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【ソーシャルワーク】ケアマネジメント

ソーシャルワークの展開過程 福祉サービスの知識等

ケアマネの本業がソーシャルワーク(ケアマネジメント)です。しっかり学びましょう。

ソーシャルワーク

ソーシャルワークは、人と環境との相互作用における生活課題を包括的に捉え、クライエントの自己決定を尊重しつつ、多様な関係機関や社会資源を活用しながら支援を行う専門的援助活動です。また、人権の尊重を根幹に置き、生活課題を抱える人々が社会とのつながりを実感できるよう、社会変革と社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)の実現を目指す専門的実践です。

ソーシャルワークの援助関係

ラポール

ラポールとは、クライエントと援助者の間に築かれる「信頼関係」のことです。

パートナーシップ

パートナーシップとは、援助者と被援助者がお互いを重要なパートナーとして捉え、共に課題に取り組む関係性を表します。

ソーシャルワークの展開過程

ソーシャルワークの展開過程は、ケアマネジメントと同じで以下の流れで進みます。

順番プロセス内容
1アウトリーチ自宅訪問などにより、ニーズの発見、掘り起し
2インテーク受理面接、エンゲージメント(契約)とは、両者が焦点となる問題や目標を共有し、援助の方針・内容について合意形成を図ること
クライエントの主訴と、支援機関が提供できる役割・機能が合致するかを確認し、合致しない場合は適切な機関へリファーラル(紹介)することも必要
3アセスメントクライエント本人、取り巻く環境、問題状況及びそれらの相互関係を把握・分析する
4プランニング援助計画の立案、作成
短期・長期などの期間を設けて目標を立てることが重要
5インターベンション介入
6モニタリングクライエントへの継続的アセスメントや目標の達成度の把握など、援助計画の進捗を定期的、継続的に観察して評価
7エバリュエーション事後評価
8ターミネーション終結に伴うクライエントへの不安に配慮する
9フォローアップ終結後の支援

困難事例

支援困難事例では、介護支援専門員・医療職・行政・地域住民などがチームを組んで多角的にアプローチすることが重要です。介護支援専門員単独での解決は困難であるため、それぞれの立場で専門性や役割を活かしたネットワーク(多職種連携・地域連携)による包括的支援が求められます。

ひきこもり

ひきこもりは、以下のように定義されています。

様々な要因の結果として、社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職員を含む就労、家庭外での交遊)を回避し、原則的には6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を示す現象概念。
※ ひきこもりは、原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状に基づくひきこもり状態とは一線を画した非精神症性の現象とするが、実際には確定診断がなされる前の統合失調症が含まれている可能性は低くない。
「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」より

カリスマくん
カリスマくん

アウトリーチによる支援が必要だね。

8050問題

長期のひきこもり等によって50代になった子どもの生活を、80代の親が支えるという問題8050問題といいます。

ひきこもりという言葉が社会にではじめるようになった1980年代~90年代は若者の問題とされていましたが、その後ひきこもりが長期化し、気がつけば当時の若者が50代、その親が80代となり社会的に孤立、生活が立ち行かなくなる深刻なケースが目立ちはじめています。

7040問題から8050、9060へと移行しています。

セルフ・ネグレクト

セルフ・ネグレクト(自己放任)とは、高齢者本人が生活意欲を失うなどして、必要な食事や入浴、医療受診などを拒否・放置し、自身の健康や安全を損なう状態を指します。

カリスマくん
カリスマくん

ネグレクト(育児放棄)は児童虐待で問題になってるけど、セルフネグレクトはゴミ屋敷の問題とかの原因になってるよね。

過去問

第23回 問題47

ソーシャルワークの視点から、支援困難な高齢者に関する記述として、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 近隣住民からの「一人暮らしの高齢者宅から異臭がする」との訴えに対し、まずその高齢者に施設への入所を勧める。
2 支援を拒否している高齢者には、信頼できる人を探し、支援につなげることが有効である。
3 アウトリーチによる対応には、支援のためのネットワークの構築が含まれる。
4 高齢者が不平・不満を何度も訴えるため、担当の介護支援専門員が地域包括支援センターにスーパービジョンを依頼する。
5 セルフ・ネグレクトには、親族による介護放棄が含まれる。

