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【健康&疾病】16種類の特定疾病

16種類の特定疾病 保健医療サービスの知識等

ここでは健康日本21と16種類の特定疾病について見ていきましょう。

健康

健康日本21

健康日本 21 は、国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向や、国民の健康の増進の目標に関する
事項などを定めたもので、健康増進法に基づき策定されました。健康日本 21(第二次)では次の5つが
柱になっています。

①健康寿命の延伸と健康格差の縮小
②生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(NCD〈非感染性疾患〉の予防)
③社会生活を営むために必要な機能の維持向上
④健康を支え守るための社会環境整備
⑤栄養、食生活、身体活動、運動、休養、飲酒、喫煙および歯・口腔の健康に関する生活習慣および社会環境改善

健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことだよ。
2024 年度から、健康日本 21(第三次)がスタートしています。次の 4 つが柱となっています。

①健康寿命の延伸と健康格差の縮小
②個人の行動と健康状態の改善
③社会環境の質の向上
④ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり
カリスマくん
カリスマくん

ライフコースアプローチは、胎児期から高齢期に至るまでの人の生涯を経時的に捉えた健康づくりだね。ライフコースの意味を思い出してね。

高齢者の疾患

高齢者に多い疾患を見ていきましょう。認知症については別記事で学習します。

廃用症候群

廃用症候群とは、病気や怪我で長期間安静状態が続くことで身体機能が低下する状態で、褥瘡もその一種です。また、筋肉が衰える筋萎縮や関節の動きが悪くなる関節拘縮などの身体症状もあれば、うつ状態やせん妄のような症状も起こり得ます。

褥瘡

褥瘡は「持続的な圧迫」によって皮膚や皮下組織などへの血流が遮断され、酸素や栄養が行き届かなくなることで組織が壊死する状態です。「床ずれ」とも呼ばれ、寝たきりなどで圧迫されている箇所の血流が悪くなり、皮膚が赤くなったりただれたりします。発生直後から2〜3週間までは急性期で、皮膚の発赤や水疱などが見られる初期の段階です。1〜2か月経過すると慢性期になり、壊死組織の除去や肉芽形成が進みます。

指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設(老健)などの介護保険施設でも褥瘡対策が重要で、入所者の褥瘡リスクを継続的に評価・管理することで褥瘡マネジメント加算が算定できます。

カリスマくん
カリスマくん

施設内では尿失禁や便失禁、多量の発汗による皮膚の「湿潤(ふやけ)」に注意!褥瘡が発生しやすくなるよ!

褥瘡によって皮膚のバリア機能が破壊され、傷口(潰瘍)が露出すると、そこから細菌が侵入しやすくなります。そのため局所の感染にとどまらず、悪化すると細菌が血液中に侵入して全身に広がる「敗血症」という命に関わる重篤な合併症を引き起こすリスクもあります。

褥瘡の発生しやすい部位は、以下のとおりです。

褥瘡の発生しやすい部位

図を見ればわかるように、お尻周辺での褥瘡が多いですね。長時間続きやすい姿勢は、寝ている状態ですから当然です。

カリスマくん
カリスマくん

尾骨はお尻の先の骨、仙骨はその上部にある骨で、仰向けに寝たときに床に当たるのは尾骨ではなく仙骨だよ。だから仙骨がダントツ1位なの。

仰向けに寝る仰臥位は長時間続きますから、褥瘡は仙骨部が圧倒的に多く、全体の半分程を占めています。横向けに寝る側臥位では大転子部や腸骨部がピンポイントで圧迫されるので、褥瘡が発生しやすくなっています。座位では座骨結節部の褥瘡が発生しやすく、さらに肩甲骨部や後頭部でも起こります。

以下の4点が主な褥瘡予防法です。

・頻繁に体位変換する
・体圧分散用具などを用いる
・体重を減らす
・栄養管理

体圧分散用具とは、エアマットや褥瘡予防マットレスなどで、圧力を広い面積に分散させ、特定部位への集中した圧迫を軽減し血流障害を和らげる仕組みのものです。

低栄養は褥瘡の極めて重要な発生要因です。低栄養や低アルブミン状態では、皮膚や組織の耐久性・修復力が低下し、褥瘡が発生しやすく治癒しにくくなります。栄養管理は体位変換や体圧分散用具と並ぶ重要な予防策です。

肺炎

肺炎は高齢者の死因上位に位置しており、予防・早期発見が重要です。

高齢者は免疫機能の低下や、嚥下障害に伴う誤嚥性肺炎を起こしやすいため、一度治っても再発を繰り返しやすいのが特徴です。また、栄養状態の悪化や持病の影響で完全に治りきらず、症状が再燃して難治化・重症化することも珍しくありません。

誤嚥性肺炎は口腔内の細菌が肺に入ることが原因となるため、日常的な口腔ケアによる清潔保持や食後すぐに横にならないこと、免疫力の維持、適切な食事姿勢の確保など、多角的なアプローチが重要です。

眼の疾患

眼の疾患(白内障・緑内障・視力低下など)により視覚情報が不正確になると、バランス感覚が乱れふらつきや転倒が生じることがあります。

白内障は眼の水晶体(レンズ)が白く濁る疾患で、視力低下・かすみ・まぶしさなどの症状が現れます。加齢が最大の原因であり、高齢者に最も多くみられる眼疾患のひとつです。手術(水晶体摘出+人工レンズ挿入)により症状が改善できます。

