認知症に関しては、三大認知症、認知症の症状(中核症状とBPSD)、認知症施策、認知症支援など様々な角度から出題されます。見ていきましょう。
三大認知症
・アルツハイマー型認知症
・(脳)血管性認知症
・レビー小体型認知症
1位:アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、脳の中にアミロイドβなどの不要なタンパク質が溜まることが原因で、全体の6割以上を占める最も多い認知症です。
2位:血管性認知症
血管性認知症は、脳梗塞やくも膜下出血などが原因で、全体の2割程度を占めます。
特徴的な症状は、「まだら認知症」です。脳の血管の状態が改善すると症状がなくなるので、症状が出たり出なかったり「まだら」であるということで、そのように呼ばれます。
さらに特徴的な症状としては、原因感情がコントロールできず、抑うつや怒り、投げやりな態度になりやすいということが挙げられます。
3位:レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、脳の神経細胞の中に「レビー小体」と呼ばれる異常なタンパク質が溜まると発症します。
特徴的な症状は、幻視やパーキンソン症状が現れ、その後認知機能障害が起こります。
パーキンソン症状による姿勢の傾きや嚥下機能の低下から、誤嚥性肺炎になりやすいことも特徴です。
4位:前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は、前頭葉や側頭葉前方の萎縮が原因で起こる認知症で、行動異常型(ピック病)と失語型(意味性認知症と進行性非流暢性失語症)があり、その8割程がピック病(前頭側頭葉変性症)です。

意味性認知症は、言葉の意味や物の名前がわからなくなる認知症だよ。
ピック病は、脳の神経細胞に「ピック球」というタンパク質が変性した塊が現れ、特有の人格変化、行動異常、言語機能障害を示す初老期の神経変性疾患で怒りっぽくなったりします。
40~60代に多い若年性認知症の一種であることは、他の認知症にはない特徴です。
| 認知症の種類 | 割合 | 原因 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| アルツハイマー型認知症 | 6割以上 | 脳細胞の萎縮 | |
| 血管性認知症 | 2割以上 | 脳梗塞、くも膜下出血など | まだら認知症 |
| レビー小体型認知症 | 1割以上 | 大脳質の神経細胞レビー小体が蓄積 | 幻視、パーキンソン症状 |
| 前頭側頭型認知症 | 1割程度 | 前頭葉や側頭葉前方の萎縮 | ピック病など |
番外編
軽度認知障害MCI(Mild Cognitive Impairment)は、認知症と完全に診断される一歩手前の状態です。放っておくと認知症に進行しますが、適切な予防をすることで健常な状態に戻る可能性があります。
認知症の症状
中核症状
・記憶障害
・見当識障害
・理解・判断力の低下
・実行機能障害
・言語障害(失語)
・失行、失認などの認知機能障害
行動・心理症状(BPSD)
認知症の中核症状から二次的に表れる症状として、「行動・心理症状:BPSD(Behavioral and psychological symptoms of dementia)」があります。
BPSDは、もともと周辺症状と呼ばれていましたが、こちらの症状の方が実際の介護ではたいへんという現実から、「行動・心理症状」と呼ばれるようになりました。
BPSDには以下のように精神症状と行動症状があります。
行動症状:徘徊、多動、暴言、暴力
アパシーは無気力で感情の起伏がみられず、認知症のBPSDではその自覚がありません。うつの場合はその自覚があるので、アパシーとうつは区別してください。アパシーは悲哀的ですが、うつは悲哀的でないという点も異なります。このようにうつ病は認知症と似ている症状があり仮性認知症と呼ばれます。仮性認知症は高齢者のうつ症状により集中力や判断力、記憶力が低下して一見認知症のように見える状態のことです。うつ病による仮性認知症と実際の認知症の違いは、実際の認知症では判断障害が見られるという点です。
