達支援、放課後等デイサービス)の事業所も、共生型居宅サービス(共生型通所介護、共生型地域密着型通所介護)の指定を受けることが可能です。障害児であっても、共生型サービスの対象に含まれる点は、制度の柔軟性を示すポイントとして重要です。
3 短期入所生活介護については、共生型居宅サービスはない。
これは誤り。共生型サービスとして認められている居宅系サービスには、「訪問介護」「通所介護」「短期入所生活介護(ショートステイ)」の3種類があり(地域密着型等を含む)、ショートステイは対象外と判断しがちですが、間違えないように覚えましょう。
4 事業所の従業者の人員は、市町村の条例で定める員数を満たさなければならない。
これは誤り。共生型サービスにおける事業所の従業者の人員は、都道府県の条例で定められるため誤りです。通常の居宅サービスと同様、都道府県が条例で決めた基準に沿ってサービスを提供する必要があります。
5 事業の設備及び運営は、都道府県の条例で定める基準に従わなければならない。
これは正解。設備や運営基準においても都道府県の条例で定められます。共生型サービスも「居宅サービス」の一部として位置づけられるため、都道府県の条例に従わなければなりません。
第24回 問題8
共生型サービスの指定の対象となる介護保険サービスとして正しいものはどれか。3つ選べ。
1 地域密着型通所介護
2 介護予防短期入所生活介護
3 通所リハビリテーション
4 訪問介護
5 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
「共生型サービス」とは、高齢者と障害者が同じ事業所でサービスを受けやすくするために、2018年(平成30年)の介護保険法改正で創設されたサービス形態です。どのサービスがこの共生型に指定できるか、制度の理解が問われます。試験対策としては、「訪問介護・通所介護(地域密着型通所介護を含む)・短期入所生活介護」の3つが共生型サービスの対象と覚えると整理しやすいでしょう。
1 地域密着型通所介護
これは正解。地域密着型通所介護は、障害福祉の「生活介護」や「放課後等デイサービス」などに対応する通所型サービスです。地域の高齢者や障害者に通所介護(デイサービス)を提供し、共生環境の実現に対応しています。
2 介護予防短期入所生活介護
これは正解。介護予防短期入所生活介護は、障害福祉の「短期入所(ショートステイ)」に対応する、短期入所型の共生型サービスとして対象に含まれます。
3 通所リハビリテーション
これは出題当時は誤りでしたが、2024年度の介護報酬改定で、通所リハビリテーション事業所は障害福祉サービスの自立訓練(機能訓練)を提供できるようになりました。
4 訪問介護
これは正解。訪問介護(ホームヘルプ)は、障害福祉の「居宅介護」や「重度訪問介護」に対応する、訪問型の代表的な共生型サービスの対象サービスです。
5 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
これは誤り。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、介護保険に特化した柔軟な複合サービスであるため、共生型サービスの指定対象にはなりません。
次の記事
最後の記事になりました。最後はバイステック7原則を学びます。



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