社会保障制度の中でも最後のセーフティネットである生活保護制度について見ていきましょう。ケアマネ試験によく出題されるのは4原理、4原則、8扶助です。
毎年、必ず1問出題されていますので、しっかり学んでいきましょう。
生活保護制度の目的
第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

「自立の助長」が目的であることを忘れないで。
基本原理
・国家責任の原理
・無差別平等の原理
・最低生活保障の原理
・保護の補足性の原理

つまり、生活保護を受ける前に、児童扶養手当とか、特別児童扶養手当とか、自立支援医療とか、障害年金とか、生活保護以外の制度や施策を活用してねということ。そもそも本人に、年金収入・就労収入・財産収入・仕送りなどがあれば収入認定されて保護費から引かれるよ。だから生活保護はホントに最後の最後だよ。
<生活保護法 第4条>
保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
2 民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。
3 前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。

生活保護行政を担う現役のケースワーカーさんと相談員さんに出演してもらったライブでは、二人ともこの「補足性の原理」を意識して対応していることをゆってた!
基本原則
・申請保護の原則
・基準及び程度の原則
保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行われます。
2013年(生活扶助、平均6.5%、最大10%引下げ)
2018年(生活扶助、平均1.8%、最大5%引下げ)
2023年(・・・
・必要即応の原則
・世帯単位の原則
義務や禁止行為について
費用返還義務
生活上の義務
届け出義務
指示に従う義務
不利益変更の禁止
公課禁止
差押禁止
譲渡禁止
保護の実施機関

福祉事務所は別記事で詳しく取り上げるよ。ケアマネ試験にはあまり出題されないけど余裕があれば見ておいてね。
福祉事務所の職員は以下の4 種類あり、査察指導員と現業員は社会福祉主事です。
| 福祉事務所の職員 | 要件など |
|---|---|
| 所長 | |
| 査察指導員 | 社会福祉主事でなければならない |
| 現業員 | 社会福祉主事でなければならない |
| 事務員 |

査察指導員と現業員はケースワーカーと呼ばれるね。
生活保護行政の担い手
社会福祉主事は生活保護の「補助機関」とされています。旧生活保護法では民生委員が補助機関で支給決定などをしていましたが、現在では民生委員は「協力機関」になりました。

社会福祉主事になるにはいろいろなルートがあるけど、例えば社会福祉士や精神保健福祉士の国家資格があれば、福祉事務所に就職するだけで自動的に社会福祉主事になれるよ。
福祉事務所以外の福祉行政機関についても紹介します。サラッと目を通しておきましょう。
福祉事務所は都道府県と市に設置義務がありますが、介護保険制度で出てくる地域包括支援センターは、設置義務はありません。
| 機関 | 根拠法 | 福祉系の必置職員 | 都道府県 | 指定都市 | 中核市 | 市 | 町村 | 特別区 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 福祉事務所 | 社会福祉法 | 社会福祉主事 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 可 | 〇 |
| 保健所 | 地域保健法 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | 〇 | ||
| 児童相談所 | 児童福祉法 | 児童福祉司 | 〇 | 〇 | 可 | 可 | ||
| 身体障害者更生相談所 | 身体障害者福祉法 | 身体障害者福祉司 | 〇 | 可 | ||||
| 知的障害者更生相談所 | 知的障害者福祉法 | 知的障害者福祉司 | 〇 | 可 | ||||
| 精神保健福祉センター | 精神保健福祉法 | 〇 | 〇 | |||||
| 婦人相談所 →女性相談支援センター | 売春防止法 →困難女性支援法 | 婦人相談員 →(女性相談支援員) | 〇 | 可 | ||||
| 発達障害者支援センター | 発達障害者支援法 | 可 | 可 | |||||
| 地域包括支援センター | 介護保険法 | 社会福祉士 主任ケアマネジャー 保健師(看護師) | 市町村に原則1か所以上だが市町村広域連合が設置する場合も | |||||
8種類の扶助
現在、生活保護法には8種類の扶助があります。
戦前の救護法では4種類(生活扶助、医療扶助、助産扶助、生業扶助)で、旧生活保護法になり葬祭扶助が追加され5種類になり、現生活保護法が戦後に制定された時には、教育扶助と住宅扶助が加えられて7種類に。
そして2000年に介護保険法施行とともに介護扶助が加えられ、現在の8種類になっています。
| 扶助 | 1929 救護法 |
1946 旧生活保護法 |
1950 生活保護法 |
|---|---|---|---|
| 生活扶助 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 医療扶助 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 助産扶助→出産扶助 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 生業扶助 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 葬祭扶助 | 葬祭費 | 〇 | 〇 |
| 住宅扶助 | 〇 | ||
| 教育扶助 | 〇 | ||
| 介護扶助 | 〇(2000年~) |
・生活扶助
生活扶助は日常生活に必要な費用の支給で、第一類と第二類があります。第一類は個人の生活費で、第二類は光熱水費など世帯全体の生活費です。
さらに各種加算(母子加算、障害加算、介護保険料加算など)があり、介護保険料加算は介護扶助でなく生活扶助で支給されます。
また、生活扶助には入学準備金や出産する子供の服代など一時扶助というのがあります。
介護施設に入所している人の日常生活費である「介護施設入所者基本生活費」は、介護扶助や住宅扶助ではなく「生活扶助」として給付されます。
・住宅扶助
住宅扶助は、家賃や敷金礼金など住宅に関する扶助です。
・医療扶助
医療扶助は原則として現物給付であり、医療保護施設又は指定医療機関などに委託して行われます(生活保護法34条の2)。被保護者が受診する場合は、これらの指定医療機関でなければなりません。