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せん妄は認知症のBPSDには含まれないので、認知症とせん妄は区別してね。せん妄は幻覚が見えたり意識の混濁がみられるんだけど、認知症と違って何らかの身体疾患や薬剤の影響で急性に発症する一過性の意識障害なんだ。だからせん妄は原因を取り除けば改善する可能性があるよ。
認知症施策
認知症施策の歴史を見ていきましょう。
2012年 認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)
オレンジプランは以下の7本の柱で構成されています。
- 標準的な認知症ケアパスの作成・普及
- 早期診断・早期対応
- 地域での生活を支える医療サービスの構築
- 地域での生活を支える介護サービスの構築
- 地域での日常生活・家族の支援の強化
- 若年性認知症施策の強化
- 医療・介護サービスを担う人材の育成
認知症ケアパスは、市町村ごとに認知症発症予防から人生の最終段階まで、認知症の容態に応じ、相談先や、いつ、どこで、どのような医療・介護サービスを受ければいいのか、これらの流れをあらかじめ標準的に示したものです。
2015年 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)
新オレンジプランは以下の7本の柱で構成されています。
・「認知症の容態に応じた適宜・適切な医療・介護等の提供」
・若年性認知症施策の強化
・認知症の人の介護者への支援
・認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
・認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーション、介護モデルなどの研究開発及びその成果の普及の推進
・認知症の人やその家族の視点の重視
2019年 認知症施策推進大綱
認知症施策推進大綱とは、2019年に政府がまとめた、認知症に関する総合的な国家方針です。たとえ認知症になっても、できる限り住み慣れた地域で、自分らしく暮らし続けられる社会を目指して作られた大綱です。以前は、認知症は「支援される側」という視点が中心でしたが、大綱では、「認知症の人本人の視点を重視する」ことが大きな特徴で、「共生」と「予防」を制度改革の両輪としています。
以下の5つの柱に沿って施策を推進するとされています。
2.予防
3.医療・ケア・介護サービス・介護者への支援
4.認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援
5.研究開発・産業促進・国際展開
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下ででてくる認知症サポーターは、この普及啓発・本人発信支援の中ででてくるよ。
2023年 認知症基本法
認知症基本法は、正式名称「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」で、2023年6月に成立し、2024年1月1日に施行されました。基本理念には、「すべての認知症の人が、自らの意思によって日常生活及び社会生活を営むことができるようにすること」(法第3条第1項)、「良質かつ適切な保健医療サービス及び福祉サービスが切れ目なく提供されること」(法第3条第4項)が明記されています。
ポイントは以下のとおりです。
・地方公共団体(都道府県・市町村)は、地域の状況に応じた認知症施策を総合的かつ計画的に推進する責務を有する
・認知症の日は9月21日とし、認知症月間は9月1日~9月30日までとする
・政府は、認知症施策推進基本計画を定めなければならない
・都道府県は、都道府県認知症施策推進計画を策定するよう努めなければならない
・市町村は、市町村認知症施策推進計画を策定するよう努めなければならない
・認知症施策を総合的かつ計画的に推進するため、内閣に、認知症施策推進本部を置く
都道府県も市町村も認知症施策推進計画は努力義務になっていますが、都道府県が計画を作成する際は、「認知症の人及び家族等」の意見をあらかじめ聴くよう努めなければならないとされています。市町村が計画を作成する際は、市町村介護保険事業計画や市町村老人福祉計画などと「調和が保たれたものでなければならない」とされています。
認知症を支援する人たち
認知症サポーター
厚生労働省のHPによると、認知症サポーターについて以下のように書かれています。