支援困難な高齢者へのソーシャルワーク的対応を問う問題です。支援拒否、セルフ・ネグレクト、アウトリーチ、スーパービジョンなど、地域支援の現場で求められる専門的知識と適切な支援姿勢が理解できているかが試されます。

1 近隣住民からの「一人暮らしの高齢者宅から異臭がする」との訴えに対し、まずその高齢者に施設への入所を勧める。
これは誤り。異臭の訴えがあった際、状況把握や本人の意向確認もせず、「まず施設入所を勧める」という極端で一方的な対応は、ソーシャルワークの観点から不適切です。まずはセルフ・ネグレクトや生活環境の悪化、健康状態の悪化などの可能性を考慮し、安否確認や状況把握を行うことが重要です。

2 支援を拒否している高齢者には、信頼できる人を探し、支援につなげることが有効である。
これは正解。行政や専門職の介入を拒否する高齢者であっても、近所の知人や親族、通い慣れた商店の店主など、本人が「信頼している特定の人」であれば心を開くケースもあります。そのような人を介して間接的に関わりながら、専門的な支援窓口へとつなげていく手法は非常に有効なアプローチです。

3 アウトリーチによる対応には、支援のためのネットワークの構築が含まれる。
これは正解。「アウトリーチ」とは、支援者が積極的に訪問して関わりを持つアプローチですが、対象者に働きかけるだけでなく、地域の関係機関や住民との連携を図り、支援ネットワークを構築するプロセスも含まれます。

4 高齢者が不平・不満を何度も訴えるため、担当の介護支援専門員が地域包括支援センターにスーパービジョンを依頼する。
これは正解。地域包括支援センターの業務に「包括的・継続的ケアマネジメント支援業務」があり、主任ケアマネジャー等が配置されています。支援に困難を感じた介護支援専門員が、主任介護支援専門員等から専門的な助言や指導を受けること(スーパービジョン)は適切な対応です。

5 セルフ・ネグレクトには、親族による介護放棄が含まれる。
これは誤り。「セルフ・ネグレクト」とは本人自身による自己放任(健康や安全、生活環境を顧みない)であり、親族等による介護放棄は高齢者虐待における「ネグレクト」にあたります。両者は区別して理解する必要があります。

第23回 問題48

ソーシャルワークに関する次の記述のうち、より適切なものはどれか。2つ選べ。
1 インテーク面接で得られた情報が少ない場合には、それを記録する必要はない。
2 クライエントの主訴のとおりに援助計画を立てることが、重要である。
3 モニタリングとは、援助計画の進捗を定期的、継続的に観察して評価することである。
4 多職種連携の際は、誰もが支援できるように、それぞれの役割を曖昧にすることが重要である。
5 クライエントとソーシャルワーカーとの契約とは、両者の間で焦点となる問題や目標を明らかにして、援助に関する合意をすることである。

ソーシャルワークの基本的なプロセスと技術を問う問題です。インテーク・モニタリング・契約・多職種連携など、援助過程の各段階における適切な姿勢と手順が理解できているかが試されます。

1 インテーク面接で得られた情報が少ない場合には、それを記録する必要はない。
これは誤り。インテーク面接で得られた情報は、たとえ少なくても必ず記録する必要があります。記録は支援の継続性・引き継ぎ・振り返りの根拠となる重要な業務であり、情報量の多少にかかわらず省略してはいけません。

2 クライエントの主訴のとおりに援助計画を立てることが、重要である。
これは誤り。クライエントの主訴はあくまで出発点です。本人が自覚していない潜在的なニーズや生活課題を専門的に分析(アセスメント)した上で、主訴と客観的課題を総合的にすり合わせながら援助計画を立てることが重要です。主訴を尊重しつつ、アセスメントにより把握した潜在的ニーズも踏まえて援助計画を作成することが大切です。

3 モニタリングとは、援助計画の進捗を定期的、継続的に観察して評価することである。
これは正解。モニタリングとは、援助計画が適切に実施されているかを定期的・継続的に観察・評価するプロセスです。計画に沿ってサービスが適切に提供されているか、クライエントの状態に変化がないか、設定した目標の達成度合いなどを確認し、状況に応じて計画の見直しなどを行います。

4 多職種連携の際は、誰もが支援できるように、それぞれの役割を曖昧にすることが重要である。
これは誤り。多職種連携では、各専門職の役割を明確にすることが重要です。役割を曖昧にすると、支援の抜け・漏れや責任の所在が不明確になります。それぞれの専門性を活かした役割分担と、情報共有の両立が多職種連携の基本姿勢です。