現物給付というのは、現金ではなくサービスを無料で受けられる(サービスそのものが給付される)ということだよ。
・教育扶助
教育扶助は、義務教育にかかる費用への扶助です。
高校就学費は義務教育を卒業していますので生業扶助になります。
・介護扶助
介護扶助は、介護保険サービスを利用する時の自己負担に対する現物給付の扶助です。居宅介護や施設介護、福祉用具のほか、住宅改修も含めた介護サービス全般が対象で、要介護者の介護サービスだけでなく、要支援者の介護予防サービスも対象です。

医療扶助と介護扶助は現物給付だから忘れないで!
ちなみに介護保険サービスの住宅改修は住宅扶助じゃなく介護扶助だから注意ね。
・出産扶助
出産扶助は、病院や助産施設で出産したときにかかる費用に対する扶助です。
・生業扶助
生業扶助は、就職するために必要な費用や高等学校以上の就学費などです。
・葬祭扶助
葬祭扶助は、葬祭した人に支払われます。葬祭扶助には、遺体の検案のほか、死体の運搬、火葬又は埋葬、納骨その他葬祭のための必要な費用が含まれます。
まとめ
ここはケアマネ試験に頻出なので、まとめておきます。
| 扶助 | 内容 | 現物or現金 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 生活扶助 | ・第一類は個人の生活費 ・第二類は光熱水費など世帯全体の生活費 ・母子加算や障害加算などの各種加算あり | 現金 | ・介護保険料加算は介護扶助ではなく生活扶助 ・介護施設入所者の日常生活費である「介護施設入所者基本生活費」は、介護扶助や住宅扶助ではなく生活扶助 |
| 住宅扶助 | 家賃や敷金礼金など住宅に関する扶助 | 現金 | |
| 医療扶助 | 医療の提供 | 現物 | 医療保護施設又は指定医療機関などに委託(医療扶助はこれらの医療機関に限定される) |
| 教育扶助 | 義務教育にかかる費用 | 現金 | |
| 生業扶助 | 就職するために必要な費用や高等学校以上の就学費など | 現金 | 高等学校就学費は教育扶助ではなく生業扶助 |
| 出産扶助 | 病院や助産施設で出産したときにかかる費用 | 現金 | |
| 葬祭扶助 | 遺体の検案、死体の運搬、火葬又は埋葬、納骨その他葬祭のための必要な費用 | 現金 | |
| 介護扶助 | 介護保険サービスを利用する時の自己負担 | 現物 | 介護保険サービスの住宅改修は住宅扶助ではなく介護扶助 |