認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする「認知症サポーター」を全国で養成し、認知症高齢者等にやさしい地域づくりに取り組んでいます。
とくに認知症サポーターにはなにかをとくべつにやってもらうものではありません。
認知症を正しく理解してもらい、認知症の人や家族を温かく見守る応援者になってもらいます。
そのうえで、自分のできる範囲で活動できればいいのです。
たとえば、友人や家族にその知識を伝える、認知症になった人や家族の気持ちを理解するよう努める、隣人あるいは商店・交通機関等、まちで働く人として、できる範囲で手助けをする、など活動内容は人それぞれです。
また、サポーターのなかから地域のリーダーとして、まちづくりの担い手が育つことも期待されます。
なお、認知症サポーターには認知症を支援する「目印」として、ブレスレット(オレンジリング)をつけてもらいます。
この「オレンジリング」が連繋の「印」になるようなまちを目指します。
ということで、認知症サポーターは認知症に対する正しい知識と理解を持ったボランティアだということです。
認知症サポーター養成講座を受講すれば誰でもなることができて、オレンジリングがもらえると書いてありましたね。

オレンジは認知症を表す色だよ。オレンジプランは認知症施策の計画だったね。
特定非営利活動法人地域ケア政策ネットワークのHPを見ると、認知症サポーターは全国に1000万人以上、なんと国民の10人に1人が認知症サポーターということです。
つまり、国は認知症に対する正しい知識に認識を持った人を増やしたいので、このような制度を作ったわけです。
だから認知症サポーターは特別な資格ではなく、養成講座を受講すれば誰でもなれて、どんどん増え続けて現在は1000万人を超えています。
認知症サポーター養成講師はキャラバンメイトといいますので合わせて覚えておきましょう。
キャラバンメイトは全国に10万人以上います。
介護サービス相談員
介護保険制度の地域支援事業には、介護サービス相談員等派遣事業という任意事業があります。この事業では、介護サービス相談員が介護保険サービスを提供する施設・事業所や食事提供サービス等を提供する住宅型有料老人ホームや安否確認・生活相談サービスを提供するサービス付き高齢者向け住宅を訪ね、利用者の話を聞き、相談に応じます。
介護サービス相談員は、都道府県や公益団体などが実施する専門研修を受講することで市町村に登録されます。
認知症地域支援推進員
認知症地域支援推進員は、地域包括支援センターや市町村本庁などに配置され、認知症の医療や介護の専門的知識および経験を有する医師、保健師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士などが担います。
医療や介護等の支援ネットワーク構築、認知症対応力向上のための支援、相談支援、認知症の人や家族への相談支援を行います。

認知症サポーターのようなボランティアと違って、認知症地域支援推進員は給料の支払われる仕事だよ。
若年性認知症支援コーディネーター
若年性認知症コーディネーターは、都道府県ごとに設置された若年性認知症に関する相談窓口に配置され、若年性認知症の人の自立支援に関わる関係者のネットワークの調整役として働きます。
認知症関連の事業
認知症地域支援・ケア向上事業
市町村ごとに実施されます。
認知症地域支援推進員を配置し、認知症対応力向上のための支援や相談、ネットワーク構築することが目的です。
認知症地域支援推進員の企画により認知症カフェを開催し、認知症の人や家族、専門職や地域住民との交流や情報交換を行う事業です。
認知症初期集中支援推進事業
この事業では早期の認知症鑑別診断を行い速やかに適切な医療や介護が受けられる体制を構築できるよう認知症初期集中支援チームを設置します。
認知症初期集中支援チームは認知症サポート医と医療系+介護系の計3名で構成されます。集中支援ですので、概ね6か月以内という期間が定められています。

認知症疾患医療センター運営事業
認知症疾患医療センターの実施主体は都道府県と指定都市で、都道府県知事や指定都市市長が指定します。
認知症の鑑別診断や地域での認知症医療を提供する拠点となる活動を行う事業です。