狭心症

狭心症は冠動脈の狭窄により心筋への血流が一時的に不足する疾患で、典型的な症状は前胸部の圧迫感や締め付けられるような痛み(胸部圧迫感)を伴います。また、症状は数分程度で治まることが多く、ニトログリセリンが有効です。

慢性腎不全

腎機能が低下すると、余分な水分や塩分、カリウムを尿として十分に排泄できなくなり、進行すると人工透析が必要となる状態に至ることがあります。水分過多は浮腫や心不全を、カリウム過多は不整脈や心停止を引き起こす恐れがあるため、厳格な食事管理が不可欠です。

帯状疱疹

帯状疱疹は「水痘・帯状疱疹ウイルス」によって引き起こされるウイルス性感染症です。幼少期に水痘に罹患した後、ウイルスが神経節に潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化して発症します。抗ウイルス薬による早期治療が重要です。

皮脂欠乏症

皮脂欠乏症とは、加齢・乾燥・洗いすぎなどにより皮脂が失われ、皮膚が乾燥してかゆみが生じる疾患です。そのため、ナイロンタオルで強く洗うと必要な皮脂まで落としてしまい、皮膚を傷つけて症状を悪化させる原因となります。低刺激の石鹸で優しく洗い、入浴後は保湿剤を塗布することが適切です。

16種類の特定疾病

第2号被保険者のサービス利用要件となっている16種類の特定疾病を見ていきましょう。

<16種類の特定疾病>

  1. がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)※
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症※
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

(※印は2006年4月に追加、見直しがなされたもの)

関節リウマチ

関節リウマチは、関節が炎症を起こし軟骨や骨が破壊されて関節の機能が損なわれ、関節が変形してしまう疾患です。起床時に関節がこわばり動かしにくくなる「朝のこわばり」が見られ、時間が経つにつれて改善するという日内変動がみられます。

筋萎縮性側索硬化症

筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis)は運動神経が侵される難病で、全身の筋肉が徐々に萎縮・麻痺していく疾患です。筋力低下による運動障害はALSの中核症状であり、最終的には呼吸筋麻痺に至ります。

骨粗鬆症

骨粗鬆症は骨密度の低下により骨がもろくなる病態で、軽微な転倒でも骨折しやすくなります。特に大腿骨頸部骨折・脊椎圧迫骨折・橈骨遠位端骨折・上腕骨骨折が起きやすく、一度骨折するとADL(日常生活動作)が著しく低下し、寝たきりの原因の一つとなります。また、閉経後の女性に多いことも特徴です。

骨粗鬆症は自覚症状がほとんどなく進行するため、転倒による骨折をきっかけに初めて診断されるケースが少なくありません。特に脊椎圧迫骨折や大腿骨頸部骨折が起きて初めて発覚することが多いです。そのため高齢者、特に閉経後の女性は無症状であっても定期的な骨密度検査を受けることが推奨されています。

大腿骨頸部骨折

大腿骨頸部骨折は高齢者の寝たきり・要介護状態の主要な原因のひとつです。骨折後の長期臥床により筋力低下や廃用症候群が進行しやすく、歩行能力が低下し、そのまま寝たきりになることもあります。

高齢者の大腿骨頸部骨折の多くは、家庭内や外出先での「転倒」が原因です。骨粗鬆症で骨がもろくなっていると、軽微な転倒でも骨折に至ります。

パーキンソン病

パーキンソン病には以下の4大症状があります。

パーキンソン病の4大症状内容
振戦(ふるえ)何もしていない時にふるえる「安静時振戦」が見られる。
筋固縮筋肉の緊張が強く、関節が固くなり、手足の動きがぎこちなくなる。
寡動、無動動作の開始に時間がかかり、動作そのものも遅くなる。目のまばたきが減り、顔の表情が硬くなる。
姿勢反射障害(姿勢保持障害)体を後方に押されると足が出ず、バランスを保持できなくなり、転びやすくなる。

病気が進行すると認知機能障害・うつ・幻視などの非運動症状も現れます。

糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症

糖尿病だけでは特定疾病ではありませんが、三大合併症(神経障害、網膜症、腎症)を発症すると特定疾病になります。

糖尿病のほとんどは食べすぎなどの生活習慣が原因の2型糖尿病ですが、昔は糖尿病といえば自己免疫
疾患として膵臓からインスリンが分泌されなくなる1型糖尿病でした。

カリスマくん
カリスマくん

1型と2型がどちらだったかなーと迷ったら、昔からあるのが1型だから、不摂生によって最近出てきたほうが2型だね。

糖尿病の典型的な症状は口渇・多飲・多尿・体重減少ですが、加齢により症状の自覚が乏しいです。

糖尿病の治療における薬物療法では、食事管理を怠ると血糖コントロールが乱れ、網膜症・腎症・神経障害などの合併症が進行します。また、インスリン注射や経口血糖降下薬は、食事による血糖上昇に合わせて調整されており、食事を抜くと低血糖のリスクが高まります。糖尿病治療では、薬物療法を行っていても食事療法や運動療法を継続することが重要です。

1型糖尿病

1 型糖尿病は、膵臓のランゲルハンス島β細胞が破壊されることによりインスリン分泌が著しく障害さ
れる自己免疫疾患です。

2型糖尿病

食べすぎなどの生活習慣や遺伝要因があり、糖尿病の 95% は2型糖尿病です。

糖尿病割合原因
2型糖尿病9割程度食生活や遺伝
1 型糖尿病1割程度膵臓でインスリンを作れない

脳血管疾患

脳血管疾患(脳卒中)には脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などがあり、繰り返すごとに脳の損傷部位が広がり、麻痺や言語障害などの後遺症が積み重なって重篤化します。