5 クライエントとソーシャルワーカーとの契約とは、両者の間で焦点となる問題や目標を明らかにして、援助に関する合意をすることである。
これは正解。ソーシャルワーカーとクライエントにおける「契約」とは、両者が焦点となる問題や目標を共有し、援助の方針・内容について合意形成を図ることです。一方的な支援ではなく、クライエントの主体性を尊重した協働関係の出発点となります。

第24回 問題47

ソーシャルワークの視点から、支援困難事例への対応として、より適切なのはどれか。3つ選べ。
1 支援困難事例は、専門職や関係機関が連携して支援することが望ましい。
2 物が散乱し、異臭がする家屋に住んでいる独居高齢者に対し、まずはごみを片付けることを目的に話をする。
3 近隣住民から「虐待されているかもしれない高齢者がいる」との訴えがあったので、直ちに警察へ通報する。
4 経済的困窮を理由にクライエントがサービスの中止を希望したが、できる限りサービスを継続できるような支援方法を検討する。
5 同居している精神障害がある家族とクライエントとの関係が悪化したため、その家族が障害者福祉などの制度を利用できるよう支援する。

支援困難事例に対するソーシャルワーク的な対応の適切さを問う問題です。多職種連携・アウトリーチ・虐待対応・経済的困窮・家族支援など、現場で直面する複合的な課題への判断力が試されます。

1 支援困難事例は、専門職や関係機関が連携して支援することが望ましい。
これは正解。支援困難事例には、セルフ・ネグレクトや多重課題(経済困窮・精神疾患など)が複雑に絡み合っていることが多く、介護支援専門員単独での解決は困難です。医療機関や行政、障害福祉、地域包括支援センター等の多職種や関係機関がチームを組み、多角的な視点から連携してアプローチすることが望ましいです。

2 物が散乱し、異臭がする家屋に住んでいる独居高齢者に対し、まずはごみを片付けることを目的に話をする。
これは誤り。いわゆる「ゴミ屋敷」の状態にある高齢者は、孤立や心の病、セルフ・ネグレクト等の深い背景を抱えています。本人の思いを無視して、最初から「ごみを片付けること」を目的として説得にかかると、強い拒絶を招きかねません。支援者の価値観を押しつけず、本人の意思を尊重した関わり方で、本人との信頼関係(ラポール)を築くことが最優先です。

3 近隣住民から「虐待されているかもしれない高齢者がいる」との訴えがあったので、直ちに警察へ通報する。
これは誤り。虐待の疑いがある場合の通報先は警察ではなく市区町村の窓口です。生命に重大な危険がある緊急時を除き、まずは速やかに市町村へ通報・報告を行い、地域包括支援センターや行政の権限、ネットワークを用いて事実確認や安全確保の対応を進めるのが正しい手順となります。

4 経済的困窮を理由にクライエントがサービスの中止を希望したが、できる限りサービスを継続できるような支援方法を検討する。
これは正解。クライエントが経済的理由でサービス中止を希望した場合、その意向を尊重しつつも、負担軽減制度や代替サービスなど、できる限りサービスを継続できる方法を一緒に検討することが適切な対応です。いったんサービスを諦めると、必要な支援が滞ってしまい、さらに状態が悪化するリスクを伴います。利用できる制度や社会資源を活用しながら支援方法を検討することが重要です。

5 同居している精神障害がある家族とクライエントとの関係が悪化したため、その家族が障害者福祉などの制度を利用できるよう支援する。
これは正解。ソーシャルワークでは、高齢者本人だけでなく家族も支援対象として捉え、必要に応じて家族を障害福祉サービスや相談支援につなげることも重要です。本人のみでなく世帯全体の背景にも目を向けることで、家族関係の改善とクライエントへの支援の安定化が期待できます。

第24回 問題48

ソーシャルワークに関する次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 インテークでは、クライエントの主訴と支援機関の役割が合致するかを確認することが重要である。
2 アセスメントでは、解決する問題、クライエント、取り巻く環境及びそれらの相互関係を確定することが必要である。
3 支援計画では、長期、短期などと期間を分けずに目標を立てることが重要である。
4 支援を終結する際は、終結に伴うクライエントの不安に配慮する必要がある。
5 支援の記録は、スーパービジョンに使用してはならない。