専門的な医療の提供だけでなく、地域の関係者への研修や情報発信も重要な役割の一つとされています。地域の介護関係者やケアマネジャー、医療従事者などを対象にした専門的な研修を実施し、地域全体の認知症対応力を高めるための「地域連携の拠点」としての役割も担っています。
日常生活自立支援事業
認知機能の低下した人の福祉サービス利用援助や消費契約、行政手続き等の支援を行う事業です。
日常生活自立支援事業を担う専門員は、原則として高齢者や障害者等に対する援助経験を有する社会福祉士や精神保健福祉士等で、一定の研修を受けた者がなれます。

日常生活自立支援事業と成年後見制度は、認知症や知的障害のある人のための権利擁護のための両輪だったね。
認知症カフェ
認知症カフェは、2012 年の認知症施策推進 5 か年計画(オレンジプラン)にて初めて明記され、続く認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)では、全市町村設置を目指すことが示されました。新オレンジプランでは、「認知症の人の介護者の負担を軽減するため、認知症初期集中支援チーム等による早期診断・早期対応を行うほか、認知症の人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有し、お互いを理解し合う認知症カフェ等の設置を推進する。」とされ、家族支援と初期の認知症の人の支援の場となることも想定されています。
運営には、認知症地域支援推進員や、地域密着型サービス事業所など様々な人や場所が想定されています。
認知症の支援ツール
DCM(Dementia Care Mapping)
DCM(認知症ケアマッピング)は、パーソンセンタードケアの理念に基づいてケアの質を改善するために開発されたアセスメントツールです。

パーソンセンタードケアの考え方は、1980年代末にイギリスの心理学者トム・キットウッドが提唱したんだ。認知症の人を尊重し、その人の立場や視点に立って関わることを重視する考え方だね。
評価者(マッパー)が認知症の人の行動や状態を観察して記録し、その情報をケアスタッフと話し合いケアの質の改善を図ります。
認知症の人を1人の人として尊重し、その人の視点や立場に立って理解しながらケアを行うものです。
バリデーション療法
バリデーション療法は、認知症の人との言語、非言語療法によるコミュニケーションの方法です。
普通の暮らしから高齢になり見当識障害になった高齢者のための理論です。
ユマニチュード
ユマニチュードは、見る・話しかける・触れる・立つの4本柱を基礎とした150を超えるコミュニケーション技術です。
認知症高齢者が自分は大切にされていると感じることができ、攻撃的な行動、言動、介護への抵抗が抑制されます。
②次に話す(低めのトーンでゆっくりと抑揚をつけて)
③触れる(肩や手にそっと)
④自身で立つ(本人が1日を通して20分立てることが目標)
このようなケア技法によって「あなたは大切な存在です」と相手に伝えるのです。

ユマニチュードはフランス語で「人間らしさ」を意味するよ。
過去問
第23回 問題34
認知症のケアや支援について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 認知症初期集中支援チームは、都道府県が配置する。
2 認知症カフェは、認知症初期集中支援チームが運営することとされている。
3 認知症初期集中支援チームの対象者は、原則として、40歳以上で、在宅で生活しており、かつ認知症が疑われる人又は認知症の人である。
4 パーソン・センタード・ケアは、認知症を持つ人を一人の「人」として尊重し、その人の立場に立って考え、ケアを行おうとする認知症ケアの1つの考え方である。
5 認知症施策推進大綱では、認知症の人本人からの発信支援を推進するよう明記されている。
この問題は、認知症に関するケア・支援体制の知識を問うものです。認知症初期集中支援チームの設置主体・対象者・運営、認知症カフェ、パーソン・センタード・ケアの理念、認知症施策推進大綱の内容など、制度と理念の両面から出題されています。
1 認知症初期集中支援チームは、都道府県が配置する。
これは誤り。認知症初期集中支援チームは、都道府県ではなく市町村(地域包括支援センター等)に設置されます。介護保険法の地域支援事業に位置づけられており、身近な地域で早期対応を行うため、住民に最も身近な自治体である市町村が設置主体となります。