介護保険料は生活扶助から、介護保険サービスの自己負担は介護扶助から支給されるわけだね。
申請→支給決定→不服申立→取消訴訟
生活保護の申請ができるのは、①要保護者本人、②扶養義務者、③その他の同居の親族です(生活保護法第7条)。
居住地を有する人はその居住地を所管する福祉事務所へ、居住地がない人は現在地を所管する福祉事務所へ申請します。例えば住所不定のホームレスで公園に住んでいる人は、その公園のある自治体に申請します(本籍地があるところではなく)。
申請があると資産調査(ミーンズテスト)がなされ、扶養義務者や勤務先への確認もなされることがあります。
申請があった日から14日以内に通知されますが、資産調査に時間が掛かる場合は最長で30日まで延長されます。
生活保護が認められなかったり等の行政処分に不満がある時は3カ月以内に不服申立をしなければならず、都道府県知事に審査請求をします。
都道府県知事の裁決に不服があるときは、厚生労働大臣に再審査請求をすることができ、それでも納得できなければ訴訟ができます。
審査請求を飛び越えて訴訟はできません。
普通は不服申立(審査請求)か裁判(訴訟)か選べるのですが、生活保護は「不服申立前置主義」をとっていますから、まず審査請求による不服申立をしないと取消訴訟ができません。
この流れは以下の「朝日訴訟」を参考にすると覚えやすいです。
朝日訴訟
朝日訴訟というのは、朝日茂さんが起こした生活保護に関する行政訴訟のことです。
1957年当時、結核患者だった朝日茂さんは国立の岡山療養所に入所し、月々600円の生活保護で生活していました。しかし生活が苦しく、この金額では憲法25条の生存権が保証されないとして訴訟を起こしました。
ただし、不服申立前置主義をとる生活保護制度では審査請求を経ないと訴訟できませんので、朝日さんは以下の流れで訴訟を行います。
②厚生大臣に不服申立→却下
③行政不服審査法による訴訟
他の社会保障制度との関係
生活保護受給者は国民年金保険料が法定免除されています。
40~65歳の人は介護保険の第二号被保険者ですが、生活保護受給者は医療保険加入者が極めて少ないため介護保険2号被保険者にほとんど該当しません(介護保険は健康保険への加入が必須でしたね)。
そのような被保護者が介護が必要になった場合は介護扶助から全額賄われます。
第2号被保険者であれば介護保険から9割が支払われ、自己負担1割は介護扶助から支払われるわけです。
保護施設
生活保護法は居宅保護が原則ですが、補完的に保護施設が維持されています。
この保護施設には以下の5種類あって、運営できるのは都道府県、市町村、独立行政法人、社会福祉法人、日本赤十字社に限られます。
・救護施設
救護施設は、身体上精神上の著しい障害のある要保護者の生活扶助施設です。
・更生施設
更生施設は、身体上・精神上の理由による養護、補導を必要とする要保護者を入所させる生活扶助施設です。
・医療保護施設
医療保護施設は、医療扶助の給付を行う施設です。
・授産施設
授産施設は、就業能力の限られた要保護者に就労又は技能習得の機会を与える施設です(生業扶助の現物給付)。
・宿所提供施設
宿所提供施設は、住居のない要保護者に住宅扶助を行う施設です。
救護施設以外の4つは障害者施策など他の法律の整備や拡充によって減少してきていますが、救護施設は他法の入所待機者や他法の施設で受け入れ困難とされる人が利用し5種のなかで最も多いのですが、それでも全国に200もありません。
市町村単位どころか都道府県に平均4~5施設くらいでしょうか。
生活保護制度の現状
受給者数(世帯別、扶助別)
被保護者数は、全国で200万人、160万世帯を超えています。
生活保護受給世帯は「高齢者世帯」「障害・疾病世帯」「母子世帯」「その他世帯」と4つの世帯に分けられていますが、最も多いのは「高齢者世帯」で、半分以上を占めています。

さらにそのほとんどが単身世帯です。
高齢化が急速に進む日本では当然で、高齢者であれば働かない事に合理性もありますので、生活保護を受ける数も多いのは納得できますね。
さらに「その他世帯」の中に含まれる働き盛りの30~50代の世帯も増えていることも問題視されています。
上のグラフにあるように、昭和のころは生活保護を受けている世帯は障害者や傷病者世帯が最も多かったのですが、平成に入るころに高齢者世帯が最も多くなり、近年急激に増加しています。
今後も高齢化でどんどんその割合は増えていきます。
扶助別には生活扶助が最多であり、生活扶助、住宅扶助、医療扶助の三大扶助が他の扶助よりも圧倒的に多くなっています。2000年から始まった介護保険制度により介護扶助が導入されましたが、伸び続けてはいるものの三大扶助よりは少ないです。