ソーシャルワークの援助過程(インテーク→アセスメント→支援計画→実施→モニタリング→終結)について理解しているかを問う問題です。各プロセスの目的と留意点を正確に理解しているかが試されます。

1 インテークでは、クライエントの主訴と支援機関の役割が合致するかを確認することが重要である。
これは正解。インテークとは初回面接(受理面接)のことです。クライエントの主訴(困っていること)と、支援機関が提供できる役割・機能が合致するかを確認することが重要です。合致しない場合は適切な機関へリファーラル(紹介)することも必要です。

2 アセスメントでは、解決する問題、クライエント、取り巻く環境及びそれらの相互関係を確定することが必要である。
これは正解。アセスメントでは、クライエント本人、取り巻く環境、問題状況及びそれらの相互関係を把握・分析する必要があります。単なる情報収集にとどまらず、多角的な視点から分析することが求められます。

3 支援計画では、長期、短期などと期間を分けずに目標を立てることが重要である。
これは誤り。支援計画では、長期目標と短期目標に分けて設定することが重要です。長期目標で最終的なゴールを示し、短期目標でその達成に向けた具体的なステップを明確にすることで、進捗の評価や計画の見直しがしやすくなります。

4 支援を終結する際は、終結に伴うクライエントの不安に配慮する必要がある。
これは正解。支援の終結はクライエントにとって大きな変化であり、不安や喪失感を抱くことがあります。終結に向けて段階的に準備を進め、クライエントの心理的な安定に十分配慮しながら丁寧に終結を迎えることが重要です。

5 支援の記録は、スーパービジョンに使用してはならない。
これは誤り。支援の記録はスーパービジョンにおいて積極的に活用されるべきものです。記録をもとに支援の振り返りや課題の整理、専門職としての成長につなげることがスーパービジョンの目的のひとつであり、使用を禁じる理由はありません。

第25回 問題47

インテーク面接について、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 地域援助技術の一つである。
2 支援過程の後期に実施する面接である。
3 面接の終わりには、問題解決に向けて一定の方向性を確認することが重要である。
4 必ずしも1回で終了させる必要はない。
5 クライエントが訪れた支援機関の機能や提供可能なサービスを説明する。

ソーシャルワークにおけるインテーク面接の目的・位置づけ・実施方法についての理解を問う問題です。インテークの基本的な手法と留意点を正確に把握しているかが試されます。

1 地域援助技術の一つである。
これは誤り。インテーク面接は、個人や家族への支援を開始する際に行われる受理面接であり、個別援助過程(ケースワーク)の初期段階に位置付けられます。一方、地域援助技術(コミュニティワーク)は住民組織化や地域資源の開発などを目的とする援助技術であり、インテーク面接とは異なります。

2 支援過程の後期に実施する面接である。
これは誤り。インテークは支援過程の最初の段階で実施される初回面接です。後期ではなく、クライエントが初めて支援機関に相談した際に行われます。支援過程はインテーク→アセスメント→計画→実施→モニタリング→終結の順で進みます。

3 面接の終わりには、問題解決に向けて一定の方向性を確認することが重要である。
これは正解。面接の終わりには、把握された問題や今後の支援の進め方について一定の見通しを共有し、次の支援段階につなげることが重要です。クライエントが今後の支援の見通しを持てるよう配慮することが求められます。

4 必ずしも1回で終了させる必要はない。
これは正解。インテークは初回面接(受理面接)として行われますが、必ずしも1回で完結させる必要はありません。クライエントの状態や情報量によっては複数回に分けて実施することも適切です。

5 クライエントが訪れた支援機関の機能や提供可能なサービスを説明する。
これは正解。インテークでは、支援機関の機能や提供可能なサービスを説明するとともに、クライエントのニーズに対応できる機関であるかを確認することも重要な作業です。これはクライエントが機関への理解を深め、安心して支援を受けられる関係づくりの出発点となります。

第25回 問題48

ソーシャルワークに関する次の記述のうち、より適切なものはどれか。2つ選べ。
1 クライエントの視点から、人生観や価値観等についての理解をより深めることが重要である。
2 家族や地域住民は、アウトリーチの対象に含まれない。
3 利用できる社会資源が不足している場合、新たな社会資源の開発が求められる。
4 不衛生な環境に居住している認知症高齢者が、サービスの利用を拒否したため、本人の意向に従い、支援を中止する。
5 「無断で家族に年金をすべて使われている」と高齢者からの訴えがあったが、家族間の問題であるため、「支援できない」と本人に伝える。