2 認知症カフェは、認知症初期集中支援チームが運営することとされている。
これは誤り。認知症カフェ(認知症の人と家族のつどいの場)の運営者は、初期集中支援チームに限定されていません。NPO法人やボランティア、医療機関、介護事業者、住民など、多様な主体によって自主的に運営されており、特定の団体のみが運営するわけではありません。
3 認知症初期集中支援チームの対象者は、原則として、40歳以上で、在宅で生活しており、かつ認知症が疑われる人又は認知症の人である。
これは正解。認知症初期集中支援チームの対象者は、原則として「40歳以上で在宅生活をしており、認知症が疑われる人または認知症の人」です。さらに「医療や介護サービスに結びついていない人」や「サービスが中断している人」、「BPSD (認知症の行動・心理症状)が強く対応に苦慮している場合」なども、早期の介入や対応が必要なため、対象者とされています。
4 パーソン・センタード・ケアは、認知症を持つ人を一人の「人」として尊重し、その人の立場に立って考え、ケアを行おうとする認知症ケアの1つの考え方である。
これは正解。パーソン・センタード・ケアは、認知症の人を一人の「人」として尊重し、その人の視点や立場に立って理解しケアを行うという、英国のトム・キットウッドが提唱した重要な理念です。認知症の行動や心理症状(BPSD)を単なる症状と捉えず、本人のニーズの表れとして捉える姿勢が基本とされています。
5 認知症施策推進大綱では、認知症の人本人からの発信支援を推進するよう明記されている。
これは正解。2019年に策定された「認知症施策推進大綱」では、認知症の人が自らの言葉で思いを語る「本人からの発信支援」の推進が明記されました。認知症になっても希望を持って暮らせる社会を目指し、本人の尊厳と主体性を重視する「共生」の柱として、社会参加の支援が強調されています。
第24回 問題31
認知症のケアや支援について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 認知症施策推進大綱では、医療従事者等の認知症対応力向上の促進を図ることとしている。
2 認知症疾患医療センターは、地域の介護関係者等への研修は行わない。
3 認知症ケアパスとは、認知症の人の状態に応じた適切な医療や介護サービスの提供の流れを示すものである。
4 認知症初期集中支援チームは、警察と介護事業者や地域の関係団体が協力して認知症の人を捜索する仕組みである。
5 認知症地域支援推進員は、認知症の人やその家族を支援する相談支援や支援体制を構築するための取組を行う。
この問題は、認知症施策推進大綱・認知症疾患医療センター・認知症ケアパス・認知症初期集中支援チーム・認知症地域支援推進員など、認知症支援に関わる制度・機関・仕組みの役割と機能を正確に理解しているかを問うものです。
1 認知症施策推進大綱では、医療従事者等の認知症対応力向上の促進を図ることとしている。
これは正解。認知症施策推進大綱では、基本目標の1つに「医療・ケア・介護サービスの質の向上」を掲げており、医療従事者等の認知症対応力向上の促進が明記されています。具体的には、かかりつけ医、歯科医師、薬剤師、看護師などを対象とした「認知症対応力向上研修」の実施や充実が、国や自治体によって推進されています。
2 認知症疾患医療センターは、地域の介護関係者等への研修は行わない。
これは誤り。認知症疾患医療センターは、専門的な医療の提供だけでなく、地域の関係者への研修や情報発信も重要な役割の一つとされています。地域の介護関係者やケアマネジャー、医療従事者などを対象にした専門的な研修を実施し、地域全体の認知症対応力を高めるための「地域連携の拠点」としての役割も担っています。
3 認知症ケアパスとは、認知症の人の状態に応じた適切な医療や介護サービスの提供の流れを示すものである。
これは正解。認知症ケアパスとは、認知症の発症から進行、その先の状態の変化に応じて、いつ、どこで、どのような医療や介護サービスを受けられるかなどの支援の流れを示したガイドブックです。市町村が作成し、本人・家族、支援者が見通しを持てるよう、適切な支援の「流れ」や「目安」を把握するために活用されています。
4 認知症初期集中支援チームは、警察と介護事業者や地域の関係団体が協力して認知症の人を捜索する仕組みである。