脳梗塞では、小脳や脳幹の障害により、めまいやふらつき、歩行障害などがみられることがあります。

慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)は、従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた疾患の総称です

気管支が炎症を起こしたり肺胞が破壊されて肺機能が低下し、悪化すると咳や痰、息切れが強くなり、症状は進行性です。

変形性関節症

変形性関節症は関節軟骨の摩耗・変性によって生じる疾患で、加齢・肥満・過去の外傷などが主な原因です。膝関節・股関節・手指に多く発症し、痛み・腫れ・関節可動域の制限が主な症状です。

カリスマくん
カリスマくん

要支援者の介護が必要となった原因の第1位が「関節疾患」だったね。

変形性関節症が膝関節は起こると変形性膝関節症となります。変形性膝関節症は、安静にしすぎると膝を支える筋肉が衰え、かえって関節への負担が増加し痛みも悪化します。大腿四頭筋(太ももの筋肉)を鍛えるなどの適切な運動を継続的に行うことで、関節が安定し、痛みや腫れを軽減できます。

薬関係

副作用

高齢者は肝機能や腎機能が低下しているため、薬の代謝や排泄が遅れ、血中濃度が高くなりやすい傾向にあります。そのため、若年者よりもむしろ副作用が出やすく、かつ重症化しやすいのが特徴です。特に睡眠薬、抗不安薬、降圧薬などは、ふらつきや立ちくらみを引き起こし、それが原因で転倒・骨折につながるリスクがあります。

薬疹

薬疹とは薬剤に対するアレルギー反応として皮膚に現れる発疹のことで、多くは服用後「数日から1~2週間以内」に出現します。また、高齢者は多剤服用(ポリファーマシー)が多く、薬疹のリスクが高い点も覚えておきましょう。

過去問

第23回 問題28

高齢者にみられる疾病について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 変形性関節症は、高齢者に多く発症する。
2 筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、筋力低下による運動障害は生じない。
3 高次脳機能障害における失語症には、話そうとするが言葉が出てこないという症状も含まれる。
4 パーキンソン病では、認知障害はみられない。
5 骨粗鬆症は、骨折の大きな危険因子である。

この問題は高齢者に多くみられる代表的疾患の正確な理解を問う出題です。高齢者に多い疾病として、変形性関節症・ALS・高次脳機能障害・パーキンソン病・骨粗鬆症などの基礎知識が必要で、各疾患の代表的な症状や特徴を正確に把握しているかが合格の鍵となります。

1 変形性関節症は、高齢者に多く発症する。
これは正解。変形性関節症は関節軟骨の摩耗・変性によって生じる疾患で、加齢・肥満・過去の外傷などが主な原因です。膝関節・股関節・手指に多く発症し、痛み・腫れ・関節可動域の制限が主な症状です。要支援認定者の介護が必要となった原因の第1位が「関節疾患」であり、試験でも頻出の重要疾患です。

2 筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、筋力低下による運動障害は生じない。
これは誤り。ALSは運動神経が侵される難病で、全身の筋肉が徐々に萎縮・麻痺していく疾患です。筋力低下による運動障害はALSの中核症状であり、最終的には呼吸筋麻痺に至ります。一方でALSでは①感覚障害②眼球運動障害③褥瘡④排泄機能障害は起こりにくいとされています。これら「障害されにくいもの」と「障害されるもの(運動機能)」をセットで覚えましょう。

3 高次脳機能障害における失語症には、話そうとするが言葉が出てこないという症状も含まれる。
これは正解。失語症には大きく分けて2種類あり、①ブローカ失語(運動性失語)は、理解はできるが言葉が出てこないタイプ、②ウェルニッケ失語(感覚性失語)は流暢に話せるが内容が伝わらないタイプです。「話そうとするが言葉が出てこない」はブローカ失語の典型症状です。2種類の違いをセットで覚えましょう。

4 パーキンソン病では、認知障害はみられない。
これは誤り。パーキンソン病の主な症状は振戦(ふるえ)・筋固縮・無動・姿勢反射障害の4大症状ですが、病気が進行すると認知機能障害・うつ・幻視などの非運動症状も現れます。「認知障害はみられない」という断定が誤りであり、試験では「身体症状だけでなく精神・認知面も変化する」という視点が問われます。

5 骨粗鬆症は、骨折の大きな危険因子である。
これは正解。骨粗鬆症は骨密度の低下により骨がもろくなる疾患で、軽微な転倒でも骨折しやすくなります。特に大腿骨頸部骨折・脊椎圧迫骨折・橈骨遠位端骨折・上腕骨骨折が起きやすく、一度骨折するとADL(日常生活動作)が著しく低下し、寝たきりの原因の一つとなります。また、閉経後の女性に多いことも特徴です。

第23回 問題32

褥瘡について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 褥瘡とは、体外からの圧力による皮下の血流障害により、細胞が壊死してしまう状態をいう。
2 半座位や座位では、肩甲骨部には発生しない。
3 発生要因には、病気や加齢による身体組織の耐久性低下がある。
4 同一部位への長時間にわたる圧力を減少させるためには、体圧分散用具を用いるとよい。
5 指定介護老人福祉施設において、褥瘡マネジメント加算は算定できない。

褥瘡(じょくそう)に関する基本的な知識を問う問題です。褥瘡の定義・発生部位・発生要因・予防対策・介護報酬上の加算について幅広く出題されており、利用者の褥瘡予防や管理に関わる実践的な知識が求められています。