下のグラフの赤い線は介護扶助だよ。2000年に介護保険制度が始まってから介護扶助もスタートし、右肩上がりだね。

保護費
保護費で最も多額を占めるのは医療扶助です。
被保護者は医療保険未加入者が大半なのでそうなってしまいます。
人員ベースでは生活扶助が最も多く、金額ベースでは医療扶助が最も多額であることを覚えておいてください。

どれだけ病院にかかっても医療費が無料だから気軽に何度も通院してしまうよね。薬だけもらって転売する人もいるってニュースでやってた。
保護開始理由
保護開始理由としては、「貯金等の減少・喪失」が最多となっています。

保護廃止理由
生活保護から抜け出す理由としては、もっとも期待したいのは「働き始めて収入が得られるようになったから」というものですが、そうはいきません。
下のグラフを見ると、死亡によって生活保護が廃止になる人が最も多いようです。

就労自立に向けて
生活保護制度の目的は、「生活に困っている方々に最低限度の生活を保障するとともに、その方々が自分の力で生活していけるよう援助すること」です。
つまり、目的は2つあって
・最低限度の生活を保障すること
・自力で生活していけるよう自立を支援する
ということです。
ただ、現在の制度設計では一度生活保護に陥ると手厚く保護され、最低賃金で週5日働くよりもたくさんのお金をもらえてしまうので、なかなか生活保護を抜け出そうというインセンティブが働かず自立を支援する仕組みに乏しいと言わざるを得ません。
例えば生活保護受給中に働いて収入を得た場合、その収入額が差し引かれて保護費が支給されます。