これは誤り。警察と連携して認知症の人を「捜索」する仕組みは、一般的に「認知症高齢者等見守りSOSネットワーク」などと呼ばれています。認知症初期集中支援チームは、医療・介護の専門職が早期に家庭訪問し、適切なサービスにつなぐチームのことです。
5 認知症地域支援推進員は、認知症の人やその家族を支援する相談支援や支援体制を構築するための取組を行う。
これは正解。認知症地域支援推進員は、市町村や地域包括支援センター等に配置され、認知症の人や家族への個別相談支援や、地域で支える体制づくり(ネットワーキング)の推進などを行います。初期集中支援チームのサポートや、認知症ケアパスの作成、認知症カフェの支援なども担う、地域のコーディネーター的役割です。
第25回 問題32
認知症について適切なものはどれか。2つ選べ。
1 BPSD(認知症の行動・心理症状)は、住環境などの環境因子の影響は受けない。
2 若年性認知症は、うつ病など、他の精神疾患と疑われることがある。
3 前頭側頭型認知症では、リアルな幻視やパーキンソニズムが特徴である。
4 パーソン・センタード・ケアは、介護者本位で効率よく行うケアである。
5 介護支援専門員が、利用者本人の同意を得て、心身の変化などを主治医に伝えることは、よりよい医療につながる。
この問題は「認知症の医学的特徴とケア・連携」についての知識を問う問題で、認知症のBPSD・若年性認知症・前頭側頭型認知症の症状特徴、パーソン・センタード・ケアの理念、介護支援専門員と主治医との連携など、認知症に関する医学的知識とケアの考え方・実践が幅広く問われています。
1 BPSD(認知症の行動・心理症状)は、住環境などの環境因子の影響は受けない。
これは誤り。BPSD(行動・心理症状)は、脳の病変による中核症状だけでなく、「住環境などの環境因子」や人間関係、不安などの心理因子に強く影響を受けます。不適切な室温や騒音、不慣れな環境への引っ越しなどが引き金となって、徘徊や興奮などのBPSDが出現したり、悪化したりすることがあります。
2 若年性認知症は、うつ病など、他の精神疾患と疑われることがある。
これは正解。65歳未満で発症する若年性認知症は、意欲の低下・気分の落ち込み・仕事のミスが目立つなど、うつ病や統合失調症と区別がつきにくく、他の精神疾患と間違われることがあります。
3 前頭側頭型認知症では、リアルな幻視やパーキンソニズムが特徴である。
これは誤り。「リアルな幻視(ありありとした幻視)」や「パーキンソニズム(歩行障害や手の震えなど)」が特徴なのは、前頭側頭型ではなく「レビー小体型認知症」です。前頭側頭型認知症では、社会的に不適切な行動がみられる「脱抑制」や、毎日決まった時間に同じ行動を繰り返す「時刻表的(常同的)行動」、人格変化などが特徴としてみられます。症状の対応関係を認知症の種類ごとに整理して覚えることが重要です。
4 パーソン・センタード・ケアは、介護者本位で効率よく行うケアである。
これは誤り。パーソン・センタード・ケアは、「介護者本位で効率よく行うケア」ではなく、認知症を持つ人を一人の「人」として尊重し、その人の視点・感情・歴史・価値観を中心に置いてケアを行うという考え方です。決して「介護者本位で効率よく行うケア」であってはなりません。
5 介護支援専門員が、利用者本人の同意を得て、心身の変化などを主治医に伝えることは、よりよい医療につながる。
これは正解。介護支援専門員が、本人や家族の同意を得た上で、生活の場における心身の変化や認知症状の推移を主治医に共有することは、適切な医療(適切な処方や診断の変更など)につながる重要な連携です。医療と介護の連携は、介護支援専門員の重要な役割です。
第26回 問題31
認知症について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 認知症施策推進大綱においては、発症を遅らせることを目指している。
2 運動不足の改善は、認知症の予防につながらない。
3 自分の意思で決定できるように支援することが大切である。
4 MCI(軽度認知障害)は、すべて認知症に移行する。
5 前頭側頭型認知症の症状の一つとして、物品の名前が出てこない意味性認知症の症状がある。
この問題は、認知症施策推進大綱の予防方針・運動と認知症予防の関係・本人の意思決定支援・MCIの転帰・前頭側頭型認知症の症状など、認知症に関する予防・政策・医学的知識・ケア理念を問う問題であり、近年の認知症高齢者の増加に伴い、試験でも必ず出題される重要な分野です。