1 褥瘡とは、体外からの圧力による皮下の血流障害により、細胞が壊死してしまう状態をいう。
これは正解。褥瘡は「持続的な圧迫」によって皮膚や皮下組織などへの血流が遮断され、酸素や栄養が行き届かなくなることで組織が壊死する状態です。ここでは「体外からの圧力」「血流障害」「壊死」という3つのキーワードを確実に覚えておきましょう。

2 半座位や座位では、肩甲骨部には発生しない。
これは誤りです。半座位(ファーラー位)や座位では、背中が背もたれに接触するため、肩甲骨部にも褥瘡は発生します。また褥瘡は骨突出部に生じやすく、半座位では仙骨部や肩甲骨部、踵部に、座位では坐骨部などに生じます。
※補足:半座位(ファーラー位)とは、仰臥位(仰向け)の状態から、上半身を少し起こした姿勢を言います。

3 発生要因には、病気や加齢による身体組織の耐久性低下がある。
これは正解。褥瘡の発生要因は外部からの圧力だけでなく、加齢や低栄養などにより皮膚や身体組織そのものの「耐久性の低下」が大きなリスク要因として作用します。

4 同一部位への長時間にわたる圧力を減少させるためには、体圧分散用具を用いるとよい。
これは正解。体圧分散用具とは、エアマットや褥瘡予防マットレスなどで、圧力を広い面積に分散させ、特定部位への集中した圧迫を軽減し血流障害を和らげる仕組みのものを言います。一般的には、介護者による体位変換との併用が最も効果的とされています。

5 指定介護老人福祉施設において、褥瘡マネジメント加算は算定できない。
これは誤り。褥瘡マネジメント加算は、指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設(老健)などで算定可能な介護報酬の加算項目です。施設において入所者の褥瘡リスクを継続的に評価・管理することで算定できる加算です。

第24回 問題26

高齢者にみられる疾病・病態について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 薬疹は、薬剤服用後1~2か月で出ることが多い。
2 高齢者の肺炎は、再発・再燃を繰り返して難治化することがある。
3 白内障は、水晶体の混濁により視力低下をきたす。
4 脱水があっても、めまいやふらつきは生じない。
5 ナトリウムが欠乏していても、嘔気や頭痛などの自覚症状がないこともある。

高齢者に多くみられる疾患・症状については、身体的特徴や日常的に発症しやすい薬疹、肺炎、白内障、脱水、低ナトリウム血症などの知識を問われる問題が頻出です。高齢者特有の症状の現れ方や非典型的な経過への理解が得点の鍵となります。

1 薬疹は、薬剤服用後1~2か月で出ることが多い。
これは誤り。薬疹とは薬剤に対するアレルギー反応として皮膚に現れる発疹のことで、多くは服用後「数日から1~2週間以内」に出現します。また、高齢者は多剤服用(ポリファーマシー)が多く、薬疹のリスクが高い点も覚えておきましょう。

2 高齢者の肺炎は、再発・再燃を繰り返して難治化することがある。
これは正解。高齢者は免疫機能の低下や、嚥下障害に伴う誤嚥性肺炎を起こしやすいため、一度治っても再発を繰り返しやすいのが特徴です。また、栄養状態の悪化や持病の影響で完全に治りきらず、症状が再燃して難治化・重症化することも珍しくありません。肺炎は高齢者の死因上位に位置しており、予防・早期発見が介護支援専門員の重要な役割です。

3 白内障は、水晶体の混濁により視力低下をきたす。
これは正解。白内障とは眼の水晶体(レンズ)が白く濁る疾患で、視力低下・かすみ・まぶしさなどの症状が現れます。加齢が最大の原因であり、高齢者に最も多くみられる眼疾患のひとつです。手術(水晶体摘出+人工レンズ挿入)により症状が改善できる点も重要な知識です。

4 脱水があっても、めまいやふらつきは生じない。
これは誤り。脱水になると、脳への血流が減少したり血圧が低下したりするため、めまい・ふらつき・立ちくらみ(起立性低血圧)が生じることがあります。また、高齢者は喉の渇きを感じにくく(口渇感の減退)、自覚がないまま脱水が進むため、周囲がこうしたサインに気づくことが重要です。

5 ナトリウムが欠乏していても、嘔気や頭痛などの自覚症状がないこともある。
これは正解。低ナトリウム血症では、軽症の場合は自覚症状がみられないこともあるため病状に気付かず、意識障害など重篤な症状につながることもあります。高齢者は自覚症状が乏しいという特性を理解した上で適切な対策を検討する必要があります。

第24回 問題34

高齢者にみられる疾病・病態について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 誤嚥性肺炎の予防には、嚥下機能のみを維持すればよい。
2 大腿骨頸部骨折は、寝たきりの原因となりやすい。
3 薬の副作用によるふらつきにより、転倒を起こすことがある。
4 排泄物による皮膚の湿潤が加わることで、褥瘡が生じやすくなる。
5 褥瘡ができた直後から約1~2か月の時期を急性期と呼ぶ。

高齢者に多い疾病・病態(誤嚥性肺炎・骨折・転倒・褥瘡)についての知識を問う問題です。それぞれの予防策・原因・経過に関する正確な理解が求められており、現場での介護支援に直結する実践的な内容となっています。

1 誤嚥性肺炎の予防には、嚥下機能のみを維持すればよい。
これは誤り。誤嚥性肺炎の予防には、嚥下機能の維持だけでは不十分です。口腔内の細菌が肺に入ることが原因となるため、日常的な口腔ケアによる清潔保持や食後すぐに横にならないこと、免疫力の維持、適切な食事姿勢の確保など、多角的なアプローチが重要です。