これだと働き損と思ってもしかたないよね。
そのため就労自立を促す制度として「就労自立給付金」という仕組みがあって、生活保護受給中に得た収入によって差し引かれた保護費を積み立てて、保護から抜け出したときに一括で受け取れるというものです。
これはなかなか良い制度だと思うのですが、働こうという意欲に繋がりますよね。
また、収入を得ても一定額は保護費から引かれない基礎控除という仕組みもあって、基礎控除額が引き上げられてきています。
こちらも生活保護を受けていても働こうとするインセンティブに繋がります。
過去問
第23回 問題58
生活保護制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 すべての被保護者に対する要介護認定は、介護扶助の必要性を判断するため、生活保護制度で独自に行う。
2 生活に困窮する外国人は、生活保護の取扱いに準じて必要な保護を受けることができる。
3 居宅介護支援事業所が生活保護受給者に対して居宅介護支援を行う場合には、介護保険法の指定のほかに、生活保護法による指定を受ける必要がある。
4 葬祭扶助は、原則として、現物給付である。
5 福祉事務所で生活保護を担当する査察指導員と現業員は、社会福祉主事でなければならない。
これは、生活保護制度に関する知識を問う問題です。保護の種類(介護扶助・葬祭扶助など)、外国人への適用、指定事業者の仕組み、担当職員の資格要件など、制度の基本的な仕組みを理解しているかが問われ、生活保護受給者への支援として幅広い知識が必要です。
1 すべての被保護者に対する要介護認定は、介護扶助の必要性を判断するため、生活保護制度で独自に行う。
これは誤り。生活保護の被保護者であっても、要介護認定は介護保険法に基づき、市町村(介護認定審査会)が一元的に実施します。生活保護制度が独自に要介護認定を行うわけではないため誤りです。
2 生活に困窮する外国人は、生活保護の取扱いに準じて必要な保護を受けることができる。
これは正解。生活保護法は原則として日本国民を対象としており、外国人には適用されません。しかし、永住者や定住者など正当な手続きで日本に在留し、生活に困窮する外国人に対しては、人道的な観点から「生活保護の取扱いに準じて」必要な保護を受けることができるとされています。
3 居宅介護支援事業所が生活保護受給者に対して居宅介護支援を行う場合には、介護保険法の指定のほかに、生活保護法による指定を受ける必要がある。
これは正解。生活保護受給者に居宅介護支援を行う事業所は、介護保険法の指定に加えて、生活保護法(第54条の2)に基づく「介護機関」としての指定も別途必要となります。ただし、介護保険法の指定を受けた事業所は原則として生活保護法の指定も受けたとみなされます(みなし指定)が、試験では原則「別途指定が必要」と覚えましょう。
4 葬祭扶助は、原則として、現物給付である。
これは誤り。葬祭扶助は、原則として「金銭給付」であり火葬や埋葬に関わる費用が金銭で支給される仕組みです。一方、「医療扶助」や「介護扶助」は現物給付として支給され、試験では「医療と介護」は現物給付と整理して覚えましょう。
5 福祉事務所で生活保護を担当する査察指導員と現業員は、社会福祉主事でなければならない。
これは正解。福祉事務所における査察指導員と現業員は、社会福祉主事でなければならないと定められています(社会福祉法第15条)。査察指導員とは、現業員の指導・監督を行う者で、現業員(ケースワーカー)は被保護者への直接的な支援を担います。
第24回 問題58
生活保護制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 生活保護制度は、市町村の責任と裁量の下で行われる。
2 生活保護制度は、生活困窮に陥った原因にかかわらず、無差別平等に受けることができる。
3 医療扶助による医療の給付は、医療保護施設又は生活保護の指定医療機関に委託して行うことができる。
4 介護扶助には、要介護者に対する住宅改修は含まれない。
5 住宅扶助は、原則として、金銭給付で行われる。
生活保護制度の基本原理・運営主体・各種扶助の内容と給付方法を問う問題です。制度の実施責任者、無差別平等の原則、医療扶助・介護扶助・住宅扶助それぞれの具体的な内容と給付形態(現物・金銭)の違いを正確に理解しているかが試されます。
1 生活保護制度は、市町村の責任と裁量の下で行われる。
これは誤り。生活保護制度は、国の責任(国家責任の原則)の下で実施される制度です。実際の業務は福祉事務所を設置する都道府県・市などが担いますが、市町村の独自裁量で制度内容を決定することはできません。
2 生活保護制度は、生活困窮に陥った原因にかかわらず、無差別平等に受けることができる。
これは正解。生活保護は、保護が必要な状態(要保護状態)であれば、困窮に至った原因を問わず平等に保護を受けることができます。これは生活保護の基本原則の一つである「無差別平等の原則」に関する内容です。
3 医療扶助による医療の給付は、医療保護施設又は生活保護の指定医療機関に委託して行うことができる。
これは正解。医療扶助は原則として現物給付であり、医療保護施設又は指定医療機関などに委託して行われます(生活保護法34条の2)。また被保護者が受診する場合は、これらの指定医療機関でなければならない点も重要です。
4 介護扶助には、要介護者に対する住宅改修は含まれない。
これは誤り。介護扶助には、介護保険法における「住宅改修」に相当する給付も含まれます。介護扶助は、居宅介護や施設介護、福祉用具のほか、住宅改修も含めた介護サービス全般が対象であり、住宅扶助と混同しやすいため、これらの違いを区別して正確に覚えましょう。