この問題は、ソーシャルワークにおける基本的な視点や、社会資源の開発、困難事例(セルフ・ネグレクトや虐待)への適切な向き合い方を問う問題です。クライエントの価値観への配慮といった対人援助の基本姿勢に加え、地域に足りない支援を生み出す役割や、危機的な状況を見過ごさない倫理観・法的責任の理解が試されます。

1 クライエントの視点から、人生観や価値観等についての理解をより深めることが重要である。
これは正解。ソーシャルワークの基本は、クライエントを援助者の主観や一般論で判断するのではなく、クライエントの立場(視点)に立って考えることです。またクライエントの人生観や価値観を理解しようとする姿勢は、強固な信頼関係を築き、真のニーズを把握するために極めて重要な考え方です。

2 家族や地域住民は、アウトリーチの対象に含まれない。
これは誤り。アウトリーチの対象はクライエント本人だけではありません。家族や近隣住民、地域のキーパーソンなども対象に含まれます。支援が必要な人を早期に発見し、支援につなげるために、地域全体に積極的に働きかけることがアウトリーチの重要な視点です。

3 利用できる社会資源が不足している場合、新たな社会資源の開発が求められる。
これは正解。既存の社会資源では対応できないニーズがある場合、ソーシャルワークには新たな社会資源を開発・創出する役割があります。制度の狭間にある問題に対応するため、地域や関係機関と協働して新しい仕組みをつくることも重要な専門的機能です。

4 不衛生な環境に居住している認知症高齢者が、サービスの利用を拒否したため、本人の意向に従い、支援を中止する。
これは誤り。不衛生な環境で生活を続けることは「セルフ・ネグレクト」が疑われる状況で、認知症による判断力の低下も懸念されます。本人が拒否したからといってそのまま「支援を中止する」のは生命や健康への重大な危険を見過ごすことになり、適切な対応とはいえません。関係機関と連携し、粘り強く見守りやアプローチを継続する必要があります。

5 「無断で家族に年金をすべて使われている」と高齢者からの訴えがあったが、家族間の問題であるため、「支援できない」と本人に伝える。
これは誤り。「年金を無断で使われている」という訴えは、高齢者虐待(経済的虐待)に該当する可能性があります。家族間の問題として放任することは、ソーシャルワークの視点において不適切な判断です。高齢者虐待防止法に基づき、市町村への通報(届出)や地域包括支援センターへの相談など適切な対応が必要です。

第26回 問題47

ソーシャルワークに関する次の記述のうち、より適切なものはどれか。2つ選べ。
1 個人の問題解決力や対処能力を強化する役割がある。
2 支援の終結と事後評価の後のアフターケアが含まれる。
3 ラポールとは、特定領域の専門家から助言・指導を受けることである。
4 アドボカシーとは、クライエントが相談した機関では必要な援助ができないとき、他機関へ紹介することである。
5 送致とは、自己の権利を表明することが困難なクライエントに代わり、援助者が代理としてその権利獲得を行うことである。

この問題は、ソーシャルワーク(社会福祉援助技術)の「基本理念、展開過程、専門用語」を問う問題です。支援の内容や手法、専門用語の意味を正しく理解しているかに加え、これまでに出題された「個別・集団・地域」の分類から一歩踏み込み、相談援助の実践プロセスや頻出ワードの正確な定義など実践的理解が試されています。

1 個人の問題解決力や対処能力を強化する役割がある。
これは適切。ソーシャルワークの基本は、クライエントの自立支援です。クライエントが本来持っている力や強みを引き出し、問題解決能力や対処能力を高めることを重視する、いわゆる「エンパワメント(アプローチ)」などの視点が重要です。

2 支援の終結と事後評価の後のアフターケアが含まれる。
これは適切。ソーシャルワークの援助過程(プロセス)は、課題解決に伴う終結や事後評価で一段落しますが、そこですべてが終了するわけではありません。終結後にクライエントの状況に変化がないかを確認し、必要に応じて相談に応じる「アフターケア(フォローアップ)」なども含まれ、クライエントの安定した生活を支える重要な役割があります。