2 大腿骨頸部骨折は、寝たきりの原因となりやすい。
これは正解。大腿骨頸部骨折は高齢者の寝たきり・要介護状態の主要な原因のひとつです。骨折後の長期臥床により筋力低下・廃用症候群が進行しやすく、歩行能力が低下し、そのまま要介護状態につながることもあります。骨折後の寝たきりを予防するには、早期リハビリテーションが重要です。

3 薬の副作用によるふらつきにより、転倒を起こすことがある。
これは正解。高齢者は薬物の代謝・排泄機能が低下しているため、薬の副作用が出やすい特徴があります。特に睡眠薬、抗不安薬、降圧薬などは、ふらつきや立ちくらみを引き起こし、それが原因で転倒・骨折につながるリスクが極めて高いです。

4 排泄物による皮膚の湿潤が加わることで、褥瘡が生じやすくなる。
これは正解。尿失禁や便失禁、多量の発汗による皮膚の「湿潤(ふやけ)」が加わると、皮膚のバリア機能が著しく低下します。そこへ摩擦やズレ、圧力が加わることで、通常よりも容易に皮膚組織が破壊され、褥瘡が急激に発生し悪化しやすくなります。

5 褥瘡ができた直後から約1~2か月の時期を急性期と呼ぶ。
これは誤り。褥瘡の「急性期」とは、発生直後からおおむね2〜3週間までの時期を指し、皮膚の発赤や水疱などが見られる初期の段階を言います。一方、選択肢の「1〜2か月」は慢性期に相当し、すでに壊死組織の除去や肉芽形成が進む時期です。

第24回 問題39

次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1 眼の疾患により、ふらつきを生じることはない。
2 高齢者では、若年者と異なり、薬の副作用は出ない。
3 骨粗鬆症は、骨折後に診断されることもある。
4 脳卒中は、再発すると後遺症が重くなることがある。
5 糖尿病の薬物療法を受けている患者が食事をとらない場合には、低血糖になる可能性もある。

この問題は、高齢者の視覚障害が全身に与える影響、加齢による薬物代謝の変化、骨粗鬆症の診断背景、脳卒中の再発リスク、そして糖尿病治療における低血糖リスクといった、実務で直面する医学的知識を問うものです。「高齢者の特性」を正しく理解し、生活上のリスクを回避できる力が試されています。

1 眼の疾患により、ふらつきを生じることはない。
これは誤り。眼の疾患(白内障・緑内障・視力低下など)により視覚情報が不正確になると、バランス感覚が乱れふらつきや転倒が生じることがあります。視覚の低下は高齢者の転倒の大きな要因となるため、介護支援専門員として視覚支援の視点は不可欠です。

2 高齢者では、若年者と異なり、薬の副作用は出ない。
これは誤り。高齢者は肝機能や腎機能が低下しているため、薬の代謝や排泄が遅れ、血中濃度が高くなりやすい傾向にあります。そのため、若年者よりもむしろ副作用が出やすく、かつ重症化しやすいのが特徴です。また、複数の医療機関から多種類の薬が処方される「ポリファーマシー」にも注意が必要です。

3 骨粗鬆症は、骨折後に診断されることもある。
これは正解。骨粗鬆症は自覚症状がほとんどなく進行するため、転倒による骨折をきっかけに初めて診断されるケースが少なくありません。特に脊椎圧迫骨折・大腿骨頸部骨折が起きて初めて発覚することが多いです。検診による早期発見だけでなく、骨折を機に適切な治療を開始することが再発防止に重要です。

4 脳卒中は、再発すると後遺症が重くなることがある。
これは正解。脳卒中(脳梗塞や脳出血)は再発しやすい疾患で、繰り返すごとに脳の損傷部位が広がり、麻痺や言語障害などの後遺症が積み重なって重篤化します。そのため、再発予防のための血圧管理や生活習慣の改善、服薬継続がケアプラン作成において極めて重要です。

5 糖尿病の薬物療法を受けている患者が食事をとらない場合には、低血糖になる可能性もある。
これは正解。インスリン注射や経口血糖降下薬は、食事による血糖上昇に合わせて調整されています。食事が十分に摂れない状態で薬だけを使用すると、血糖値が下がりすぎて低血糖を引き起こします。高齢者は低血糖の自覚症状が出にくいため、食事摂取状況の確認は低血糖予防にもつながる重要な視点です。

第22回 問題4

介護保険における特定疾病として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 筋萎縮性側索硬化症
2 黄色靱帯骨化症
3 心筋梗塞
4 脊柱管狭窄症
5 閉塞性動脈硬化症

選択肢1、4、5が正しいです。

第25回 問題17

介護保険における特定疾病として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 関節リウマチ
2 慢性肝疾患
3 潰瘍性大腸炎
4 脳血管疾患
5 骨折を伴う骨粗鬆症

40~64歳の第2号被保険者が介護保険サービスを利用する条件となる「特定疾病(16種類)」については、加齢に伴う心身の変化が関係するとされ、国(厚生労働省)が定めています。試験対策として、各疾病がこの16疾病のリストに含まれているかを判断できることが重要で、基本事項として確実に押さえておく必要があります。

1 関節リウマチ
これは正解。関節リウマチは、自己免疫異常により関節に慢性的な炎症が起こり、進行すると骨や軟骨が破壊されて日常生活動作(ADL)が低下します。そのため介護の必要性が高い疾患とされ、40~64歳の第2号被保険者が介護保険サービスを利用する際の対象疾病に含まれています。