5 住宅扶助は、原則として、金銭給付で行われる。
これは正解。住宅扶助は原則として金銭給付で、家賃・地代などが現金で支給されます。一方、医療扶助や介護扶助は原則として現物給付で行われるため、これらを混同しないように理解する必要があります。
第25回 問題58
生活保護制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 被保護者の収入として認定されるものには、地代や家賃等の財産収入が含まれる。
2 要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。
3 介護施設入所者基本生活費は、介護扶助として給付される。
4 教育扶助は、原則として、現物給付によって行われる。
5 介護扶助は、介護保険制度の保険給付の対象となる介護サービスと同等のサービスを、要保護者に対し保障する。
この問題は、生活保護制度の基本原則、実施体制、および扶助の種類と給付方法に関する知識を問うものです。試験では、介護保険制度と生活保護制度(特に介護扶助)との相互関係や、給付の原則(金銭給付か現物給付か)などが頻出です。制度の全体像と例外規定を正確に整理して覚えることが大切です。
1 被保護者の収入として認定されるものには、地代や家賃等の財産収入が含まれる。
これは正解。被保護者の収入認定には、就労収入だけでなく、地代・家賃などの財産収入も含まれます。年金・仕送り・農業収入なども認定対象となり、認定された収入分は保護費の算定に反映されます。
2 要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。
これは正解。生活保護は原則として本人等の申請に基づいて行われる「申請保護の原則」があります。ただし、命の危険があるなど要保護者が急迫した状況にあるときは、例外として申請がなくても必要な保護を行うことが認められています。試験対策として、原則と例外をセットで覚えましょう。
3 介護施設入所者基本生活費は、介護扶助として給付される。
これは誤り。「介護施設入所者基本生活費」とは、介護施設に入所した場合の、食費やおむつ代、日用品費などの日常生活費のことで、介護扶助ではなく「生活扶助」として給付されます。介護扶助はあくまで介護サービスそのものの費用を対象とするため、混同しないように注意しましょう。
4 教育扶助は、原則として、現物給付によって行われる。
これは誤り。教育扶助は、原則として金銭給付によって行われます(生活保護法第32条)。学用品費・通学用品費・学校給食費などが対象となり給付されますが、教科書などが現物として支給されると勘違いしやすいため、給付の仕組みを正しく理解することが大切です。
5 介護扶助は、介護保険制度の保険給付の対象となる介護サービスと同等のサービスを、要保護者に対し保障する。
これは正解。介護扶助は、介護保険制度の保険給付の対象となる介護サービスと同等のサービスを要保護者に保障するものです。要支援・要介護の認定基準や受けられるサービス内容に格差が出ないよう、介護保険法に規定する給付と同等のものが介護扶助(現物給付)として支給される仕組みとなっています。
第26回 問題60
生活保護制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等を考慮して行うものとする。
2 実施機関は、都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長である。
3 生活保護費は、最低生活費に被保護者の収入額を加算して支給される。
4 福祉用具の利用は、生活扶助の対象である。
5 生活保護の申請は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族が行うことができる。
この問題は、生活保護制度の基本原理・原則、実施機関、保護費の計算方法、保護の申請権者に関する知識を問うものです。生活保護の仕組みについては毎年必ず出題されているため、基本的な制度の理解に加え、法律の条文や用語についての正確な理解が求められます。
1 保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等を考慮して行うものとする。
これは正解。生活保護法第9条「必要即応の原則」に基づく記述です。保護は一律ではなく、要保護者の年齢・性別・健康状態・生活環境などの個別の必要性に応じて行われることが原則とされています。
2 実施機関は、都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長である。
これは正解。生活保護の実施機関は、都道府県知事・市長・福祉事務所を管理する町村長です(生活保護法第19条)。ただし注意すべき点として、「福祉事務所を管理する町村長」という限定があり、福祉事務所を設置していない町村長は含まれていません。
3 生活保護費は、最低生活費に被保護者の収入額を加算して支給される。
これは誤り。生活保護費は最低生活費に収入を「加算」するのではなく、最低生活費から収入認定額を差し引いた不足分が保護費として支給されます。収入が多いほど保護費が減額される仕組みであり、最低生活費に足りない分を補うのが生活保護の原則です。
4 福祉用具の利用は、生活扶助の対象である。
これは誤り。福祉用具貸与や特定福祉用具購入は、生活扶助ではなく介護扶助の対象となります。生活扶助は日常生活費に対する扶助であり、介護サービスに関する給付は介護扶助として現物給付されます。