3 ラポールとは、特定領域の専門家から助言・指導を受けることである。
これは不適切。「ラポール」とは、クライエントと援助者の間に築かれる「信頼関係」のことです。選択肢にある「特定領域の専門家から助言・指導を受けること」は、ラポールではなく「コンサルテーション」の説明にあたるため不適切です。

4 アドボカシーとは、クライエントが相談した機関では必要な援助ができないとき、他機関へ紹介することである。
これは不適切。「アドボカシー」とは、権利が侵害されている人や、自ら権利を主張することが難しい人の「権利擁護」を行うことです。選択肢にある「他機関へ紹介すること」は、アドボカシーではなく「リファーラル(紹介・送致)」の説明であるため誤りです。

5 送致とは、自己の権利を表明することが困難なクライエントに代わり、援助者が代理としてその権利獲得を行うことである。
これは不適切。「送致(リファーラル)」とは、自機関で適切な支援が困難な場合に、最適な「他機関へ紹介・引き継ぐ」ことです。選択肢にある「援助者が代理としてその権利獲得を行うこと」は、送致ではなく「アドボカシー(権利擁護)」の説明であり、選択肢の4と5が入れ替えられています。

第27回 問題47

ソーシャルワークに関する次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 クライエントと相談援助者が目標達成に向けて取り組むことは、重要である。
2 支援計画は、具体的に立てるよりは、できる限り抽象的に立てることが望ましい。
3 支援を終結する際は、終結に伴うクライエントの不安に十分配慮することが重要である。
4 スーパービジョンの主な目的は、クライエントへの支援の向上とサービスの質の確保のための相談援助者の養成である。
5 アウトリーチとは、個人情報を適切に管理・保護することである。

この問題は、ソーシャルワークの基本的なプロセスや専門用語の正しい定義を問う問題です。プランニングにおける目標設定の原則や終結時の配慮といった「支援の流れ」に関する知識に加え、援助者の資質を高める「スーパービジョン」や訪問支援を指す「アウトリーチ」の概念を正確に理解しているかが試されます。

1 クライエントと相談援助者が目標達成に向けて取り組むことは、重要である。
これは正解。ソーシャルワークでは、支援者が一方的に行うのではなく、クライエントの主体性を尊重しながら、相談援助者と協働して目標達成に取り組むことが重要です。

2 支援計画は、具体的に立てるよりは、できる限り抽象的に立てることが望ましい。
これは誤り。支援計画は抽象的ではなく、できる限り具体的に立てることが重要です。いつ・誰が・何を・どのように行うかを明確にすることで、支援の実施・評価・見直しがしやすくなります。抽象的な計画では、関係職種の間で認識のズレが生じたり、効果的な支援や目標の評価(モニタリング)が行えなくなったりすることがあります。

3 支援を終結する際は、終結に伴うクライエントの不安に十分配慮することが重要である。
これは正解。支援の終結はクライエントにとって大きな変化であり、不安や喪失感を伴うことがあります。終結に向けて段階的に準備を進め、クライエントの心理的安定に十分配慮しながら丁寧に終結を迎えることが重要です。

4 スーパービジョンの主な目的は、クライエントへの支援の向上とサービスの質の確保のための相談援助者の養成である。
これは正解。スーパービジョンとは、経験豊富なスーパーバイザーが支援者(スーパーバイジー)に対して行う指導・助言のことです。主な目的は支援者の専門的成長を促し、クライエントへの支援の質とサービス水準を高めることにあります。

5 アウトリーチとは、個人情報を適切に管理・保護することである。
これは誤り。アウトリーチとは、支援が必要でありながら支援につながっていない人に対して、支援者側から積極的に働きかける代表的な方法です。選択肢にある「個人情報の管理・保護」はコンプライアンス(法令遵守)や秘密保持義務の説明であり、用語の定義が全く異なるため誤りです。

第27回 問題48

ソーシャルワークの視点から、支援困難事例に関する記述として、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 高齢者の家族が支援内容に対して何度も不満を訴えたため、担当の介護支援専門員が地域包括支援センターへ相談する。
2 独居のクライエントが屋外までごみがあふれている家屋に住んでいるので、直ちに警察へ介入を依頼する。
3 認知症のために判断能力が著しく低下したクライエントに対して、成年後見制度の利用を検討する。
4 セルフ・ネグレクトには、配偶者からの身体的虐待が含まれる。
5 関係する専門職、関係機関、地域住民などがチームを組んでアプローチすることが望ましい。