1 認知症施策推進大綱においては、発症を遅らせることを目指している。
これは正解。認知症施策推進大綱における「予防」とは、「認知症にならない」という意味だけではなく、「発症を遅らせる」こと、また発症しても「進行を緩やかにする」ことを目指しています。試験では大綱における「予防」の定義を正しく理解しておく必要があります。
2 運動不足の改善は、認知症の予防につながらない。
これは誤り。運動不足の改善は、認知症の発症予防や進行を遅らせることにつながるとされています。ウォーキングなどの有酸素運動は脳を活性化させ、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症のリスクを下げる効果があります。
3 自分の意思で決定できるように支援することが大切である。
これは正解。認知症になっても、本人の意思や尊厳を尊重し、「自分の意思で決定できるように支援すること(意思決定支援)」は極めて重要です。介護支援専門員は本人の強みや意向をケアマネジメントに取り入れ、成年後見制度の活用なども視野に入れながら、本人の意思を尊重した支援が求められます。
4 MCI(軽度認知障害)は、すべて認知症に移行する。
これは誤り。MCI(軽度認知障害)の人がすべて認知症に移行するわけではありません。適切な運動や食事、脳トレ、生活習慣の改善などを行うことで、認知機能の回復や進行の抑制が認められています。選択肢の「すべて移行する」といった極端な判断は間違いであるため注意が必要です。
5 前頭側頭型認知症の症状の一つとして、物品の名前が出てこない意味性認知症の症状がある。
これは正解。意味性認知症とは、言葉の意味や物の用途などの「知識(意味記憶)」が徐々に失われていく疾患で、エピソード記憶(いつ・どこで何をしたか)は比較的保たれる一方で、言葉の意味や物の名前が失われていくことが特徴です。また、前頭側頭型認知症には、「行動障害型」「意味性認知症」「進行性非流暢性失語」などの代表的なタイプがあります。
第28回 問題2
共生社会の実現を推進するための認知症基本法について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 すべての認知症の人が、自らの意思によって日常生活及び社会生活を営むことができるようにすることは、基本理念の一つである。
2 良質かつ適切な保健医療サービス及び福祉サービスが切れ目なく提供されることは、基本理念の一つである。
3 地方公共団体は、その地域の状況に応じた認知症施策を総合的かつ計画的に推進する責務を有する。
4 都道府県は、都道府県認知症施策推進計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、その都道府県内の市町村の意見を聴かなければならない。
5 市町村認知症施策推進計画は、地域医療構想と一体のものとして策定されなければならない。
2023年に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」に関する問題です。基本理念・国と地方公共団体の責務・都道府県と市町村の計画策定に関するルールなど、法律の基本的な構造と内容が問われています。
1 すべての認知症の人が、自らの意思によって日常生活及び社会生活を営むことができるようにすることは、基本理念の一つである。
これは正解。認知症基本法の基本理念には、「すべての認知症の人が、自らの意思によって日常生活及び社会生活を営むことができるようにすること」が明記されています(法第3条第1項)。認知症の人の尊厳を保持し、本人の意思決定を尊重したうえで、地域社会の一員として共生できる社会を目指すという、法律の基本となる重要な理念です。
2 良質かつ適切な保健医療サービス及び福祉サービスが切れ目なく提供されることは、基本理念の一つである。
これは正解。認知症基本法の基本理念には、「良質かつ適切な保健医療サービス及び福祉サービスが切れ目なく提供されること」も含まれています(法第3条第4項)。医療と介護が分断されることなく連携し、認知症の初期から人生の最終段階まで状態に応じた適切な支援を受けられる体制づくりを定めています。