2 慢性肝疾患
これは誤り。慢性肝疾患は、16疾病には含まれていません。特定疾病は、がん(末期)や脳血管疾患など、加齢との関連が強く介護が必要になりやすい疾患に限定されています。そのため、肝硬変など重い肝疾患でも40~64歳では原則として介護保険の対象とはならず、試験でもよく出るので注意が必要です。

3 潰瘍性大腸炎
これは誤り。潰瘍性大腸炎は指定難病ではありますが、介護保険の特定疾病には含まれていません。特定疾病は「加齢に伴う心身の変化」に関連する16疾病に限定されています。試験では「難病」=「特定疾病」と誤解させるひっかけがよく出るため、指定難病であっても16疾病には該当しないものを整理して覚えておきましょう。

4 脳血管疾患
これは正解。脳血管疾患(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など)は、介護保険の特定疾病に含まれます。加齢による血管の変化が背景となり、発症後に麻痺や高次脳機能障害が残り、介護が必要になることが多いためです。試験でも頻出であるため、脳血管に関する疾患は特定疾病と整理して覚えておきましょう。

5 骨折を伴う骨粗鬆症
これは正解。骨折を伴う骨粗鬆症は、介護保険の特定疾病に該当します。ただし「骨粗鬆症」だけでは該当せず、実際に骨折を伴っていることが条件となります。加齢により骨がもろくなり、骨折をきっかけに要介護状態になる可能性が高いため指定されているもので、試験では「骨折を伴う」という条件の有無を必ず確認することが重要です。

第25回 問題26

次の疾病の特徴として、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 狭心症では、前胸部の圧迫感が生じることはない。
2 心不全による呼吸困難時には、起座位にすると症状が改善することがある。
3 慢性腎不全では、水分やカリウムの摂取量に注意する必要がある。
4 高齢者の糖尿病では、口渇、多飲多尿の症状が出現しにくい。
5 帯状疱疹は、細菌性感染症である。

高齢者に多い代表的な疾患としては、狭心症・心不全・慢性腎不全・糖尿病・帯状疱疹などが頻出で、高齢者特有の症状の現れ方や各疾患の基本的な管理知識を問われることが多いです。特に「起座呼吸」や「食事管理の原則」、「非定型的な症状」といった高齢者特有の状態把握は、介護支援専門員の日常のモニタリングで注意すべき医学的な知識です。

1 狭心症では、前胸部の圧迫感が生じることはない。
これは誤り。狭心症は冠動脈の狭窄により心筋への血流が一時的に不足する疾患で、典型的な症状は前胸部の圧迫感や締め付けられるような痛み(胸部圧迫感)を伴います。また、症状は数分程度で治まることが多く、ニトログリセリンが有効である点も覚えておきましょう。

2 心不全による呼吸困難時には、起座位にすると症状が改善することがある。
これは正解。起座呼吸とは横になると苦しく、座った姿勢の方が呼吸しやすい状態のことです。心不全では仰臥位になると肺への血液が増加し呼吸困難が悪化しますが、座位(起座位)にすることで血液が下半身に移動し肺の負担が軽減されます。

3 慢性腎不全では、水分やカリウムの摂取量に注意する必要がある。
これは正解。腎機能が低下すると、余分な水分や塩分、カリウムを尿として十分に排泄できなくなり、進行すると人工透析が必要となる状態に至ることがあります。水分過多は浮腫や心不全を、カリウム過多は不整脈や心停止を引き起こす恐れがあるため、厳格な食事管理が不可欠です。

4 高齢者の糖尿病では、口渇、多飲多尿の症状が出現しにくい。
これは正解。糖尿病の典型的な症状は口渇・多飲・多尿・体重減少ですが、加齢により症状の自覚が乏しくなるため、これらの症状が現れにくいことが特徴です。そのため、気づかないうちに重症化し、昏睡に至るリスクもあるため、周囲の観察が非常に重要となります。

5 帯状疱疹は、細菌性感染症である。
これは誤り。帯状疱疹は細菌ではなく、「水痘・帯状疱疹ウイルス」によって引き起こされるウイルス性感染症です。幼少期に水痘(みずぼうそう)に罹患した後、ウイルスが神経節に潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化して発症します。抗ウイルス薬による早期治療が重要であり、原因を正しく理解する必要があります。

第25回 問題39

次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1 健康日本21(第二次)では、健康寿命を延ばすことを目指している。
2 就労、ボランティアなどの社会参加は、フレイル予防に役立たない。
3 パーキンソン病の場合、転倒しやすいため、運動療法は禁忌である。
4 膝関節症による痛みや腫脹を抑えるには、定期的な運動が効果的である。
5 高齢者においては、無症状であっても骨粗鬆症の検査を受けることが推奨される。

近年の国の健康政策として「健康日本21」に関する知識や、高齢者の虚弱(フレイル)対策、そして代表的な老年症候群(パーキンソン病、膝関節症、骨粗鬆症)の予防と対応に関する内容が頻出です。単なる病気の知識だけでなく、社会参加や予防的検査といった「健康維持・増進」の視点が合格へのポイントとなります。

1 健康日本21(第二次)では、健康寿命を延ばすことを目指している。
これは正解。「健康日本21(第二次)」の目標は「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」です。また、2024年度からは「康日本21(第三次)」が開始されており、引き続き重要な柱となっています。現在でも平均寿命だけでなく、介護を必要とせず自立して生活できる期間を延ばすことが国を挙げた大きな目標となっています。