この問題は、複雑な要因が重なり単独での対応が難しい「支援困難事例」に対するソーシャルワークの実践知識を問う問題です。多職種や地域住民を巻き込んだ包括的なチームアプローチ、成年後見制度や地域包括支援センターといった専門的な機関・制度の活用方法、セルフ・ネグレクトの本質的な理解が試されます。

1 高齢者の家族が支援内容に対して何度も不満を訴えたため、担当の介護支援専門員が地域包括支援センターへ相談する。
これは正解。家族から繰り返し不満を訴えられた際の対応に困った介護支援専門員が、地域包括支援センターへ相談することは適切な対応です。支援困難事例では、介護支援専門員が一人で問題を抱え込まず、地域包括支援センター(包括的・継続的ケアマネジメント支援事業など)や上司、関係機関へ相談しながら組織的に対応することが重要です。

2 独居のクライエントが屋外までごみがあふれている家屋に住んでいるので、直ちに警察へ介入を依頼する。
これは誤り。ごみがあふれている(いわゆるごみ屋敷)状態の段階で、直ちに警察へ介入を依頼するのは不適切です。まずは本人の生活状況や背景、精神面のアセスメントを行い、必要に応じて地域包括支援センターや行政、医療機関等と連携しながら支援方法を検討することが大切です。

3 認知症のために判断能力が著しく低下したクライエントに対して、成年後見制度の利用を検討する。
これは正解。「成年後見制度」は、認知症や精神障害などにより判断能力が不十分な人の財産管理や契約行為を支援し、権利擁護を図る制度です。認知症によって金銭管理や契約行為などの判断能力が著しく低下したクライエントに対して、成年後見制度の活用を検討することは適切な判断です。

4 セルフ・ネグレクトには、配偶者からの身体的虐待が含まれる。
これは誤り。セルフ・ネグレクト(自己放任)とは、高齢者本人が生活意欲を失うなどして、必要な食事や入浴、医療受診などを拒否・放置し、自身の健康や安全を損なう状態を指します。選択肢にある「配偶者(他者)からの身体的虐待」は、高齢者虐待防止法における「養護者による高齢者虐待」に分類されるため、セルフ・ネグレクトとは定義が異なります。

5 関係する専門職、関係機関、地域住民などがチームを組んでアプローチすることが望ましい。
これは正解。支援困難事例では、介護支援専門員・医療職・行政・地域住民などがチームを組んで多角的にアプローチすることが重要です。介護支援専門員単独での解決は困難であるため、それぞれの立場で専門性や役割を活かしたネットワーク(多職種連携・地域連携)による包括的支援が求められます。

第28回 問題47

ソーシャルワークに関する次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 ソーシャルワークは、人権を尊重し、生活課題を有する人々がつながりを実感できる社会への変革と社会的包摂の実現を目指している。
2 チームアプローチでは、それぞれの専門職の役割を曖昧にすることがよい。
3 アセスメントに当たっては、クライエントの家族関係や経済状況、地域の社会資源など多岐にわたる情報収集が必要である。
4 アセスメントシートを使用する際は、すべての項目を順番通りに聞かなければならない。
5 コンサルテーションとは、関連機関や関連領域の専門家との相談等により、援助者が専門的助言や示唆を受けることである。

この問題は、ソーシャルワークの基本理念やアセスメントの実践方法、多職種連携のあり方、そして専門的支援を支えるコンサルテーションなど、各概念の正確な意味と現場における適切な実践方法が理解できているかが問われています。過去に繰り返し出題されている多職種連携のルールや、クライエントに合わせた面接の柔軟性、専門用語の正しい知識などが試されます。

1 ソーシャルワークは、人権を尊重し、生活課題を有する人々がつながりを実感できる社会への変革と社会的包摂の実現を目指している。
これは正解。ソーシャルワークは、人と環境との相互作用における生活課題を包括的に捉え、クライエントの自己決定を尊重しつつ、多様な関係機関や社会資源を活用しながら支援を行う専門的援助活動です。また、人権の尊重を根幹に置き、生活課題を抱える人々が社会とのつながりを実感できるよう、社会変革と社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)の実現を目指す専門的実践です。