3 地方公共団体は、その地域の状況に応じた認知症施策を総合的かつ計画的に推進する責務を有する。
これは正解。認知症基本法において、地方公共団体(都道府県・市町村)は、地域の状況に応じた認知症施策を総合的かつ計画的に推進する責務を有するとされています(法第5条)。国が定める基本計画をふまえ、それぞれの地域住民のニーズや実情に即した独自の取り組みや環境整備を行うことが自治体の責務とされています。
4 都道府県は、都道府県認知症施策推進計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、その都道府県内の市町村の意見を聴かなければならない。
これは誤り。都道府県は、計画案を作成する際は、市町村ではなく「認知症の人及び家族等」の意見をあらかじめ聴くよう努めなければならないとされています(第12条第3項)。市町村との連携は重要ですが、法律上の責務として事前に意見聴取が義務づけられているのは「当事者等」であり、「市町村」とのひっかけ問題です。
5 市町村認知症施策推進計画は、地域医療構想と一体のものとして策定されなければならない。
これは誤り。市町村認知症施策推進計画は、地域医療構想ではなく、市町村介護保険事業計画や市町村老人福祉計画などと「調和が保たれたものでなければならない」とされています(法第13条第2項)。地域医療構想は医療法に基づく都道府県計画であり、市町村認知症施策推進計画と一体的に策定するものではありません。
第28回 問題30
認知症やそのケアについて適切なものはどれか。2つ選べ。
1 軽度認知障害(MCI)は、認知症に移行することがある。
2 記憶障害や見当識障害は、認知症の中核症状である。
3 パーソン・センタード・ケアとは、介護者本位で効率を優先して行うケアである。
4 認知症初期集中支援チームは、行方不明の認知症の人を捜索する仕組みである。
5 認知症カフェは、介護保険の給付対象のサービスである。
軽度認知障害(MCI)や認知症の中核症状、パーソン・センタード・ケアの理念、認知症初期集中支援チームの役割、認知症カフェの位置づけなど、認知症の医学的知識とケア、支援制度について基本的な知識を幅広く問われた問題です。
1 軽度認知障害(MCI)は、認知症に移行することがある。
これは正解。軽度認知障害(MCI)は、健常な状態と認知症の中間に位置する段階であり、その後に認知症へ移行することがあります。ただし、すべてが移行するわけではなく適切な運動や生活習慣の改善、支援などにより認知機能の回復や状態が維持されることもあります。
2 記憶障害や見当識障害は、認知症の中核症状である。
これは正解。中核症状とは脳の神経細胞の障害により直接生じる症状で、記憶障害・見当識障害・判断力低下・失語・失行・失認・実行機能障害などが含まれます。一方、環境や心理状態などの影響で現れる症状を「行動・心理症状(BPSD)」と呼びます。両者の違いを適切に理解しておく必要があります。
3 パーソン・センタード・ケアとは、介護者本位で効率を優先して行うケアである。
これは誤り。パーソン・センタード・ケアは、「介護者本位で効率を優先するケア」ではなく、「認知症の人を一人の人として尊重し、本人の視点に立つケア」です。パーソン・センタード・ケアについては、最近の試験でも頻出テーマであるため、理念を正確に理解しておくことが重要です。
4 認知症初期集中支援チームは、行方不明の認知症の人を捜索する仕組みである。
これは誤り。行方不明の認知症の人を捜索する仕組みは「認知症高齢者等SOSネットワーク(見守りSOSネットワーク)」であり、「初期集中支援チーム」とは別です。認知症初期集中支援チームは、医療・介護の専門職が認知症を疑われる人や認知症の人を訪問し、早期に適切なサービスへつなぐチームです。両者を混同しないように覚えましょう。
5 認知症カフェは、介護保険の給付対象のサービスである。
これは誤り。認知症カフェは介護保険の給付対象サービスではありません。認知症の人や家族、地域住民、専門職が気軽に集える地域の居場所であり、NPO・家族会・自治体など多様な主体が運営します。介護保険給付とは異なり、市町村が地域支援事業や独自施策として推進しており、国の認知症施策推進大綱においても普及が掲げられています。
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