2 就労、ボランティアなどの社会参加は、フレイル予防に役立たない。
これは誤り。フレイル(虚弱)の入り口は「社会的な繋がりの減少」と言われています。就労やボランティアなどの社会参加は、他者との交流や外出の機会を増やし、精神的・身体的活力を維持するために極めて有効なフレイル予防策となります。

3 パーキンソン病の場合、転倒しやすいため、運動療法は禁忌である。
これは誤り。パーキンソン病では歩行障害や姿勢反射障害により転倒のリスクは高まりますが、身体機能の維持や進行を遅らせるため、運動療法は積極的に推奨されます。安全を確保した上でのリハビリテーションは、QOL(生活の質)の維持に不可欠です。

4 膝関節症による痛みや腫脹を抑えるには、定期的な運動が効果的である。
これは正解。膝関節症(変形性膝関節症など)では、安静にしすぎると周囲の筋肉が衰えて逆に症状が悪化します。適切な大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)の筋力強化や水中歩行などの定期的な運動は、関節への負担を軽減し痛みや腫脹の改善に効果的です。「痛いから動かさない」ではなく、適切な運動を促す視点が重要です。

5 高齢者においては、無症状であっても骨粗鬆症の検査を受けることが推奨される。
これは正解。骨粗鬆症は自覚症状がほとんどないまま進行する疾患で、骨折して初めて発覚するケースも多くあります。そのため高齢者・特に閉経後の女性は無症状であっても定期的な骨密度検査を受けることが推奨されています。早期発見・早期治療が骨折予防の観点からも重要です。

第26回 問題29

褥瘡について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 しびれや麻痺は、原因となる。
2 細菌感染の原因となる。
3 寝たきりになると腹部にできやすい。
4 予防方法の一つに、栄養管理がある。
5 寝返りができない人に、体位変換は不要である。

褥瘡の原因・発生部位・合併症・予防策について幅広く問う問題です。褥瘡が単なる「皮膚の傷」ではなく、感染症などの重篤な合併症につながることや、予防には専門職の多角的なアプローチが必要であることなどの理解が求められています。

1 しびれや麻痺は、原因となる。
これは正解。しびれや麻痺があると痛みや不快を感じにくくなり、同じ姿勢で長時間圧迫されても、自発的に体を動かして圧力を分散させるための体位変換ができません。そのため、局所の血流障害が持続して褥瘡が発生しやすくなります。脳卒中の後遺症などによる麻痺は褥瘡の主要なリスク因子のひとつです。

2 細菌感染の原因となる。
これは正解。褥瘡によって皮膚のバリア機能が破壊され、傷口(潰瘍)が露出すると、そこから細菌が侵入しやすくなります。そのため局所の感染にとどまらず、悪化すると細菌が血液中に侵入して全身に広がる「敗血症」という命に関わる重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。

3 寝たきりになると腹部にできやすい。
これは誤り。一般的に寝たきりの状態になっても、腹部に褥瘡ができやすいということはありません。褥瘡は体重の圧迫を受けやすく、なおかつ骨が突出している部位(仰向けなら仙骨部や踵、横向きなら大転子部など)に好発します。腹部は脂肪や筋肉に覆われており褥瘡の好発部位ではありません。

4 予防方法の一つに、栄養管理がある。
これは正解。褥瘡の予防において、栄養管理は重要な対策です。低栄養や低アルブミン状態になると、皮膚や皮下組織の耐久性が低下し、わずかな圧力でも褥瘡ができやすくなります。また、できてしまった褥瘡の治癒を促すためにも適切な栄養摂取が不可欠です。

5 寝返りができない人に、体位変換は不要である。
これは誤り。「寝返りができない人」にこそ、定期的な体位変換が必要です。自力で寝返りが打てない人は、放置すると同じ部位に長時間圧力がかかり続け、褥瘡が発生しやすくなります。そのため介護者が定期的(一般的に2時間程度)に体の向きを変えて圧力を分散させること(体位変換)が、予防ケアの基本となります。

第27回 問題38

次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 皮脂欠乏症では、患部を清潔に保つことが悪化予防になることから、ナイロンタオルなどを使ってよく洗う。
2 めまいやふらつきの原因となる疾患の一つに脳梗塞がある。
3 糖尿病の治療で薬を飲んでいる場合は、食事に気を付ける必要はない。
4 関節リウマチの患者には、身体に負担をかけないためにベッドの使用が望ましい。
5 高齢者の大腿骨頸部骨折は、寝たきりの原因となりやすい。

1 皮脂欠乏症では、患部を清潔に保つことが悪化予防になることから、ナイロンタオルなどを使ってよく洗う。
これは誤り。皮脂欠乏症とは、加齢・乾燥・洗いすぎなどにより皮脂が失われ、皮膚が乾燥してかゆみが生じる疾患です。そのため、ナイロンタオルで強く洗うと必要な皮脂まで落としてしまい、皮膚を傷つけて症状を悪化させる原因となります。低刺激の石鹸で優しく洗い、入浴後は保湿剤を塗布することが適切です。

2 めまいやふらつきの原因となる疾患の一つに脳梗塞がある。
これは正解。めまいやふらつきの原因には、内耳疾患(メニエール病など)、脳血管疾患、起立性低血圧、薬剤の副作用などがあります。特に脳梗塞では、小脳や脳幹の障害により、めまいやふらつき、歩行障害などがみられることがあり、突然発症する強いめまいは速やかに医療機関へつなぐことが重要です。