2 チームアプローチでは、それぞれの専門職の役割を曖昧にすることがよい。
これは誤り。チームアプローチでは各専門職の役割を明確にすることが重要です。役割を曖昧にすると支援の抜け・漏れや責任の所在が不明確になります。各専門職が専門性を発揮しながら共通目標に向かって連携することが重要な視点です。

3 アセスメントに当たっては、クライエントの家族関係や経済状況、地域の社会資源など多岐にわたる情報収集が必要である。
これは正解。アセスメント(課題分析)では、クライエントの心身の状況といった「本人」の情報だけでは不十分です。背景にある家族関係、経済状況、住宅環境、さらには地域で活用できるフォーマル・インフォーマルな「社会資源」まで、多角的な情報を収集・分析することで、表面化していない潜在的なニーズを把握する必要があります。

4 アセスメントシートを使用する際は、すべての項目を順番通りに聞かなければならない。
これは誤り。アセスメントシートの項目を必ず順番通りに聞く必要はありません。クライエントの状況や会話の流れに応じて柔軟に順番を変更しながら対応することが重要です。形式的な順番にこだわりすぎると、クライエントとの自然な対話や信頼関係の構築が妨げられ、適切なアセスメントが行えなくなるおそれがあります。

5 コンサルテーションとは、関連機関や関連領域の専門家との相談等により、援助者が専門的助言や示唆を受けることである。
これは正解。コンサルテーションとは、援助者(コンサルティ)が抱える課題について、より専門的な知識や経験を持つ者(コンサルタント)から専門的助言や示唆を受ける援助技法です。支援者が問題解決能力を高め、クライエントへの支援の質を向上させることを目的とし、多職種連携や地域支援の場面でも重要な役割を果たします。直接クライエントに働きかける手法ではない点に注意しましょう。

第28回 問題48

ソーシャルワークにおける相談援助者の基本姿勢として、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 クライエントに対していかなる差別もしない。
2 判断能力が低下しているクライエントであっても、自己決定を尊重して支援する。
3 クライエントから得た個人情報は、クライエントの同意を得ないで、近隣住民からの照会に応じて提供してよい。
4 支援計画では、短期・長期などの期間を設けることなく、目標を立てる。
5 クライエントが抱えている不安、ためらい、遠慮などに注意する。

この問題は、ソーシャルワーク(社会福祉援助技術)を実践する上で根底となる、援助者の「基本姿勢」や「倫理」を問う問題です。差別の禁止、自己決定の尊重、個人情報の秘密保持義務といった、対人援助職として絶対に守るべき基本理念の理解と、クライエントとの信頼関係を築くための適切な関わり方が試されます。

1 クライエントに対していかなる差別もしない。
これは正解。相談援助者はクライエントに対して、年齢・性別・障害・国籍・経済状況などを理由としたいかなる差別もしないことが基本倫理です。すべての人の尊厳を平等に尊重することがソーシャルワークの根幹であり、対人援助の基本原則です。

2 判断能力が低下しているクライエントであっても、自己決定を尊重して支援する。
これは正解。判断能力が低下しているクライエントであっても、本人の意思や希望を可能な限り確認しながら、自己決定を尊重した支援を行う姿勢が重要です。また判断能力が低下しているからといって支援者が一方的にサービスなどを決定することは、本人の権利を侵害することになるため十分注意が必要です。

3 クライエントから得た個人情報は、クライエントの同意を得ないで、近隣住民からの照会に応じて提供してよい。
これは誤り。介護支援専門員には、法的な「秘密保持義務」があります。面接などで得た個人情報を、クライエントの同意なく第三者へ提供することは原則として認められません。そのような行動はクライエントとの信頼関係を失墜させ、プライバシーを侵害する不適切な行為です。

4 支援計画では、短期・長期などの期間を設けることなく、目標を立てる。
これは誤り。支援計画では短期・長期などの期間を設けて目標を立てることが重要です。期間を設けることで進捗評価(モニタリング)や計画の見直し(再アセスメント)が可能となり、効果的な支援につながります。

5 クライエントが抱えている不安、ためらい、遠慮などに注意する。
これは正解。クライエントは支援を求める際に、不安・ためらい・遠慮などの複雑な感情を抱えていることが多くあります。相談援助者はこうした感情に敏感に気づき、クライエントが安心して本音を話せる環境と信頼関係を丁寧に築いていく姿勢が求められます。

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