5 生活保護の申請は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族が行うことができる。
これは正解。生活保護の申請ができるのは、①要保護者本人、②扶養義務者、③その他の同居の親族です(生活保護法第7条)。本人が申請できない状態でも、扶養義務者やその他の同居する親族が代わりに申請できる仕組みとなっています。
第27回 問題58
生活保護制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 65歳以上の被保護者の介護保険料は、生活保護から給付される。
2 補足性の原理により、生活保護の介護扶助は、介護保険の保険給付よりも優先して給付される。
3 生活保護の要否判定は、家庭裁判所が行う。
4 葬祭扶助には、火葬又は埋葬に必要な費用が含まれる。
5 介護予防支援計画に基づいて行われる介護予防サービスは、介護扶助の対象となる。
この問題は、生活保護制度と介護保険制度の優先関係、介護保険料の取り扱い、葬祭扶助の範囲、保護の要否判定機関を問うものです。試験では「介護保険が生活保護に優先する」という基本原則や、受給者の年齢による保険料の拠出先などが頻出です。
1 65歳以上の被保護者の介護保険料は、生活保護から給付される。
これは正解。65歳以上の被保護者は、介護保険の第1号被保険者となるため介護保険料が発生します。この場合の介護保険料は、生活扶助の「介護保険料加算」として上乗せ支給されます。試験では「介護扶助として給付される」という引っかけ問題が多いため注意しましょう。
2 補足性の原理により、生活保護の介護扶助は、介護保険の保険給付よりも優先して給付される。
これは誤り。「補足性の原理」とは、他の制度が利用できる場合はそちらを優先し、それでも不足する部分を生活保護で補うという原則です。そのため、生活保護の介護扶助よりも、介護保険の保険給付が優先して適用されます。
3 生活保護の要否判定は、家庭裁判所が行う。
これは誤り。生活保護の要否判定は家庭裁判所ではなく、保護の実施機関が行います。具体的には、都道府県知事、市長、福祉事務所を管理する町村長です。
4 葬祭扶助には、火葬又は埋葬に必要な費用が含まれる。
これは正解。葬祭扶助には、火葬・埋葬・検案・死体の運搬・納骨など、葬儀を行うための最低限必要な費用が給付対象となります。原則として金銭給付で行われ、生活困窮により葬儀の費用が出せない場合などに支給される重要な扶助です。
5 介護予防支援計画に基づいて行われる介護予防サービスは、介護扶助の対象となる。
これは正解。要支援者が介護予防支援計画に基づいて利用する介護予防サービスは、介護扶助の対象となります。介護扶助は、要介護者の介護サービスだけでなく、要支援者の介護予防サービスも対象となることを覚えましょう。
第28回 問題58
生活保護制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 すべて国民は、生活保護法の定める要件を満たす限り、保護を無差別平等に受けることができる。
2 保護は、原則として、世帯を単位として行われる。
3 介護施設入所者基本生活費は、住宅扶助として給付される。
4 介護扶助は、原則として、金銭給付により行われる。
5 被保護者の収入として認定されるものには、老齢基礎年金が含まれる。
1 すべて国民は、生活保護法の定める要件を満たす限り、保護を無差別平等に受けることができる。
これは正解。生活保護法第2条「無差別平等の原理」の条文の記述です。すべての国民が、年齢・性別・社会的身分や困窮に至った理由に関係なく、法の定める要件を満たす限り平等に保護を受けることができます。生活保護の4つの基本原理(無差別平等・国家責任・最低生活・補足性)は必ず覚えましょう。
2 保護は、原則として、世帯を単位として行われる。
これは正解。生活保護法第10条「世帯単位の原則」の規定です。保護の要否や程度は世帯全体の収入・資産を合算して判断されます。ただし、特別な事情がある場合には、個人を単位として保護を行うこともあります。原則「世帯単位」で「例外もある」という表現を正確に覚えましょう。
3 介護施設入所者基本生活費は、住宅扶助として給付される。
これは誤り。介護施設に入所している人の日常生活費である「介護施設入所者基本生活費」は、住宅扶助ではなく「生活扶助」として給付されます。住宅扶助はあくまで家賃や補修費などが対象であり、介護施設入所者基本生活費は含まれません。
4 介護扶助は、原則として、金銭給付により行われる。
これは誤り。介護扶助は原則として現物給付です(生活保護法第34条の2)。8つの扶助のうち、医療扶助と介護扶助を除く扶助は、原則として金銭給付で行われます。これらの扶助の内容と給付方法は頻出であるため必ず整理して覚えましょう。
5 被保護者の収入として認定されるものには、老齢基礎年金が含まれる。
これは正解。老齢基礎年金は収入として認定されます。収入認定されると、その額が最低生活費から差し引かれて保護費が決定されます。年金のほか、就労収入・財産収入・仕送りなども被保護者の収入として認定されます。
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次は、生活保護に次ぐ第二のセーフティネット「生活困窮者自立支援制度」です。



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