3 糖尿病の治療で薬を飲んでいる場合は、食事に気を付ける必要はない。
これは誤り。糖尿病の治療における薬物療法では、食事管理を怠ると血糖コントロールが乱れ、網膜症・腎症・神経障害などの合併症が進行します。また、食事を抜くと血糖値が下がり低血糖のリスクが高まります。糖尿病治療では、薬物療法を行っていても食事療法や運動療法を継続することが重要です。

4 関節リウマチの患者には、身体に負担をかけないためにベッドの使用が望ましい。
これは正解。関節リウマチでは関節痛や可動域制限がみられるため、床からの起き上がりよりもベッドを使用した方が関節への負担軽減につながります。「身体に負担をかけないため」の住環境整備の視点として適切な判断と言えます。

5 高齢者の大腿骨頸部骨折は、寝たきりの原因となりやすい。
これは正解。大腿骨頸部骨折は、手術や長期の安静が必要となるため、筋力が著しく低下(廃用症候群)します。また、認知症の進行や意欲の低下も重なりやすく、そのまま寝たきりになるケースが非常に多いため、転倒予防と骨折後の早期リハビリが最優先課題となります。

第28回 問題28

褥瘡について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 感染を伴って敗血症の原因となることがある。
2 半座位や座位では、生じない。
3 低栄養は、発生要因の一つである。
4 排泄物による皮膚の湿潤が加わることで、より生じやすくなる。
5 入浴をさせてはならない。

1 感染を伴って敗血症の原因となることがある。
これは正解。褥瘡は重篤な全身感染症を引き起こすリスクがあります。壊死した組織に細菌感染を伴うと、血液の流れに乗って感染が全身に広がり、命に関わる敗血症を招くことがあります。

2 半座位や座位では、生じない。
これは誤り。半座位(ファウラー位)や座位でも褥瘡は生じます。背上げした半座位では肩甲骨部や仙骨部に、座位では坐骨部に強い圧力が集中するため、これらの姿勢でも骨突出部への圧力集中により褥瘡が発生します。

3 低栄養は、発生要因の一つである。
これは正解。低栄養は褥瘡の極めて重要な発生要因です。低栄養や低アルブミン状態では、皮膚や組織の耐久性・修復力が低下し、褥瘡が発生しやすく治癒しにくくなります。栄養管理は体位変換や体圧分散用具と並ぶ重要な予防策です。

4 排泄物による皮膚の湿潤が加わることで、より生じやすくなる。
これは正解。尿や便などの排泄物が皮膚に長時間付着して湿潤状態になると、皮膚のバリア機能が著しく低下します。そこにベッド上での摩擦やズレが加わることで、褥瘡の発生リスクが非常に高くなります。

5 入浴をさせてはならない。
これは誤り。褥瘡があるからといって、一律に「入浴をさせてはならない」ということはありません。むしろ、患部や皮膚を清潔に保ち、排泄物の汚れなどを洗い流すために、入浴やシャワー浴は、褥瘡部や皮膚の清潔保持に有効です。ただし実施にあたっては、医師や看護師と連携しながら創部の状態・感染の有無・全身状態に応じて判断することが重要です。

第28回 問題38

次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 関節リウマチでは、症状の日内変動がないことが特徴の一つである。
2 パーキンソン病では、転倒しやすいため、運動療法は禁忌である。
3 大腿骨頸部骨折の最も多い受傷原因は、転倒である。
4 膝関節症による痛みや腫脹を抑えるために、定期的な運動が効果的である。
5 複数の疾患を治療している高齢者では、多剤服用による影響に注意する。

1 関節リウマチでは、症状の日内変動がないことが特徴の一つである。
これは誤り。関節リウマチの重要な特徴のひとつに、起床時に関節がこわばり動かしにくくなる「朝のこわばり」が見られ、時間が経つにつれて改善するという日内変動がみられます。

2 パーキンソン病では、転倒しやすいため、運動療法は禁忌である。
これは誤り。パーキンソン病では転倒リスクが高いことは事実ですが、運動療法は禁忌ではなく積極的に推奨されています。運動療法を行わないことで廃用症候群が進み、かえって寝たきりを早めるリスクがあるためです。「禁忌(やってはいけない)」ではなく、機能維持や転倒予防の観点から非常に重要です。

3 大腿骨頸部骨折の最も多い受傷原因は、転倒である。
これは正解。高齢者の大腿骨頸部骨折の多くは、家庭内や外出先での「転倒」が原因です。骨粗鬆症で骨がもろくなっていると、軽微な転倒でも骨折に至ります。これが寝たきりの大きな要因となるため、介護支援専門員の視点として、居宅の段差解消などの転倒予防策を提案する役割が強く求められます。

4 膝関節症による痛みや腫脹を抑えるために、定期的な運動が効果的である。
これは正解。変形性膝関節症などは、安静にしすぎると膝を支える筋肉が衰え、かえって関節への負担が増加し痛みも悪化します。大腿四頭筋(太ももの筋肉)を鍛えるなどの適切な運動を継続的に行うことで、関節が安定し、痛みや腫れを軽減できます。自立支援の観点から、適度な運動により関節機能の維持・改善を図ることが重要です。

5 複数の疾患を治療している高齢者では、多剤服用による影響に注意する。
これは正解。高齢者は多くの持病を抱え、多種類の薬を飲む「ポリファーマシー」の状態になりがちです。また、加齢により肝機能や腎機能が低下しているため、薬の飲み合わせや重複による副作用により、ふらつきや転倒のリスクが高まります。服薬状況の把握と副作用のモニタリングは、介護支援専門員の最重要業務の一つです。

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