介護保険法改正の歴史を見ていきましょう。あまり出題されないので、サラッと流してください。
介護保険法の歴史
2000年 介護保険法 施行
2000年に施行された介護保険法は、それまで老人福祉法で運営していた高齢者福祉を、超高齢化にともなって経済的貧困に陥っている高齢者だけでなく、一般の高齢者を社会保険制度の中で支援していく仕組みです。
介護保険法の制定により、それまでは老人福祉法の中の「措置制度」によって行政主導でサービスが提供されていましたが、高齢者自身が利用したいサービスを選ぶ「契約制度」へ移行されました。
介護保険法における福祉サービスは高齢者の介護に関するものです。
老人福祉法には介護に関するサービスはないので、例えば老人福祉法で規定される養護老人ホームは「環境及び経済的理由」が入所の条件ですが、介護が必要になると介護保険法で規定される介護老人福祉施設への入所になります。
2005年 介護保険法 改正
1997年に成立した介護保険法は、2000年に施行され、その後改正を繰り返してきました。
2005年の改正では、地域包括支援センターや地域密着型サービスが創設され、地域包括ケアシステムという言葉も初めて使われました。
2011年 介護保険法 改正
2011年改正で、「自治体が地域包括ケアシステム推進の義務を担う」と明記され、システム構築が義務化されています。
2014年 介護保険法 改正
2014年改正では、地域ケア会議の推進や総合事業が創設されています。
2017年 介護保険法 改正
2017年改正では、地域包括ケアシステムの強化が主な改正点で、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられる社会の実現などが重要な改正ポイントでした。医療と介護の一体的な提供を目的にした介護医療院の新設や、共生型サービス、介護保険料の見直し、一定以上の所得がある第1号被保険者に対し利用者負担3割の導入など、多岐に渡る改正になりました。
1)介護医療院
2)共生型サービス
3)保険者(市町村)機能の強化
2. 制度の持続可能性の確保(負担の見直し)
1)利用者負担「3割」の導入
2)総報酬割の導入(第2号被保険者)
3. 介護人材の確保と介護現場の革新
1)介護従事者の処遇改善
2020年 介護保険法 改正
2020年改正では、国及び地方公共団体は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現に資するよう努めなければならないこととされました。
また、厚生労働大臣は、要介護者等に提供されるサービスの内容について調査及び分析を行い、その結果を公表するよう努めるものとされました。これは介護情報の収集・分析・公表を推進するための改正であり、後の科学的介護(LIFE)の推進につながる基盤整備といえます。

このような介護保険等関連情報の公表について、介護保険法第118条の2に規定されているよ。
まとめ
表にあるように3年を1期とする介護保険事業計画にあわせて介護保険法が改正されています。

過去問
第23回 問題5
2017(平成29)年の介護保険制度改正について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 改正の趣旨は、地域包括ケアシステムの強化である。
2 共生型居宅介護支援を創設した。
3 市町村介護保険事業計画に、自立支援、介護予防・重度化防止等への取組を記載することとした。
4 施設サービスとして、介護医療院サービスを追加した。
5 第1号被保険者の保険料に総報酬割を導入した。
1 改正の趣旨は、地域包括ケアシステムの強化である。
これは正解。2017年(第7期)における介護保険制度改正(2018年度〜2020年度施行)は、地域包括ケアシステムの強化を柱とする制度改正が行なわれました。これは、高齢者が住み慣れた地域で生活が継続できるよう、地域全体で高齢者を支える仕組みづくりが強化されました。また、自立支援や介護離職ゼロなど、介護者の負担軽減に関する内容も含まれました。
2 共生型居宅介護支援を創設した。
これは誤り。2017年改正で創設されたのは「共生型居宅介護支援」ではなく「共生型サービス」です。介護保険と障害福祉の両制度におおいて一体的に提供できる共生型サービスが新設されました。
3 市町村介護保険事業計画に、自立支援、介護予防・重度化防止等への取組を記載することとした。
これは正解。市町村が策定する市町村介護保険事業計画に、自立支援や介護予防・重度化の防止にたいする取り組みを記載する事が義務化されました。
4 施設サービスとして、介護医療院サービスを追加した。
これは正解。介護医療院は2017年改正で創設された新たな施設サービスで、従来の介護療養型医療施設(療養病床)の転換先として位置づけられ、「長期療養のための医療」と「日常的な生活支援(介護)」を一体的に提供できるのが特徴です。介護老人福祉施設・介護老人保健施設に次ぐ第3の介護保険施設として指定されています。
5 第1号被保険者の保険料に総報酬割を導入した。
これは誤り。総報酬割とは、給料(報酬)が高い人ほど、保険料を多く負担する仕組みの事で、2017年の改正において、第2号被保険者に導入されました。第1号被保険者は、それまで通り市町村ごとの所得段階別の保険料が設定であり、第1号と第2号のひっかけ問題です。
第24回 問題1
2020(令和2)年の介護保険法改正について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 国及び地方公共団体は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現に資するよう努めなければならないこととされた。
2 市町村は、地域ケア会議を置くように努めなければならないこととされた。
3 高齢者と障害児・者が同一の事業所でサービスを受けやすくするための共生型サービスが創設された。
4 厚生労働大臣は、要介護者等に提供されるサービスの内容について調査及び分析を行い、その結果を公表するよう努めるものとされた。
5 一定以上の所得がある第1号被保険者の介護給付及び予防給付の利用者負担割合が3割とされた。
この問題は、2020(令和2)年の介護保険法改正の主要な内容について問うものです。改正された内容としては、地域共生社会の実現に向けた理念や、介護保険等関連情報の収集・分析・活用の推進(分析や公表など)、複雑化・複合化した課題への対応(重層的支援体制整備事業)などが、新たに創設されました。直近の法改正の内容が問われることが多いため、整理して覚えておく必要があります。
1 国及び地方公共団体は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現に資するよう努めなければならないこととされた。
これは正解。2020(令和2)年の法改正では、「地域共生社会の実現」をキーワードとして、地域の住民がお互い支え合う社会の仕組みを作ることが国や地方公共団体の努力義務として明記されました。
2 市町村は、地域ケア会議を置くように努めなければならないこととされた。
これは誤り。地域ケア会議の設置は、2014年の法改正で決まった内容であるため誤りです。法改正の時期と内容については、混同しないように整理して覚えましょう。
3 高齢者と障害児・者が同一の事業所でサービスを受けやすくするための共生型サービスが創設された。
これは誤り。共生型サービスの創設は、2017年の法改正です。「共生型サービス」とは高齢者と障害者が同じ事業所でサービスを受けやすくするため新設され、多様なニーズを統合的に支援することを目指しています。
4 厚生労働大臣は、要介護者等に提供されるサービスの内容について調査及び分析を行い、その結果を公表するよう努めるものとされた。
これは正解。厚生労働大臣は、要介護者等に提供されるサービスの内容(介護保険等関連情報)について調査及び分析を行い、その結果を公表するよう努めるものとされました。これは介護情報の収集・分析・公表を推進するための改正であり、後の科学的介護(LIFE)の推進につながる基盤整備といえます。
5 一定以上の所得がある第1号被保険者の介護給付及び予防給付の利用者負担割合が3割とされた。
これは誤り。一定以上の所得がある第1号被保険者に対し、利用者負担の「3割」が導入されたのは、2017年の法改正です。
次の記事
次は、苦情申立と不服申立について。



コメント